アズミ・ハルコは行方不明 の商品レビュー
寂れつつある地方都市。少女ギャングが流行り、行き場のない若者がステンシルアートを始める。 なんともない生活の中で走り出すエネルギー。 面白い
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初、山内マリコ! かっこいい、なんだこの作品! 純文学っぽくとんとん話が進んで、でも鋭くてどうしようもなくてぶっ飛んでてかっこよかった! とりあえずバンクシーのイグジットスルーザギフトショップ見なきゃ。 相変わらず田舎の人間の描き方えぐい。くるものがある。私も徳島に残ってたらこ...
初、山内マリコ! かっこいい、なんだこの作品! 純文学っぽくとんとん話が進んで、でも鋭くてどうしようもなくてぶっ飛んでてかっこよかった! とりあえずバンクシーのイグジットスルーザギフトショップ見なきゃ。 相変わらず田舎の人間の描き方えぐい。くるものがある。私も徳島に残ってたらこういう気持ちになってたかもしれない。 実家で暮らし恋人もなくストレスフルな薄給OLの春子は、幼なじみの蘇我氏にも相手にされなく?て、、 最後がいい。力合わせて生きていこうぜ!!みたいな。ガハハ!って感じのあんまり出てこない今井さん大好きになった。
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地方都市の悲哀を感じる。世界が狭すぎて、恋愛と言っていいのかどうかわからない人との関係。その人に頼りたい訳でもないのにその人しかいない。狭すぎる。ある時自分でもその狭さに驚き、絶望し、ここからもう逃げてしまいたい、いなくなりたいと思う。 バラバラとした話の中で、アズミ・ハルコはふ...
地方都市の悲哀を感じる。世界が狭すぎて、恋愛と言っていいのかどうかわからない人との関係。その人に頼りたい訳でもないのにその人しかいない。狭すぎる。ある時自分でもその狭さに驚き、絶望し、ここからもう逃げてしまいたい、いなくなりたいと思う。 バラバラとした話の中で、アズミ・ハルコはふわっと現れて、特段深刻な、暗い影を負わず、知らない間に話と話をつないでいる。 最後にはすこしだけ、女性の強さとしぶとさが光り、希望が見える。 この作家はそういう終わりが好きなのかな。
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山内マリコは一貫して、田舎のくすぶってる欲求不満の若者、やるせない倦怠感、反逆する女の人を、あくまでキャッチーに書いてくれる。少女ギャング団、アズミ・ハルコ、どちらの語感も発想も好き。 なんとなく、松田青子の「持続可能な魂の利用」を彷彿させた。時代遅れな固定観念をもつ男性や暴力...
山内マリコは一貫して、田舎のくすぶってる欲求不満の若者、やるせない倦怠感、反逆する女の人を、あくまでキャッチーに書いてくれる。少女ギャング団、アズミ・ハルコ、どちらの語感も発想も好き。 なんとなく、松田青子の「持続可能な魂の利用」を彷彿させた。時代遅れな固定観念をもつ男性や暴力や性的な男性集団を排除して、女性のみで楽園をつくる。女子高生とおじさんの相性ってバツグンに悪いよな! いつまでも思春期恋愛を引きずるのは心地いい。自分の青春が、まだ終わっていないような気になるから。恋愛だけじゃなくて、自分の可能性が丸々残されているような気さえするから。(p119)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
偶然見かけた行方不明者「アズミハルコ」のグラフィティを中心に、地方に住む"必要とされたい"人たちそれぞれを描いた話。 愛菜たちと春子たちの2つのパートがあったが、年齢が近いこともあり、私は春子の気持ちにとても共感した。 曽我氏との、あったかなかったかわからないような関係性が切れた時の無力感、そして無力感から来る喪失感。社会人になると、学生ほど良くも悪くも距離が近くなりづらい。普段はさほど気にならないが、ふとした拍子にすごく大きなダメージを与える。そんな普段言いえない気持ちがとても明確に描かれていたように思う。 愛菜と春子は全然違う性格だが、言葉を選ばずにいえば男に必要とされたいという点で共通していて、最終的に今井さんも含め女性たちで力強く生きていく描写が良かった。 また、最後の愛菜のセリフ「行方不明の女の子たちが、辛い目にあっているのではなく、ムカつく現実から逃げて、ヘラヘラ楽しく生きていることを祈った」というのが前向きな結びとなっていて、作者からのエールというか、この作品の核のメッセージじゃないかなと思った。 山内マリコさんの作品はこれで二作目だが、具体的な名称(「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」など)の使用、特に繊細な女性の心理描写、いわゆる"地方"に生きる人達の描写がすごくリアリティがあり、ページをめくる手が止まらなかった。
