ジゴロとジゴレット の商品レビュー
軽妙にも感じられる文体で、肩に力を入れずに読める。 文体は重くないが、描かれている人物たちはそれぞれに軽くはないものを抱えていて、どんな結末に帰着するのかどの話も惹き込まれて読みました。 訳文が素晴らしいと思う。
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若い時は気づかなかったがモームって世界最高の作家なのかな?個人的に嫌いな要素は沢山あるんだけどやはり面白い。本書も飲酒後の読書に最適な長さでおまけに内容が深すぎる。各短編にそれぞれ微妙な感動があって飽きさせない
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モームは短編の名手と呼ばれているようだが、なるほど、この短編集はどれも本当に面白い。長編同様、短編に関しても癖のない文体で非常に読みやすかった。そして何より、ストーリーがよく練られているところが作品の完成度を高めているような気がする。
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キレッキレのモーム短編集、どの物語もあっという間に引きずり込まれる。 客観的に登場人物たちを観察する文章(わざわざその役目を担う人物を登場させる場合もある)、そうして物語を築く。 「狂」が心に巣作るようす 「知」という曖昧さ 「恐」が高まり積み上げていくようす 「死」に向き合う...
キレッキレのモーム短編集、どの物語もあっという間に引きずり込まれる。 客観的に登場人物たちを観察する文章(わざわざその役目を担う人物を登場させる場合もある)、そうして物語を築く。 「狂」が心に巣作るようす 「知」という曖昧さ 「恐」が高まり積み上げていくようす 「死」に向き合うことの難しさを…… 読み手の心の動きまで操る それでいて軽妙で読後は心地よい。 モームは良いですねー
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モームの物語は、掛け値なしに面白い。 奇をてらう展開があるわけでもない、設定が突飛なわけでもない。 なんとなく実際にありそうなシチュエーションを舞台に、人間の個性や本質をとても興味深くあぶり出す。 8つの短編が収められた本書、「モーム傑作選」と銘打っているだけあってどれも面白い...
モームの物語は、掛け値なしに面白い。 奇をてらう展開があるわけでもない、設定が突飛なわけでもない。 なんとなく実際にありそうなシチュエーションを舞台に、人間の個性や本質をとても興味深くあぶり出す。 8つの短編が収められた本書、「モーム傑作選」と銘打っているだけあってどれも面白い。とりわけ、サナトリウムで過ごすことになった主人公がそこで起こる様々な人間模様を描いた「サナトリウム」や太った3人の仲良し女性の仲間内に、ある日痩せた女性が一人入ったことによって生じる葛藤と、友情が崩れていくさまを面白おかしく描いた「アンティーブの三人の太った女」は、いわゆる"雨降って地固まる"系のしっとりと心地よい読後感を残してくれて好きだった。 その他の作品も読みやすくしっかりと面白いので、広くお勧めしたい作品。
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モームさん、面白いです。。 表題作のジゴロとジゴロとジゴレット、征服されざる者、良心の問題、サナトリウム、ジェインがオススメ。 「月と六ペンス」「人間の絆」は必ず読む。
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それぞれの登場人物のキャラクターが目に浮かぶような、そして小道具にも目配りの行き届いた、いかにもクラシックな短編小説、という趣がある「アンティーブの三人の太った女」から始まって、様々な趣向が凝らされた短編が並ぶ。個人的なお気に入りは、「サナトリウム」。サナトリウムの人間模様という...
それぞれの登場人物のキャラクターが目に浮かぶような、そして小道具にも目配りの行き届いた、いかにもクラシックな短編小説、という趣がある「アンティーブの三人の太った女」から始まって、様々な趣向が凝らされた短編が並ぶ。個人的なお気に入りは、「サナトリウム」。サナトリウムの人間模様という意味では洋の東西を問わずよくある主題なのかもしれずそこでの恋模様を描くのも定番に思われるが、そこから、この人物に?という人物にスポットライトが当たって、鮮やかに、そしてさわやかに物語が締められる。こうくるか、と唸ってしまった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
モーム二作目。ヨーロッパ(特にフランスが多い)を舞台とした短編8遍。全体的にモーム一流の人物描写(登場時に服装、表情等の外見描写で登場人物を立ち上がらせ、動作や表情の変化で心情を鮮やかに表す)と冷めた人間観、特に女性キャラクターの深い洞察と人物造形が際立っていた。加えて、不思議なことに第一人称的(第一人称と第三人称で書かれる話の両方がある。第一人称:3、第三人称:5。うち一作が第一人称で始まり、途中第三人称に切り替わる)に書かれる話で主人公の話し手のキャラクターが不思議なほどシャープに想起される。恐らく、モームの人生観や人間観を代弁している描写が多く、主人公の人格のように読めるからだろう。 どの作品も人間の嫉妬とか、怒り、自尊心や罪悪感などのどちらかというとネガティブな感情をテーマとした作品であるが、暗い雰囲気は全くなく、むしろ明るくユーモアに満ちた話だ(ただし、征服されざる者は除く)。ネガティブな感情に縛られた登場人物を客観的に突き放して描き、オチをつけることで視野が一気に俯瞰的になって、読者が人間の可笑しさを笑えるような作品になっている。 印象深い作品は、その強さの順に サナトリウム、ジェイン、征服されざる者、キジバトのような声 それ以外の短編も一級品でした。 完全に余談だが、訳者の金原瑞人は金原ひとみの実父と読後知る。
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お、おもしろ〜。O・ヘンリーばりにハートウォーミングだったり(サナトリウム)、「世にも奇妙な〜」にありそうな話だったり(マウントドラーゴ卿)、緊張感と嫌悪感がすさまじく、読みながらキツ…となるような話だったり(征服されざる者)、カラーは色々だけど全て夢中で読んでしまう。そして、全...
お、おもしろ〜。O・ヘンリーばりにハートウォーミングだったり(サナトリウム)、「世にも奇妙な〜」にありそうな話だったり(マウントドラーゴ卿)、緊張感と嫌悪感がすさまじく、読みながらキツ…となるような話だったり(征服されざる者)、カラーは色々だけど全て夢中で読んでしまう。そして、全体的に作者が「ものわかりのいい人間より、ちょっと面倒な人間の方が好きなのだ」(キジバトのような声より)なあというのがよく伝わってくる人間描写。面倒な人間を茶化しつつ愛情を持って描いているように思う。 通俗作家と評する向きもあるようだけど、面白いことはよいことだ。引き続き他の著作も読むぞ。
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見事な描写。月と六ペンスがかなり良かったため高い期待値で読み始めたが評価は変わらなかった。短編集は普段好まないにも関わらず。 一人の人間と自然との間には自由な対話スペースがある。この微妙な違いが予期せぬ関係や結果を産んだりするのだろうか。 文章が洗練されている。
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