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はじめての文学講義 の商品レビュー

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19件のお客様レビュー

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2024/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

⚫︎受け取ったメッセージ&感想 文学のよさや効用の捉え方、また小説をどう読むか?書くか?がわかりやすく書かれている。 ただただ読書を楽しんでいるだけでも十分だが、読み方を知ると、感動や著者のアイデア、表現技巧に感動や感心を深めることができる。文学をもっと自分に落とし込んだり、楽しむためのコツがいくつか見つかった。 また、優れた比喩の例や、いくつかの本が紹介されていて興味を持った。 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 読むことを楽しむにはどんな方法があるの? 魅力的な文章を書くにはどうしたらいいんだろう? その両面から文学の面白さ、深さを構造的に探っていく。太宰治をはじめ多様な文学作品をテキストに読むコツ、書くコツ、味わうコツを独特の視点で指南する。渋谷教育学園渋谷中学・高校での「文学講義」をまとめた一冊。 ⚫︎印象に残った内容 ・小説を含め芸術は全て既成の考えや制度を挑発する ・思考の継続が想像力の礎となる ・物語はニ項式から始まる ・全ての本がニ項式の観点から見れば役に立つと言える ・恋愛小説が苦手なら、人と人との駆け引きであり、政治であると読む ・少し背伸びしたくらいの読書がちょうどいい ・小説のアイデアは普段の生活でのディテール探しから ・優れた比喩を書き留めるノート ・立ち上がってから歩き出す一連のことを書くのではなく、歩いている途中から、むしろ唐突な動きとして書き始める ・文学的リアリティは〈必然性〉+〈一回性〉

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2023/08/20

「富士には、月見草がよく似合う」の一文に凝縮されるような、ダブル・ビジョンを探し出すのが物語の面白さ。 この内容は、スケザネさんの物語を楽しむカギの一つで出てきたことと同じかなと受け取った。

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2023/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者が渋谷教育学園渋谷中学高等学校でおこなった講演をもとにまとめられた一冊。 前半では、太宰治の「富士山」と「月見草」(『富嶽百景』)からはじまり、ジャンニ・ロダーリ(『ファンタジーの文法』)や梶井基次郎(『檸檬』)などの例をあげ、一見すると関係のなさそうな二つのものが物語には必要だとし、ひいては文学は日常的な価値観、現実認識を変容させると説く。 後半では、小説を読むため、書くためのアドバイスが書かれている。 数時間で読める本だが、とくに前半の「ファンタジーの二項式」には目を開かされた。また、あらすじを追うno ではなく、表現そのものを味わうことの大切さも改めて思い出させられた。本書でかかれているように、「興味をひかかれる比喩に出会ったらノートに書き写す」のもよいかもしれない。

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2023/11/09

読書中にこの書き方カッコいいなと思うこともあれば、冷めるなあと思うこともあります。小説を学問として見ず、感性に合う合わないで判断していた節がありますが、本著を読んで振り返れば、カッコいいと思った箇所は本書で説明されている「二項式」でした。冷めた箇所は「幻想性にあふれた小説こそ、具...

読書中にこの書き方カッコいいなと思うこともあれば、冷めるなあと思うこともあります。小説を学問として見ず、感性に合う合わないで判断していた節がありますが、本著を読んで振り返れば、カッコいいと思った箇所は本書で説明されている「二項式」でした。冷めた箇所は「幻想性にあふれた小説こそ、具体性との照合は大切」の言葉に反したものだったと思います。 趣味としての読書なので、読んでいる時の気分が一番大事と思いながらも「この本なんか最高にいい」の理由が説明できる、学問的視点を知れました。

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2022/05/16

文学に詳しくないけど、文学講義のとっかかりとして良い本のような気がする。 中高生に向けた講演なので、教科書的な読み方の話ではなく小説を「読む」テクニックについて話している。同時に書くテクニックにも触れているが、書き出しの話は面白かった。書き出しは重要。

