終わった人 の商品レビュー
なんとも言えない味がある作品。 定年退職は『生前葬』と言うところから、始まる。 東大をでて、一流銀行(メガバンク)にはいって、 役員をめざす頃から、出世する人脈が外れる。 実力はあるが、協調性がない という理由で主流になれなかった。 小さな会社の専務になって、定年を迎える。 ...
なんとも言えない味がある作品。 定年退職は『生前葬』と言うところから、始まる。 東大をでて、一流銀行(メガバンク)にはいって、 役員をめざす頃から、出世する人脈が外れる。 実力はあるが、協調性がない という理由で主流になれなかった。 小さな会社の専務になって、定年を迎える。 こんなはずじゃなかった と思ったけど、 定年になれば シゴトが趣味と言う状況で 何をすればいいのかわからない。 時間をもてあそび、妻にも 煙たがられる存在。 やっと、大学院に行こうと決意して カルチャースクールにかようと、可愛い子といっても 40歳近い女性に 想いを寄せる。 源氏物語を選ぶのか、石川啄木を選ぶのか? この石川啄木への愛着と、宮沢賢治への愛着がなんとも言えない。 カルチャースクールに通っている青年が IT企業の経営者であった。彼に口説かれて、 再度 ビジネスの世界に入って、奮闘する。 やっぱり、シゴトはいいなぁ と思っている矢先に 経営者は 突然死んでしまい。 代表取締役に 就任する。 背広が生きていると言う表現がいい。 終った人が 人生を ソフトランディングさせることができるのか? 終った人生、無理するなよ という警告なのかな。 それにしても、妻は 元気なのがいい。
Posted by
途轍もなく興味深い内容でした。夫が定年退職した後の夫婦のあり方や、家族、生活などなど。夫面での内容が多く、今後来るであろうそんな生活が浮き彫りにされるような話でとてもじゃないけど人ごととしては読み切れない深い内容でした。 下手なサスペンスよりドキドキした。 ホント。確かに。と...
途轍もなく興味深い内容でした。夫が定年退職した後の夫婦のあり方や、家族、生活などなど。夫面での内容が多く、今後来るであろうそんな生活が浮き彫りにされるような話でとてもじゃないけど人ごととしては読み切れない深い内容でした。 下手なサスペンスよりドキドキした。 ホント。確かに。とつくづく思う一章一章でどーにも自分たちの人生を重ねてしまいそうになります。 世の夫婦は一読する意味ありそうです。。。 良くも悪くもある程度の覚悟を。
Posted by
本書が出版されて2年近くになる。ちょうどその頃から私は自分のことを「オワコン」と称していた。主人公とは性別も年齢も違うけど、もう自分は「終わった人」だと思っていた。だからすぐにでも読みたかったのに忘れていて今回何かがきっかけで思い出し、図書館で借りた。 身につまされることがあまり...
本書が出版されて2年近くになる。ちょうどその頃から私は自分のことを「オワコン」と称していた。主人公とは性別も年齢も違うけど、もう自分は「終わった人」だと思っていた。だからすぐにでも読みたかったのに忘れていて今回何かがきっかけで思い出し、図書館で借りた。 身につまされることがあまりに多く、ちょっと感想が書けない。 "「そりゃパパのやったことは悪いよ、一切、ママに責任はない。だから、方法は二つしかないってこと。別れるか、元に戻るか。考えてもみなって。ママは一人で暮らせないと思って結婚したんでしょ。どうせならいい暮らしができそうな、東大出のメガバンクの男をつかまえたわけでしょ。もしも、結婚した男が一生、ずっと健やかで豊かで、自分を幸せにしてくれると思っていたなら、ママはバカ。妻になれる器じゃない。」 千草は固まったが、ここまで言う娘に俺も固まった。 「生身の男だもん、病気もあれば事故もあるよ。他にも色々と何があるかわからないに決まってるじゃない。結婚なんてギャンブルだよ。それに、一人で暮らせないから男をとっつかまえた以上、女もかぶらなきゃいけないものは当然ある。結婚はギブアンドテーク。その根性がないなら、別れる。二つにひとつだよ」" 345ページ
Posted by
エリート銀行マンとして不完全燃焼の俺が定年を迎え、悩みもがきながらも誇りをもった余生を送ろうと奔走する、コメディタッチの話。「終わった人」というタイトルがいい。ところどころに出てくる石川啄木の唄も、宮沢賢治の言葉も、俺の置かれた身や話の情景をよく表していていた。
Posted by
道子の言葉が鋭かったー。(>人<;) 私も仕事辞めて専業主婦になりたいとか思うけど、仕事を辞めたら辞めたで毎日が退屈で耐えられなくなるのかなーとか、いろいろ考えさせられた。。
Posted by
ユーモアたっぷりの、ある定年退職した男の抗い方が笑える。共感する部分も多くてクスクスしながらサラサラ読めた。 後半部分は少し無理な設定で前半部の首肯が外され感が惜しい。
Posted by
定年した男の人について、事細かい感情、希望、寂寥、孤独…色んな思いが溢れてた。読むにつれて、「これ、私みたい…」って思い始めた。道子が私は専業主婦でよかったって言ったけど、私は全くそんな気持ちはなくて…。レベルは違うけど、勉強頑張って、田舎かから出たくて大学で家を離れ、大手企業に...
