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あこがれ の商品レビュー

3.8

112件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2015/11/28

小学生が、ほんとにここまで考えれるだろうか?という疑問は残るものの、話としては、すばらしい! 2話に分かれてるけど関連性があって良かった! なんだか、ゆっくり時間が過ぎていった感じで、優しい気持ちになれた。

Posted byブクログ

2015/11/23

日本経済新聞社 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 印刷 あこがれ 川上未映子著 幼き日、世界の謎と秘密への思い 2015/11/22付日本経済新聞 朝刊  思い出してみよう。子供の頃、世界は今よりもずっと広く、大きく、謎と秘密に満ちていた。まだ自...

日本経済新聞社 小サイズに変更 中サイズに変更 大サイズに変更 印刷 あこがれ 川上未映子著 幼き日、世界の謎と秘密への思い 2015/11/22付日本経済新聞 朝刊  思い出してみよう。子供の頃、世界は今よりもずっと広く、大きく、謎と秘密に満ちていた。まだ自分の知らないことと、決して知ることができないことと、知ってはならないことの区別もついていなかった。大人になるということは、その区別がつけられるようになることであり、世界から、謎を、秘密を、神秘を、未知を、つまり、あこがれを減じていくことでもある。  二つのエピソードから成る長篇(へん)小説である。最初の「ミス・アイスサンドイッチ」の語り手は「ぼく」。後の「苺(いちご)ジャムから苺をひけば」の語り手は「わたし」。「ぼく」は「わたし」を「ヘガティー」と呼ぶ。「わたし」は「ぼく」を「麦くん」と呼ぶ。一つ目の物語で二人は小学四年生、二つ目には六年生になっている。でも、ふたりは、まだまだ子供だ。ヘガティーというあだ名は、彼女のおならが紅茶の香りがしたということから麦くんがつけた。二人の内緒の合言葉は「アルパチーノ」。ヘガティーの家で観(み)たアクション映画に出ていた俳優の名前。なんだか可笑(おか)しな発音で、口に出すだけで愉(たの)しくなる。  ミス・アイスサンドイッチも、「ぼく」が勝手に呼んでいるだけで、彼女は近所のスーパーのサンドイッチ売り場のレジにいるのだが、アイスというのは、彼女の瞼(まぶた)が「いつもおんなじ水色がべったりと塗られていて、それは去年の夏からずっと家の冷蔵庫に入っていて誰も食べなかったかちかちのアイスキャンディーの色にそっくり」であるからだ。「ぼく」は彼女に名状しがたい感情を抱いているのだが、それはもちろん恋とは呼べない。慕情という言葉も固過ぎる。そう、あこがれ。「ぼく」は自分以外の人たちの目に、ミス・アイスサンドイッチがどう映っているのかを知り混乱する。ヘガティーはそんな彼に、彼女に話しかけるべきだ、と言う。  二年後、「わたし」は母親を早くに亡くし、映画評論家の父親と二人で暮らしているのだが、ある日インターネットで、父が自分の母以前に別の女性と結婚し、女の子が産まれていたことを知る。「わたし」は事実を隠している父親に不信を抱き、麦くんの助けを借りて、自分と半分血の繋がった「姉」を探し出そうと思い立つ。「わたし」の彼女への想いはとても複雑なものだ。だがこれも、あこがれと呼んでいいのかもしれない。  子供が主人公の小説は沢山(たくさん)ある。しかしここには、この作者にしか紡ぎ出せない清冽(せいれつ)で切実な感情が宿っている。世界に謎と秘密が満ちていた頃へのあこがれを、読者は抱くことになる。 (新潮社・1500円)  かわかみ・みえこ 76年大阪府生まれ。作家。著書に『愛の夢とか』『すべて真夜中の恋人たち』など。 《評》批評家 佐々木 敦 このページを閉じる NIKKEI Copyright © 2015 Nikkei Inc. All rights reserved. 本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。

Posted byブクログ

2015/11/23

ヘガティー。ドゥワップ。ネバモ。銀ガニ。ろーん鍋。820でウェナミニ、ウェナミニ。アルパチーノ。 小説というのは、究極的には言葉遊びなのかもしれない。 川上未映子さんのようなひとにとっては、特に。 あらゆるものを遊びに変えてしまえるのは子どもにだけ与えられた能力で、 それが許さ...

ヘガティー。ドゥワップ。ネバモ。銀ガニ。ろーん鍋。820でウェナミニ、ウェナミニ。アルパチーノ。 小説というのは、究極的には言葉遊びなのかもしれない。 川上未映子さんのようなひとにとっては、特に。 あらゆるものを遊びに変えてしまえるのは子どもにだけ与えられた能力で、 それが許されるのは子どもにだけ与えられた特権なのだろう。 だから川上未映子さんの描く子どもたちは、哀しみや怒りや呪いもすべて含めて無垢で、ありのままなのだろう。 異なる二つの時間(または季節、時期)を切り取ったこの小説。 最後に少女は遠い未来に思いを馳せて、仮想的な未来から過去となった「今」を振り返る形で物語は終わる。 その瞬間、少女があこがれているのは、過去か、それとも未来なのだろうか。 きっと少女があこがれて、会いたくて心焦がれるのは、誰でもない「その日」の自分自身だろう。 「そうなっているはずだ」「そうありたい」と願うその日の、自分自身だ。 過去の私は未来にあこがれ、未来の私は過去にあこがれている。 永遠にそれは、手に入らないまま、きっと二度と会うことはない。 あこがれのまま。

