ナチスの戦争1918-1949 の商品レビュー
戦後ドイツに関する記述が特に興味深かった。 ソ連軍による戦争犯罪について、存在自体は知っていたが、実例や被害を受けそうになった女性の記述を読んだことで、それまで感じられなかった凄惨さをひしひしと感じることができた。 また、大戦末期のドイツ軍幹部に見られたイデオロギー的狂信には...
戦後ドイツに関する記述が特に興味深かった。 ソ連軍による戦争犯罪について、存在自体は知っていたが、実例や被害を受けそうになった女性の記述を読んだことで、それまで感じられなかった凄惨さをひしひしと感じることができた。 また、大戦末期のドイツ軍幹部に見られたイデオロギー的狂信には恐怖を感じた。「秀でたアーリア人は必ず勝利する」という夢物語を末期になっても信奉していた人が幹部レベルで存在していたのだから、それだけナチズムは求心力が高かったのだと思い知らされた。 戦争の凄惨さを知るための必読の一冊だと思った。
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第一次世界大戦に参戦し、自らも負傷したヒトラー。その後政権を奪取するために一揆を起こすも失敗、投獄される。そこでヒトラーは、暴力ではない議会を通じた政権の掌握の重要性を知る。また、連合国を憎み、「背後のひと突き」というかたちで裏切った身内に強い憎しみを抱く。その思想は東方への生存...
第一次世界大戦に参戦し、自らも負傷したヒトラー。その後政権を奪取するために一揆を起こすも失敗、投獄される。そこでヒトラーは、暴力ではない議会を通じた政権の掌握の重要性を知る。また、連合国を憎み、「背後のひと突き」というかたちで裏切った身内に強い憎しみを抱く。その思想は東方への生存圏を拡大することと結びつき、ユダヤ人への迫害やソ連に対する絶滅戦争の根幹となっていく。 大戦が始まると、独ソ戦はヒトラーが思い描いていた電撃戦とはならず、次第に戦線は膠着し夥しい数の死傷者を出すことになる。それでもヒトラーは国防軍の決定権を自らが握り、降伏を固く禁じた。だがスターリングラードでの敗北後、坂道を転がり落ちるようにドイツは追い詰められていく。西部戦線はアメリカが参加したことによって巻き返され、東部戦線は凄まじい勢いでソ連が迫ってくる。ドイツ本国への空襲も激化し、多くの住民が西方へ避難を始める。その背景には、ナチスによるソ連軍の恐ろしさの喧伝があったのは言うまでもない。次第に、ドイツにとっての最前線と銃後は一体化していく。にもかかわらず、決して退くことは許されない。その絶望感と悲壮感が凄まじい。 最終的に、ヒトラーはじめナチスの幹部のほとんどは悲惨な末路を辿ることになる。もちろんそれ以外にも党員として迫害などに加担した者は多くいた。だがそういった人々も、結局は「同調者」だったに過ぎないという立場にとどまった。すべての責任が一部に押し付けられ、ドイツの被害者意識を醸成したところに歴史の難しさがある。
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※このレビューにはネタバレを含みます
・政治の軍隊化 ではなく 軍隊の政治化 のナチ体制 数々の政治的闘争により、暴力に慣れたワイマール時代の国民(突撃隊、赤色戦線戦士同盟、国旗団、十字架団) ナチ体制での失業者の減少→一次大戦で出生率が少ない世代が労働者となる年と重なった、女性の社会進出を抑えた などが理由 再軍備、四カ年計画時には極度の労働力不足 女性労働者は結局再び増えた 意図派、機能派、ヒトラーの戦争遂行計画(ボスバッハ覚書 1937) ナチのユダヤ人の定義→祖父母の少なくとも3人がユダヤ人 ただし非常に曖昧 ソ連のドイツ占領域にいた300万人よユダヤ人のうち200万人が殺害される 戦時中の農業労働者の半数、鉱山労働者、建設労働者の3分の1が外国人(ソ連人は半数が女性) ドイツ国内に連れてこられた外国人の存在はドイツ人の彼らに対する偏見、恐怖心を高める 都市爆撃、女性への暴力、東部占領域からのドイツ人の追放はドイツが戦争において被害者であるという認識を強める 難民キャンプの東欧ユダヤ人、闇市への関与、連合軍から特権を与えられている存在という認識→ユダヤ人への偏見はしばらくは残る
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ナチス・ドイツの成り立ちから崩壊までを描いた通史。ナチスがどのような目的の下で何をしたのか、なぜ彼らは政権を握ることができたのか、そしてドイツ人は彼らの指導で戦った第二次世界大戦をどのように捉えているのか、鋭い指摘がなされている。
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ナチスとは? ヒトラーはなぜ権力を手に入れたのか? この疑問を知りたかった。 なるほど、大衆に選ばれて支持されたんだ。 現在では考えられないナチの 考え方や行ないを一般の人は 知って見ぬふりか、 その主義主張にある程度賛同していたんだろう。 今と異なる環境に暮らしていた庶民は や...
ナチスとは? ヒトラーはなぜ権力を手に入れたのか? この疑問を知りたかった。 なるほど、大衆に選ばれて支持されたんだ。 現在では考えられないナチの 考え方や行ないを一般の人は 知って見ぬふりか、 その主義主張にある程度賛同していたんだろう。 今と異なる環境に暮らしていた庶民は やらねばやられる 戦争が当たり前の時代の 気持ちを窺い知ることができた。 それにしてもナチが行った政治は ちょっと想像を絶する内容だった。
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第二次世界大戦のナチス・ドイツの誕生背景から戦前、戦中、戦後の状況までをざっくりと把握することが出来た。 そして当時のドイツの状況が、今の日本とまったく無関係とも言えない。どころか何ならそれナチスがやってた手口じゃん、と思えるようなことがちょくちょく浮かんでしまって、少し怖くも...