定年した男の人について、事細かい感情、希望、寂寥、孤独…色んな思いが溢れてた。読むにつれて、「これ、私みたい…」って思い始めた。道子が私は専業主婦でよかったって言ったけど、私は全くそんな気持ちはなくて…。レベルは違うけど、勉強頑張って、田舎かから出たくて大学で家を離れ、大手企業に就職するもまだ世の中そんなに女性が働くことに理解がなくて…。専業主婦になったら、今までのことは全てリセットされて、1人のママとしてまたスタートして、子どもが大きくなるにつれて自分の時間は増えて行くけど、時間潰しのジムや趣味にはなかなかのめり込めなくて…。どこかで人に頼りにされたい、評価されたい思いが消えなくて、社会に出たいと働き始め、でもアラフォーの女ができる仕事といえばなかなか難しく…。頑張ってきたのに、結局は若い方がいいのかよって場面も多くて、自分の居場所がわからなくて…。仕事と育児を両立している人を見てると、取り残された感があって…。定年した男の人と同じように、頑張ってきたけど専業主婦になっちゃった40代以上の心の闇もなかなか深いものかもしれないよ…。 自分のことに重ね合わせて読み終えた。
Posted by
内館牧子さんの小説は久しぶり。父や、会社の上司などを思い浮かべながら一気に読んだ。 気になった部分としては、石川啄木の短歌。 「小学の首席を割れと争ひし 友のいとなむ 木賃宿かな」 定年退職した主人公が、啄木の研究「でもするか」と入ったカルチャースクールで出会った短歌。 授業では...
内館牧子さんの小説は久しぶり。父や、会社の上司などを思い浮かべながら一気に読んだ。 気になった部分としては、石川啄木の短歌。 「小学の首席を割れと争ひし 友のいとなむ 木賃宿かな」 定年退職した主人公が、啄木の研究「でもするか」と入ったカルチャースクールで出会った短歌。 授業では、「首席を争った友だちが、ふるさとで安宿を営んでいる。さすらい歌を作る自分に比べて、しっかり地元に根づいている友だちに劣等感を感じた」と解説される。だが、主人公はそう受け取らず、「主席を争った友は安宿を営み、自分はさすらって貧しく歌を詠んでいる。人生はわからない」と受け取る。だが、いろいろあった後は、カルチャースクールでの解説が腑に落ちた。という部分。 私の今の受け取り方は、主人公と同じ。「学生時代にどんなに頭がよかったとしても、先はわからないことよ。しみじみ」としか思えない。 いつか、カルチャースクールでの解説が腑に落ちる日がくるのだろうか。
Posted by
とても面白く為になりました。 そーさんへの感情移入がハンパなく 物語が進むたび同じようにドキドキしてました。 いま、違う本を読み始めたけど、それが終わったらもう一度楽しもうと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
たぶん内館さんの小説そのものを読むのは初めてだと思います。 東大卒の超エリートサラリーマンが、子会社に出向し、そこで定年を迎えるところからスタート 私は女性で、定年までまだあり、そもそもエリートでバリバリ働いているわけでないので 退職金や年金はかなりもらえそうで、贅沢な悩みと思ってしまうが… タイトル通り「終わった人」がこの先どうなるのか… この先、この本の厚みの残り、何が起きるのか?と思っていたら ひと山、ふた山…と、読ませてくれる内館さん、すごいな。
Posted by