Posted byブクログ

2015/11/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一章の”ミス・アイスサンドイッチ”は少年の麦くんが主人公だ。 すごいまぶたの持ち主のミス・アイスサンドイッチ(スーパー内のパン屋さん)から目が離せなくなりいつもサンドイッチを買いに行ってしまう。 でも、最後に話せて良かったね。 もっとミステリアスな女性だと思ったら案外普通な感じっだった。 "新潮”で”苺ジャムから苺を引けば”は読んでいたのでそれはその時の感想。 せつなかったぁ。 最初、クラスメイトの名前がヘガティー、ドゥワップ、リッスン、チグリス、なんていうから外国が舞台かと思ったよ。 おならが紅茶の匂いだからヘガティーって。 4歳で母親を亡くしたヘガティーが母親に宛てた手紙には泣けたよ~。 私も麦くんみたいな異性の友達が欲しかったよ。 別れるときの暗号が”アルパチーノ”っていうのがいい。 映画好きのふたりらしくて。

Posted byブクログ

2015/11/21

麦君の章に出できたヘガティーという女の子の登場シーンに渾名の由来が出できて思わず笑いそして映画の銃撃戦のシーンを再現して見せるキャラクターに目が放せなくなった チグリスという女の子がメインになってる話しも書いて欲しかった

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2015/11/20

たのしかったのは麦くんの章、好きなのはヘガティーの章。余計なこばなしも多くて読みにくいけど、あこがれにみちていた。

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2015/11/15

おもしろかった。 子供たちが主人公なのに 大人の自分がその傍らで同化して、(そうだね。凄いよ。麦くん)と純粋にワクワクしてしまう。 文章のはしはしに 心の透明感と自分では力及ばないやるせなさと、まっすぐな気持ちがたくさん光を放って、読み手の心をつかんでいく。 あだ名のネーミング...

おもしろかった。 子供たちが主人公なのに 大人の自分がその傍らで同化して、(そうだね。凄いよ。麦くん)と純粋にワクワクしてしまう。 文章のはしはしに 心の透明感と自分では力及ばないやるせなさと、まっすぐな気持ちがたくさん光を放って、読み手の心をつかんでいく。 あだ名のネーミングセンスも抜群で、麦くんがクラスにいたら 人気者だあったろうな。 ヘガティーはそろそろ中学性だから、麦くんセンスで可愛い名前の由来を考えてあげて欲しいなぁ。

Posted byブクログ

2015/11/13

やっぱいいよな、川上未映子さんの綴る文章、リズム、センス。文字だらけなのに軽やか。だらだらしているのにリズミカル。そして抜群のセンス。 小学校四年生の麦くんの、蒼い瞼の目の大きなサンドイッチの売り子の女の人への恋にも似た興味、ヘガティーとの関係。そして二年後の六年生になったヘガテ...

やっぱいいよな、川上未映子さんの綴る文章、リズム、センス。文字だらけなのに軽やか。だらだらしているのにリズミカル。そして抜群のセンス。 小学校四年生の麦くんの、蒼い瞼の目の大きなサンドイッチの売り子の女の人への恋にも似た興味、ヘガティーとの関係。そして二年後の六年生になったヘガティー視点から実父と亡き母と、そして実父が再婚する前に結婚していた元妻と半分だけのお姉さん探し。 思春期に入る前の、大人になる前のあの小さな絶望。みんなそれぞれの思考で遠くに行ってしまうんだなとなぜだか感じる深い虚無感。 有吉も唸りそうなほどの麦くんのあだ名センスには脱帽です。屁が紅茶の匂いしたからヘガティー。ツインテールの女の子の髪が川のようだったからチグリス。そしてその姉はユーフラさん笑。 この子たちはこの先どんどんいろんなことに失望したり時に大きな絶望を味わうことになる。そんな中でもきっと、肩を組みながらキラキラと前に進むんだろうなと思った。アルパチーノ、昨日にあの時にアルパチーノ。きらめきが眩しい、そんな物語

Posted byブクログ

2015/11/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

みんな、遠くへ行ってしまう。本当の自分を知っているのにね――。麦彦とヘガティーは、脆い殻のようなイノセンスを抱えて走っていく。この悪意と矛盾と儚さに充ちた世界の中を。装丁がすごく好みな作品。だがしかし、作品の内容は難しくて理解が出来なかったのが残念かもしれない。しばらくしてから再読をしたい作品かもしれない。

Posted byブクログ

2015/11/11

川上氏のこういう作品を待ってました。小学生なんだけど、決して大人っぽいとは違う、かといって絵に描いたような純真な子どもたちとも違う、なんだろう、とにかく素直な心の動き、表現がひきつけられる。川上氏特有の、あの切れ目のない感じ。子どもたちはひとつひとつ、吐き出したいけど、心の流れは...

川上氏のこういう作品を待ってました。小学生なんだけど、決して大人っぽいとは違う、かといって絵に描いたような純真な子どもたちとも違う、なんだろう、とにかく素直な心の動き、表現がひきつけられる。川上氏特有の、あの切れ目のない感じ。子どもたちはひとつひとつ、吐き出したいけど、心の流れはそうはいかない。ヘガティーの由来もすごいけど、アルパチーノ!は、本作を読んだだれかと使いたいな。そう、本作は映画もひとつのキーワードとして使われていて、映画好きとしては、あーそうくるか、と思うところもおもしろかったひとつ。

Posted byブクログ