ここは私たちのいない場所 の商品レビュー
ひょんなことから会社を辞めることになった独身男のお話。 結婚をしないで生きると決めて生きた彼が 身近な女とじっくり親しくなっていく。 会社を辞めてしまったし、妻子はないし、 旧友の死や母親の入院などの災難はあれど お金と時間に余裕のある主人公。 その2つがあれば人は精神的に...
ひょんなことから会社を辞めることになった独身男のお話。 結婚をしないで生きると決めて生きた彼が 身近な女とじっくり親しくなっていく。 会社を辞めてしまったし、妻子はないし、 旧友の死や母親の入院などの災難はあれど お金と時間に余裕のある主人公。 その2つがあれば人は精神的に安定するのかな? どんなことがあっても乱れない彼の穏やかさが 読んでいてとても心地良かったです。 大人の男女関係ってやはり洒落てるし何より余裕があって、読んでいてとても気持ちが良い。 これは恋愛小説ではないけれど、 独身男性の人生について考えさせられる 味わったことのなかった視点の本で面白かったです。 はじめての白石一文さんでしたが やさしい空気感と、出てくる場所が東京というところに親近感を覚えて、とてもよかったです。
Posted by
淡々と物語が紡がれる。 初めはこのまま何もない話なのか?と思ったが、 人の死を根底に、人との関わり方、生き方をやんわりと話している。半分くらいから話が見えてきて面白くなったので☆4 画家の母と元部下の母が仲良くなり、そこに元部下も仲良くなっていくシーンがなんかほっこり 虹から...
淡々と物語が紡がれる。 初めはこのまま何もない話なのか?と思ったが、 人の死を根底に、人との関わり方、生き方をやんわりと話している。半分くらいから話が見えてきて面白くなったので☆4 画家の母と元部下の母が仲良くなり、そこに元部下も仲良くなっていくシーンがなんかほっこり 虹から生まれた美しい珠 随所に素敵な言葉がある。 他作も読んでみたい。
Posted by
最後までオチのないストーリー。その後の男女の関係がどうなるか、暗に結ばれると想像させる感じで終了する。 白黒はっきり解決して、スッキリしたいのに!!! 最後の文章まで読んで、「で?」っていうのが率直な感想でしたʅ(◞‿◟)ʃ
Posted by
2019/09/06 私小説だなあ 結局、人生の中で漠然と立場はあるけど 流されるままの人の話と言う印象しかありませんでした あらすじはもっと面白そうだったのだけれど? 自分と言う軸がブレブレなので、どんな選択も 読み手には納得のいかないものなのです。 人生と言うものは そう...
2019/09/06 私小説だなあ 結局、人生の中で漠然と立場はあるけど 流されるままの人の話と言う印象しかありませんでした あらすじはもっと面白そうだったのだけれど? 自分と言う軸がブレブレなので、どんな選択も 読み手には納得のいかないものなのです。 人生と言うものは そういうものだ、と言われたら そうとしか言えないのだけれど。 流されるような 流されていく 私小説とみなしました。
Posted by
レクイエムとのことでもう少し悲壮感ある内容かと思ったら、常務まで出世した独身男性の取り巻く中で物語が進む。 ちょっと非日常すぎる内容も盛り込まれているが、死への感じ方、直前の気持ちは著者の描写がうまい。
Posted by
仕事ができ、人柄も良いが、何か欠損がある男を主人公にする白石一文の作品は、どれも素晴らしい。本書もこのカテゴリーに属するもので、主人公の周囲を彩る艶やかな女たちや、地味な男たちも物語を盛り上げてくれる。 長く交流を欠いている親友が末期癌で死の床にいると聞いても会いにいかず、彼が死...
仕事ができ、人柄も良いが、何か欠損がある男を主人公にする白石一文の作品は、どれも素晴らしい。本書もこのカテゴリーに属するもので、主人公の周囲を彩る艶やかな女たちや、地味な男たちも物語を盛り上げてくれる。 長く交流を欠いている親友が末期癌で死の床にいると聞いても会いにいかず、彼が死んでもそのことを知らなければよかったと思う主人公。そして、彼と自分がいた世界と、彼がいなくて自分がいる世界の違いを噛み締める。物語の底を流れる生死についての深い洞察がきらりと光る。
Posted by
【あらすじ】 芹澤は大手食品メーカーの役員。順風満帆な会社員人生を送ってきたが、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。ある日、芹澤は鴨原珠美という元部下と再会し、関係を持つ。それは珠美の策略であったのだが、彼女と会う時間は、諦観していた芹澤の人生に色彩をもたらし始めた。...
