等伯(下) の商品レビュー
下巻に進むと、さらに面白くなる。狩野派との対決が、意地とプライドだけでは表現できない、歴史と伝統のシガラミを、上手に表現している。上下巻通じて、絵や作品へのリスペクトはもちろんのこと、人物としてリスペクトとして書いている姿勢がとても読者に感銘を与えている。
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激動の時代に筆を取り続けた絵師長谷川等伯の時代小説。上巻に続き、下巻も試練の連続でハラハラしながら読む手が止まりませんでした...。人生を賭けて描いた絵には生命が宿り、見た人の心に生き続けるのだろう。いつか大河ドラマでやってほしい!
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連載小説を夢中で読んでいたことを、京都のお寺に行ったときに何とはなしに思い出した。父思いの息子や配慮深い後添えの奥様、狡猾な豊臣秀吉など、とても迫力のある小説だった。
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上に続き、下を読む。 時代小説は、あまり読んでいませんでしたが、直木賞・芥川賞を読むようになって、何冊か読みました。面白いですね。江戸時代も庶民を題材にしているものも、この本のように、実在の人物をモデルにかかれたものも、人物の心の描写が、ぐっときます。 戦国時代、信長、秀吉、家康…を描いたものは多いですが、絵師であっても、政治の影響を受けるのですね。 狩野派との争いなども、お金や政治力が働いている。 等伯の天才的な才能を持ちつつも、自分に正直に生きてしまうがための苦難…わかるけど、わかるけど、そこは大人になろうよなどど、読者であるある私は思うのですが…自分に正直に生きているからこそ描ける世界観を持っていたのでしょうね。 小説内ででてくる長谷川信春・等白・等伯のその時々で、転機となった絵を見てみたいですね。 人々を魅了してきた、渾身の絵。 狩野派の絵も見たいです。 私に、その凄さがわかるかは・・・・・。 2枚ほど、下記のYouTubeで紹介されていました。 https://www.youtube.com/watch?v=UtWkWHfbbm0 小説読了193冊目。ブクログ内で。
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信長没後、世の中は、豊臣秀吉が天下統一に動き出していた。信長と対立していた等伯としては、ようやく絵師としてその場を広げようという時代。 一人の才能豊な画家は、おそらく絵を描く場所を得ることだけ望みだったと思う。 時代の流れは激しく、長谷川家の再興を目指す実兄や元藩主の姫の策略にも...
信長没後、世の中は、豊臣秀吉が天下統一に動き出していた。信長と対立していた等伯としては、ようやく絵師としてその場を広げようという時代。 一人の才能豊な画家は、おそらく絵を描く場所を得ることだけ望みだったと思う。 時代の流れは激しく、長谷川家の再興を目指す実兄や元藩主の姫の策略にも巻き込まれる。等伯命名にも関わり、懇意にしていた利休の切腹も助けられない。政治的な厳しさに加えて、長く日本の画壇の中心だった狩野派との対立が顕著になってくる。狩野派の嫌がらせは、なかなかのもの。それだけ、等伯の長谷川派を恐れていたのだけれど。 現存する作品を等伯が描いている様子が、書かれるのですが、絵と等伯のその時の背景と心情が素晴らしいと思います。 多大な資料と考察で、絵師等伯の一代記と、絵師が関わってしまった理不尽な武家社会が読めます。
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時代背景を交えながらの分かりやすい文章でサクサク読めました。 等伯自身は、絵を描くことだけにひたすらに打ち込む、ちょっと変わり者という印象で、あまり魅力的な人に思えず、しっかり者の妻とよく出来た息子、政治的にも力のある人々に守られている感がありました。色んな人に助けられながらも、等伯が引き寄せているんですよね。 仏の教えがそこここに出てきますが、自分の成すべきことを無心で成すことなのかな、と難しいながら感じました。
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最後の秀吉との場面で失敗したら自分の命が奪われるだけでなく、恩人である近衛前久の責任も追求される状況で家族との思い出を絵に現した際に真っ暗な状態出でも心の眼で書いていたのですごいと思ったしこんだけ絵に打ち込んでるのだから当然のことなのかなぁと思った。
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長谷川等伯 狩野派と鎬を削った絵師。 狩野派とやれたのはこの人物だからではないだろうか。 そんな人物の小説は非常に面白かった。 息子の成長とその苦難。 死を受け入れられない、本人。 葛藤とその時代の巨匠に立ち向かう1人の全力さが描かれていたのではないか。 また、知ら...
長谷川等伯 狩野派と鎬を削った絵師。 狩野派とやれたのはこの人物だからではないだろうか。 そんな人物の小説は非常に面白かった。 息子の成長とその苦難。 死を受け入れられない、本人。 葛藤とその時代の巨匠に立ち向かう1人の全力さが描かれていたのではないか。 また、知らない作品が多々あり、非常に勉強になった。
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「松林図屏風」。大好きな作品でしたが、作者の等伯がこのような人で、このような人生を送った上に行き着いた終着点なんですね。今度いつか松林図屏風を見る機会があったら、感じ方も一層深くなると確信しています。早く屏風の前で佇んでいたいです。
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