第二次世界大戦のナチス・ドイツの誕生背景から戦前、戦中、戦後の状況までをざっくりと把握することが出来た。 そして当時のドイツの状況が、今の日本とまったく無関係とも言えない。どころか何ならそれナチスがやってた手口じゃん、と思えるようなことがちょくちょく浮かんでしまって、少し怖くもなる。 現在の日本にはファナティックな支持を受けるような土台がなく、ナチス・ドイツ時代よりも圧倒的に多くの情報が行き交うようになったので、簡単にヒトラーのような人間が産まれるとは思わない。 だが、それでも冷笑や自己責任、無知を逆手に取ったアクションは目にするので、その時代に即した扇動があるな、とも思ったり。 以前、ナチス・ドイツ専門家の石田勇治氏がここ数年の日本はナチス前夜、ワイマール末期と形容していたことがある。 本著を読んで、その言葉を思い出した。
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ナチスの人種戦争について、その思想から行動まで。思想を軸に一貫して結末まで突き進んでることがわかる。興味深いのは戦後の行動。戦争責任について、ドイツ人はナチスと自分達を切り離してると言われるけど、その意識ががよく理解できる。
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ナチスドイツが主導した戦争がいかなるものだったのか、戦前・戦後の日本にも通じる教訓が多く含まれている。 ナチスの台頭が、第一次世界大戦のドイツ敗戦に始まっているというのは重要な指摘だ。降伏の時点でドイツはまだ東欧諸国を占領していたし、国内の革命やら、兵士の脱走やらで自壊したの...
ナチスドイツが主導した戦争がいかなるものだったのか、戦前・戦後の日本にも通じる教訓が多く含まれている。 ナチスの台頭が、第一次世界大戦のドイツ敗戦に始まっているというのは重要な指摘だ。降伏の時点でドイツはまだ東欧諸国を占領していたし、国内の革命やら、兵士の脱走やらで自壊したのであって、裏切り者による「背後からのひと突き」のせいだという幻想に国民がすがったところから〈憎悪に基づく政治運動が成長するための温床〉が出来上がった。〈ナチにとって「マルクス主義者のインターナショナリズム」は、ドイツの労働者を国家的・人種的共同体から引き離し民族の結束を弱める脅威であるとともに、1918年にドイツの奮闘を妨害したものでもある。ゆえに粉砕しなければならなかった。ユダヤ人はマルクス主義者の脅威の陰に隠れ、ドイツ民族を汚染し弱らせ破壊しようとする病原菌である。ゆえに排除しなければならなかった。〉 無慈悲な民族思想は、戦場でも、銃後でも悲惨な結果を残している。〈ドイツに降伏した約570万人のソ連兵のうち、少なくとも330万人が食事を満足に与えられず、きちんとした宿舎も与えられず、傷や病気の手当も事実上されなかったために命を落とした。〉〈ヨーロッパじゅうの被占領地の生産力はナチの戦争機構に利用され、農産物はドイツの消費者が食糧不足にならないよう持ち去られた。たとえ東欧の数百万人の人々が餓死することになっても関係なかったのだ。〉 ナチ・ドイツには戦争の「終了計画」はなかった。〈結局、ナチ・ドイツは非常に驚くべきことを成し遂げた。完全なる敗北である。工業先進国が最後の最後まで戦い、攻守ともに数十万人の死傷者を出した市街戦の末、敵軍部隊が政府所在地を制圧してようやく降伏したというのは現代史上はじめてのことだった。天皇のいる日本ですら最後まで抵抗を続けず、広島と長崎への原爆投下後、やむをえず事態を受け入れる道を選んだ。しかしドイツ軍部隊は、ソ連軍がドイツの首相官邸の庭まで近づいても戦い続けた。〉 民族主義的な幻想にひたってファシズムに政権をゆだねた。他民族を侮り、他国を自国のための資源とみなし、自国民の奴隷として使おうとした。戦争をはじめたが、終わらせ方を考えていなかったせいで、最後の数ヶ月で多くの被害を出した。みな日本にもあてはまることだ。第二次世界大戦での中国人の死者は、諸説あるが百万人はくだるまい。これは日本軍の「現地自活」「現地調達」のための餓死者を多く含む数字だ。戦後、戦争を「軍部」(ナチス)のせいにして、被害者意識のほうを太らせたという指摘も、共通する。 人は歴史に学ばねばならない。そのためには歴史を直視しなければならない。そうしたことを強く思う1冊である。
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淡々と書かれた歴史物なのに、身の毛がよだつ思いがした。 闘うこと自体が自己目的化し、闘いをやめるという選択肢はすでに存在しない。全滅させるか全滅させられるかという究極の2択。 はじめはドイツ中から熱狂的に支持された支配者が、権力を思いの儘にして結果的に国を破滅においやるまでの道...
淡々と書かれた歴史物なのに、身の毛がよだつ思いがした。 闘うこと自体が自己目的化し、闘いをやめるという選択肢はすでに存在しない。全滅させるか全滅させられるかという究極の2択。 はじめはドイツ中から熱狂的に支持された支配者が、権力を思いの儘にして結果的に国を破滅においやるまでの道のりが、恐ろしいくらいに丁寧に書かれている。 集団心理でも個人の心理でも、引き返す勇気は、どうやったらもてるのだろうか。 対岸の火事とはいえない怖さを感じた。
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ナチスの誕生から戦後のドイツ情勢について。戦争に至るまでの時系列やナチズムの発展の経緯がきれいにまとまっている。戦後の責任所在やなんのための戦争だったのか、考えれば考えるほど、その議論の重みは増す。新書「アドルフ・ヒトラー」と一緒に読むと、全貌がよく見えてくる。
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