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2021/12/13

「二項式を立ててみて見えてくるものがある」というのはよくわかる。「恋愛小説が苦手、なら、政治小説として読んでみる」などいろいろ面白い。タイトルどおり、「はじめて」の「文学講義」として、文学というものを考えてみる入門として、とてもいい。

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2021/11/26

渋渋の生徒向けの講演を加筆して収録したもの。 第二部は生徒の質問に対して答えたものなので、どうということはなかったのだけど、第一部は興味深く読むことができた。 特に ・文学が描き出そうとするのは善と悪の単純な構図をこえた向こうがわ ・文学とは日常の当たり前に思える発想を揺さぶる不...

渋渋の生徒向けの講演を加筆して収録したもの。 第二部は生徒の質問に対して答えたものなので、どうということはなかったのだけど、第一部は興味深く読むことができた。 特に ・文学が描き出そうとするのは善と悪の単純な構図をこえた向こうがわ ・文学とは日常の当たり前に思える発想を揺さぶる不穏なもの ・文学は政治的あるいは経済的な事象や通念の前提に問いを突き付ける というのは、普段生徒に伝えたいと思っていることが綺麗に言語化されていて、膝を打つような感覚を覚えた。 細部まで気を配った文章で、ジュニア向けと侮っていたが滋味深い一冊だった。

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2021/11/05

ダブルヴィジョン(だっけか?)の視点は、なるほど示唆に富む感じ。確かに、一見何の関係も無さそうな項目の間に、何がしかそれを結び付ける物語をひねり出すっていうの、まさに小説が生まれる過程、って感じがします。でもまあ、そもそもそれを言ったのは著者じゃなく、誰かからの受け売りってことだ...

ダブルヴィジョン(だっけか?)の視点は、なるほど示唆に富む感じ。確かに、一見何の関係も無さそうな項目の間に、何がしかそれを結び付ける物語をひねり出すっていうの、まさに小説が生まれる過程、って感じがします。でもまあ、そもそもそれを言ったのは著者じゃなく、誰かからの受け売りってことだったから、本書はそれをかみ砕いて分かりやすく講じる、という体裁。原著に当たるつもりもあまりない以上、本書でそれに触れられたのは良かった。

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2021/06/26

本当なら聴けなかった貴重な公演を、このような本を通して聴くことができるのはありがたい。 しかも耳から入ると聞き逃すこともあるが、書き記されたものなら何度でも読み返せる。 中村先生、渋渋の学生さんたち、ありがとう。 本書により本を読むときに比較することの面白さ、重要さを理解できた...

本当なら聴けなかった貴重な公演を、このような本を通して聴くことができるのはありがたい。 しかも耳から入ると聞き逃すこともあるが、書き記されたものなら何度でも読み返せる。 中村先生、渋渋の学生さんたち、ありがとう。 本書により本を読むときに比較することの面白さ、重要さを理解できた。 たとえ面白くなかった本でも、他の本と比べることで得るものはあるという。 一冊の小説、一つの文の中にも比べるものはあり、ただ慌ててストーリーを追うだけではなく味わうのが醍醐味なのだなあ。 その味わい方がたくさん書かれていて、とてもためになった。 あと、恋愛小説を政治に見立てるのが目から鱗で、そんなふうに考えたことがなかったので新鮮だった。 言われるとなるほどと思うことでも、教えられなければ全く発見できないこともあるから専門家の話は面白い。

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2021/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本を読みながらふと目を上げて見る景色も、また読書。という教えを読んでから、本をじっくり味わう癖がつきました。 以下、この本の好きな部分の記録 ★読書の楽しみというのは組み合わせの広がりである。  →2、3冊の本を読んだ時に、共通する主張や、考察の更なる深まりを発見することができる。 ★富士山と月見草 →片方だけではありきたりでつまらないものでも、意外性のある組み合わせによって、互いを引き立て合い、普段は気づかないような魅力に気づくことがある。読者をはっとさせるものこそ、良い小説である。

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