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これは爽快! ほんとにみんなみんな、元気で楽しく生きていてほしい。 山内マリコさんとは同世代なので、「あの時あの時代のあの感じ」みたいなのやフェミニズムに対する考え方の変遷みたいなのが、他の著作を読んでてもよーく分かる!!という感じなんだよなー
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はちゃめちゃな展開のようで、女性たちの抱えてる問題や、男たちの身勝手な慣習たちはとても現実的で、実は簡単に起こり得るような出来事なのかもしれないと思ったり。 人物の設定、絶妙なセリフ、展開の気持ちよさなどなど、とても好き。
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曽我氏みたいな自分が傷つかないポジション取りをして会話する人いるよね… 春子がそれに屈しなかったときはスカッとしたけど、春子は恋人がいるというカードを手に入れるために曽我氏とデートするようになってしまうし、きっとそんなことも見透かされていて春子の方が立場が下。 最後のシスターフ...
曽我氏みたいな自分が傷つかないポジション取りをして会話する人いるよね… 春子がそれに屈しなかったときはスカッとしたけど、春子は恋人がいるというカードを手に入れるために曽我氏とデートするようになってしまうし、きっとそんなことも見透かされていて春子の方が立場が下。 最後のシスターフッド的な展開は、いや現実だとそんなうまくいくかなあとも思ったけど、それでも山内マリコさんは徹底的にわたしたちの味方なんだと思えて嬉しい。 少女ギャング団も可愛かったな。女子高生ってだけで楽しかったよね。普段は喋らないタイプの子ともなんでか一緒に遊ぶみたいなイベントがときどき発生して、普段は喋らないのに、なぜかそういうときは一致団結できちゃって、そういうことがまた楽しかったんだよなあ。
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山内マリコさん作品記録7 読み終わった後、 何となくスカッとした気分になれる作品。 山内マリコさんの作品はありふれた日常の シーン一つひとつがとてもセンチメンタルに 描かれていて入り込んでしまう。 個人的には春子と曽我氏が好き。 登場人物たちのその後も見てみたい。
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ジャンプとマガジンとpspで育った人間が、決して逃れられないセンスのようなものが、いつのまにか自分の中に染み付いて、呪いのようにそこから出られない。 春子の話なんて誰も聞かない。春子が言わないから。 小さな毒を摂取してやりたくなったのだ。 あの日々は何だったんだろう。 あの...
ジャンプとマガジンとpspで育った人間が、決して逃れられないセンスのようなものが、いつのまにか自分の中に染み付いて、呪いのようにそこから出られない。 春子の話なんて誰も聞かない。春子が言わないから。 小さな毒を摂取してやりたくなったのだ。 あの日々は何だったんだろう。 あの人は誰だったんだろう。 似たり寄ったりな方向性のまちづくりや村おこしによって再び画一化されていく皮肉な展開 どの女の子も居場所がなくて寂しがって、どうしようもなくなってたけど、最後に女同士でつよく手を握り合ってた。 ーーーー アズミ・ハルコの表情は、昨日の夜と打って変わって、全然寂しそうじゃなかった。それどころかむしろ、キリッとして力強い、ちょっと生意気そうな顔に見えた。嫌なことを言われたら『うるせー』って言い返せる、タフな女の子に見えた。 ーーーー これは、最後の3人の晴れやかな心なんだろう。 山内さんの小説は、気怠い感じが漂うけど、一変して最後は清々しくなるものが多い。 テンプレートとして、弱者にされがちな女子を、全然そんなんじゃなくていいと引っ張りあげてくれるようだ。 男性が幼く描かれているのも、特徴なのかなぁ。
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