【あらすじ】 芹澤は大手食品メーカーの役員。順風満帆な会社員人生を送ってきたが、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。ある日、芹澤は鴨原珠美という元部下と再会し、関係を持つ。それは珠美の策略であったのだが、彼女と会う時間は、諦観していた芹澤の人生に色彩をもたらし始めた。喪失を知るすべての人へ。光と救いに満ちた最新書き下ろし長編。 【感想】 この物語は死について、そして反対に生についても深く考えさせられた。主人公があることが原因で会社をやめてしまう。そして、自分がいた場所を離れたところから見て、様々なことに気付く。小堺やその周辺の不祥事の責任を取る形で、主人公は会社を辞めたが、そのおかげで小堺の妻、珠美と縁ができた。それは主人公にとって大きなことだったと、わたしは思う。珠美は行動的で、自分の意見や思ったことをはっきりと口にする。それが主人公にとって新鮮だったのだろう。主人公も自分で思ったことをやってみようという気になった。そんな中で、同級生の死を知る。主人公はそれを知らされた時、人の死は誰にも知らされなくていいのではないかと思っている。みんながある日どこかへ行ってしまう。そういう社会が実現すれば、この世界はもっと平和で安らかな場所になるのではなかろうか?と。確かにそうなのかもしれない。でも、わたしは誰かが急にいなくなったら心配でたまらなくなる。だから、悲しいけれど、人の死は知らされるべきだとわたしは思う。そして安らかに眠ってねと、お別れを言いたい。主人公は幼くして妹を亡くした。きっとちゃんとお別れを言えなかったんだと思う。だから、死に対してそういう考えを持っているのではないかなと思った。でも、珠美と接していくうちに、主人公は少しずつ変わっていった気がする。死に向かって生きるのではなくて、生に向かって生きるようになった気がするのだ。珠美との出会いはどうであれ、生き生きと生きている珠美に接したおかげだと思う。過去に囚われ続けていたら、主人公は死というものにがんじがらめになったままだっただろう。これから主人公がどう生きていくかが楽しみだ。
Posted by
依存し合わない適度な距離感が凄く気持ち良い世界観だった。白石一文の良さがわかる人は、絶対にこの小説が好きだろうと思った。
Posted by
なんとも、相変わらず淡々と書いてゆく作家だなあと。作家自身の性格が出ているのか。 仕事ができるというわりに、あっさり女と寝てしまうのね。 お母さんのことをママと言ってたり。 あと、キリストと釈迦の捉え方はびっくり。 セリフが多くサクサク読めたけれどね。
Posted by
5歳のときにふたつ年下の妹を肺炎で失った芹澤。当時のトラウマから、50歳近くまで家族を持つことを拒絶し、独身を貫き通す。そんな芹澤が元部下の女性との再開や親友の死をきっかけに諦観していた人生を見つめ直していくことに。 「この世界で最大の尊崇を集めている二人(釈尊、イエス・キリス...
5歳のときにふたつ年下の妹を肺炎で失った芹澤。当時のトラウマから、50歳近くまで家族を持つことを拒絶し、独身を貫き通す。そんな芹澤が元部下の女性との再開や親友の死をきっかけに諦観していた人生を見つめ直していくことに。 「この世界で最大の尊崇を集めている二人(釈尊、イエス・キリスト)が性交渉を拒絶し、人類の存続を全否定しているのは驚くべき真実だと私はずっと思ってきた。 もしも彼らの教えを忠実に守っていたならば、とっくの昔に人類は絶滅していたに違いない。 そういった意味で、釈尊やキリストの教えは人類にとってたぐいまれなる危険思想と呼んでもいいだろう。」 そんな視点で仏教やキリスト教のことをとらえたことなかったなぁ。 死生観についていろいろと考えさせられる一冊でした。
Posted by