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なんでもない一日 の商品レビュー

3.5

24件のお客様レビュー

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2016/02/21

シャーリー・ジャクソンの短編は「くじ」以外おそらく読んでなかったので、長編とも違う、人間の(良い意味で)イヤ〜な部分をこれでもかと堪能させていただきました。当面、イヤミス系はお腹いっぱいです(苦笑)。しかし、数日するとこの手のお話はまた読みたくなるから不思議である。

Posted byブクログ

2016/02/01

S・ジャクスンといえば代表作「くじ」「山荘綺談」等、抑えた筆致で人間の悪意や妄執を描き出した恐怖小説作家というイメージが強い。 48歳という―作家としてはこれから脂が乗るという時に早世した彼女だが、死後20数年経って発見された未発表原稿を基に、その他単行本未収録の作品、エッセー等...

S・ジャクスンといえば代表作「くじ」「山荘綺談」等、抑えた筆致で人間の悪意や妄執を描き出した恐怖小説作家というイメージが強い。 48歳という―作家としてはこれから脂が乗るという時に早世した彼女だが、死後20数年経って発見された未発表原稿を基に、その他単行本未収録の作品、エッセー等を、遺族が編纂した短編集。邦訳はそこから厳選した30篇を収録。 この作家のイメージ通りの作品が中心だが、単なる”厭な”話にとどまらず、奇妙な話、正統派の幽霊譚、ゴシック譚、コメディまで幅広い。 さらに(いい意味で)裏切られるのが、巻末に5篇収録されたエッセー。そこには妻として、4人の子供たちを持つ母親としてユーモアを忘れずに奮闘?する、一人のアメリカ人女性の姿がある。 詳しくはこちらに。 http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2016-01-31-2

Posted byブクログ

2015/12/13

・シャーリー・ジャクスン「なんでもない一日」(創元推理文庫)は あの「山荘綺譚」の作者の作品集である。私はこの人を「山荘綺譚」一作だけでしか知らない。48歳で亡くなつたといふから、早死にとは言はないまでも、作家として活躍した期間は短かかつたのかもしれない。本書は死後に発見された作...

・シャーリー・ジャクスン「なんでもない一日」(創元推理文庫)は あの「山荘綺譚」の作者の作品集である。私はこの人を「山荘綺譚」一作だけでしか知らない。48歳で亡くなつたといふから、早死にとは言はないまでも、作家として活躍した期間は短かかつたのかもしれない。本書は死後に発見された作品も含めて、彼女の子供達が新たに編集した作品集の抜粋である。「原書はこうした経緯で編まれたこともあり、作品の完成度にはどうしてもばらつきがありました。」(403頁)と「訳者あとがき」にある。そこで厳選した作品でできた のが本書である……はずなのだが、個人的には特に前半の作品の出来が良くないと感じる。私にはおもしろくないのである。敢へて言へば駄作の類かとも思ふの だが、それはもしかしたら「今まであまり知られていなかった、ジャクスンのさまざまな面を紹介できるように気を配りました。」(同前)といふ訳者の配慮に関係することであるのかもしれない。いづれにせよ、出来が良くておもしろく、かつシャーリー・ジャクスン的と言へる作品は後半に多くある。これまで知られ てゐない、紹介されなかつたといふのは、作品の出来によるのではないかと思つてしまふ。実際のところはどうなのであらう。 ・「アンダースン夫人」は夫婦の物語である。夫が毎日決まつて口に出すいくつかの言葉を夫人が気にするといふ物語、しかしそれが高じるとどうなるか、これが問題である。そこに至るまでの神経質な、いや、ある意味病的な展開がおもしろい。あるいは恐ろしいと言ふべきか。「城の主」は正統的(?)ゴシック譚である。ヨーロッパ中世の若き城主の物語、魔術らしきものも絡んでゐる。ポイントは異母兄弟の出現である。これにより主人公は村人への仇討ちの実現を思ふ。 しかし、それが逆に己の破滅を招いて、父と同じ運命をたどらせることになる。たぶんよくある類の物語と言へる。最初からいかにも胡散臭さうな異母兄弟である。連れてきた女との関係も当然さうなるであらうといふ類のものである。そんな中での主人公の破滅の原因が父同様のものであつたといふのはおもしろい。 「店からのサービス」は上記二作とは異なる物語である。簡単に言へば、店員が客に代金をごまかされるといふ物語である。客の男が盲目であつたといふのがポイントで、実際にかういふことはあるかもしれないと思はせる。こんなチンピラの話も書くんだと思つてしまふ。「貧しいおばあさん」もこんなのをといふ物語である。第二次大戦中の食糧不足時代なのであらう。肉を買ひに行つた婆と孫が無事に肉を買ふまでの物語、婆と孫の皮肉な会話がおもしろい。「メルヴィル夫人の買い物」は現在ならクレーマーの物語といふことになりさうである。それも目的を達成できなかつたクレーマー、こんな女がゐるかもしれないと思はせてくれる。実はこれらの作品の発表誌は『チャーム』『マドモアゼル』『ニューヨーカー』等であつた。雑誌の雰囲気に合はせて書かれたらしい。これらは女性とし て、主婦として、更には母としてのシャーリー・ジャクスンの作品なのであらう。「山荘綺譚」とは異なる種類の物語である。これらにつながるかもしれない最後の5編のエッセイも主婦、母として書いてゐる。これが「山荘綺譚」の作者かと思はせる内容と書きつぷり、読んでゐて楽しい。もしかしたら母として本当に 心配しながら、それをユーモアで包んでこれらを書いたのかもしれないが、それなら彼女は名文家だと言へる。「訳者がとりわけ気に入っている」(405頁) と最後にあるこれらのエッセイはこの作品集の目玉であらう。これだけでも楽しめる作品集である。

Posted byブクログ

2015/12/07

シャーリイ・ジャクスンの短編集。 怪奇小説が圧倒的に有名だが、本書はホラー以外の短編も数多く、著者の様々な顔が見られる。ホラーとコメディは親和性が高いとはよく言われることだが、シャーリイ・ジャクスンのコメディ小説は面白い。 但し、巻末の訳者あとがきに書かれているように、各短編の出...

シャーリイ・ジャクスンの短編集。 怪奇小説が圧倒的に有名だが、本書はホラー以外の短編も数多く、著者の様々な顔が見られる。ホラーとコメディは親和性が高いとはよく言われることだが、シャーリイ・ジャクスンのコメディ小説は面白い。 但し、巻末の訳者あとがきに書かれているように、各短編の出来にバラつきがある。それはそれとして仕方がないので、本書には収録されなかった短編も1冊に纏まるといいなぁ……と思っている。

Posted byブクログ