ここは私たちのいない場所 の商品レビュー
食品会社の常務 芹沢存美(ありのり)は幼い頃に死んだ妹の在美(あるみ)の想い出が常に脳裏にある.独身を通していたが,元部下の女性の姦計で会社を辞めるが,その女性ともたまに会う.古い友人の死で心が騒ぐが,何とか乗り切る.淡々とした物語だが,随所に宗教や哲学などの話が出てきて,考えさ...
食品会社の常務 芹沢存美(ありのり)は幼い頃に死んだ妹の在美(あるみ)の想い出が常に脳裏にある.独身を通していたが,元部下の女性の姦計で会社を辞めるが,その女性ともたまに会う.古い友人の死で心が騒ぐが,何とか乗り切る.淡々とした物語だが,随所に宗教や哲学などの話が出てきて,考えさせられる言葉がちりばめられているのが良い.
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※このレビューにはネタバレを含みます
部下の不祥事と、その妻との関係で出世した会社を退職した芹澤。 妹をわずか3歳で病死に直面してから肉親関係に希薄になり、恋愛はするものの独身で子供のいない立場で自由に生きてきた。 会社を辞めるきっかけになった部下の元妻、珠美と会ううちに 季節はめぐり、珠美は離婚して、画家の母が病気で倒れ のらりくらりと過ごす日々。 食べるシーンが多いね。 妹の死がトラウマになっているけれど、独身で気楽という感じ。 最後の唇怪我して頼りないときに珠美が登場するのは ダラダラしてきた内容だったのが読み終わりほんわかして良い。 元気を失ったときは、過去に聞いていた音楽を聴くと思い出がよみがえって元気づけられるって本当かも。 私もやる)^o^(
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3才で命を落とした妹の死を境に人生に前向きになれない芹澤。結婚もせず仕事に打ち込み、大手食品メーカーの役員となっても心に巣くう喪失感はなくならない。 ある出来事をきっかけに職を辞した芹澤が、友の突然の死を契機に自分の人生、自分の生きる場所について考える。 セスナ事故で九死に一生を...
3才で命を落とした妹の死を境に人生に前向きになれない芹澤。結婚もせず仕事に打ち込み、大手食品メーカーの役員となっても心に巣くう喪失感はなくならない。 ある出来事をきっかけに職を辞した芹澤が、友の突然の死を契機に自分の人生、自分の生きる場所について考える。 セスナ事故で九死に一生を得た友の「人間は、自分が死ぬのかどうか判断がつかないまま本当に死んじまうんだよ」ということばは響いた。 芹澤と共に私も自分の生き方について、自分のいる場所について自分の答えを見つけるよう課題を与えられたような気がしている。
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最近、知人が結婚した。50代半ばの男性と30代初めの女性。共に初婚。 「女性の肉体を足の指から髪の毛の一本一本までくまなく舐め尽したいという衝動」に彼もかられたのだろうか、と妄想してしまう。 ずっと会っていない友人が死を目前にした入院生活を送ることになったら、私もお見舞いにはい...
最近、知人が結婚した。50代半ばの男性と30代初めの女性。共に初婚。 「女性の肉体を足の指から髪の毛の一本一本までくまなく舐め尽したいという衝動」に彼もかられたのだろうか、と妄想してしまう。 ずっと会っていない友人が死を目前にした入院生活を送ることになったら、私もお見舞いにはいかない。逆なら来てほしくないから。 以前、入院生活を送っているとき、上司の奥様が化粧をきっちりして代理にお見舞いにいらした。そのときの気持ちが思い出される。 子どもを持たない人生だったけど、こうやって、病気のときには料理を作りにきてくれる異性が居るだけで十分じゃないか、と結末は嫉妬してしまった。 白石さんの小説っていつもそう。
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主人公の生活があまりに自分とかけ離れていたので、主人公の気持ちに寄り添うことができなかった。 出世より家族を取った人の気持ちはそうだよなぁと思える。 先が見えてくると、大事なものを再認識できる。
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結婚せず、子どものいない人生を選んできた芹澤。幼い頃に妹を亡くしまている。生死に関する出来事に知らず知らずのうちに過剰に反応してしまう理由がそこにあるのだろうか。最後は少しだけど希望があるかな。 H28.2.3読了
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「ここは私たちのいない場所/白石一文」 昭和40年生まれの独身男性の人生。 幼い頃に幼い妹を亡くし、どこか冷めた感情を抱えたままに生きてきた芹澤。 女性に縁がないわけでもなく、むしろ、女が放っておけないタイプの男。 「死」が、やたらと身近にあって、実在とは何か…死ぬことを考えると...
「ここは私たちのいない場所/白石一文」 昭和40年生まれの独身男性の人生。 幼い頃に幼い妹を亡くし、どこか冷めた感情を抱えたままに生きてきた芹澤。 女性に縁がないわけでもなく、むしろ、女が放っておけないタイプの男。 「死」が、やたらと身近にあって、実在とは何か…死ぬことを考えるということは、生きることを考えるということ。 「死」が誰の「生」にも実在すること。 若い人にはまだ遠い話しなのかも知れませんが、半世紀近く生き、人生の折り返しもとうに過ぎたであろう今となっては、残りの人生をどう生きるべきか…考えてしまう。 芹澤の残りの人生が良いものであってほしい。 2016.02.02 今年の2冊目(^^)
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喪失を避けるために他人と深い関係を持たない、子どももつくらない。それはつまり、自分がいなくなったときも誰からも悲しんでもらえないということ。この場所(世界)に私はいない。でも、タイトルを見て。“私たち”なんだよ。
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仕事にも結婚にも無関心な男性が不倫を仕掛けられて自ら無色になり、毎日どうしようかなあとぼーっとする話。よくわからん。最後はなんか希望があった。
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よくも悪くも、白石節がおとなしい作品。 中年期から壮年期に差し掛かった時に、ふとしたきっかけで人生を見つめ直すことになる主人公。物語の流れはうまいので、恵まれすぎている環境や都合の良い設定はそれほど気にはならない。 白石一文はここ数作品で作風が少しまろやかになったと感じる。エ...
よくも悪くも、白石節がおとなしい作品。 中年期から壮年期に差し掛かった時に、ふとしたきっかけで人生を見つめ直すことになる主人公。物語の流れはうまいので、恵まれすぎている環境や都合の良い設定はそれほど気にはならない。 白石一文はここ数作品で作風が少しまろやかになったと感じる。エッジの効き過ぎた初期の作品から見ると登場人物の年齢も上がってきているので、作者自身が次のステージに踏み入れていることが確認できた気がする。 ところどころに深い一文が刺さってくるので、何年か後に読み返したい一作である。
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