スクラップ・アンド・ビルド の商品レビュー
趣味の合う読友さんお勧めの本を読んでみた。羽田圭介さんは初読み。この本で芥川賞を受賞された時期によくテレビでは見ていたが、結局タイミングなんかが合わず未読のまま。で、この本、面白かった。90歳目前の祖父と30歳目前の無職の孫。祖父はいつも「もう死んだらよか…」と言う。孫の健斗は祖...
趣味の合う読友さんお勧めの本を読んでみた。羽田圭介さんは初読み。この本で芥川賞を受賞された時期によくテレビでは見ていたが、結局タイミングなんかが合わず未読のまま。で、この本、面白かった。90歳目前の祖父と30歳目前の無職の孫。祖父はいつも「もう死んだらよか…」と言う。孫の健斗は祖父の願いを叶えるため、やり過ぎの介護を始める。しかしながら祖父が生にしがみつく姿を見て、自分の解釈は正しかったのか…と。今うちの父親がこの祖父と同年代で、私の仕事が介護職なのでととても考えることが多かった。他の作品も読んで見たい。
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親の介護に対してみんなはどう思うんだろうというこれからの将来必ず対面することが多くなる問題に対してリアルに如実に表されている本。 ただし、あまりにリアルすぎるのもスッキリするという内容ではない
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※このレビューにはネタバレを含みます
健斗が日々の過剰介護に加えてストイックに勉強と筋トレを重ねる毎に、祖父への受け答えや彼女への態度、姉への内心の毒づきなど、メンタリティが荒れていく様子がとても興味深かった。健斗と祖父は違った形で生への執着を持っている。間に挟まれる戦闘機のモチーフは健斗の闘争心→生への執着(祖父にも健斗にもある)の現れなのか?健斗が1人で生きていくことになる、というラストも良かった。
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この作品が芥川賞受賞時、又吉さんの『火花』が話題沸騰で完全にそっちに気を取られていた。そして今更ながら本作を読むわけだが...感想が難しい。「はよう死にたか」と毎日のように言う祖父の望みをかなえてあげたい主人公。祖父を手厚く介護することによって自立と活力を奪い、緩やかに死に追いや...
この作品が芥川賞受賞時、又吉さんの『火花』が話題沸騰で完全にそっちに気を取られていた。そして今更ながら本作を読むわけだが...感想が難しい。「はよう死にたか」と毎日のように言う祖父の望みをかなえてあげたい主人公。祖父を手厚く介護することによって自立と活力を奪い、緩やかに死に追いやるという手法はなかなかの発想力で驚愕。展開なく平坦なストーリーに飽きてきたものの、主人公の絶妙に嫌な感じと爺さんの絶妙に強かな感じは羽田節を感じる。淡々とこのまま低空飛行が続いていくような収束にやるせなさと一抹の逞しさを感じた。
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芥川賞受賞作。 図書館で見つけて、挫折しそうになるものの何とか完読。 文章自体は読みやすいけど、個々人の感情移入は難しい。家庭の事情、介護、就職活動など重なるのはわかる、家族の難しさや、いずれは老人になる恐怖や孤独感。 読み終えた後の、二日酔いみたいな感覚は否めない。
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文藝春秋にて読了。介護を扱った作品だということは知っていたが、思っていたものとは違いわりと楽しく読めた。自分もいずれ老人になるのだということを考えると怖く、健斗のように肉体の「ビルド」に励みたくなるが、何か他にできることがあるんだろうなとも漠然と思う。
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要介護老人と無職の孫との息詰まる攻防戦(帯より引用) 要介護の祖父と同居する28歳無職孫。無職ゆえ祖父と共に家で過ごす時間が長く、その中で祖父を観察し、生や死、尊厳について考える。介護の大変さ、しんどさが伝わってきた。 祖父との生活の中で、主人公の考え方や行動が変化していくのが...
要介護老人と無職の孫との息詰まる攻防戦(帯より引用) 要介護の祖父と同居する28歳無職孫。無職ゆえ祖父と共に家で過ごす時間が長く、その中で祖父を観察し、生や死、尊厳について考える。介護の大変さ、しんどさが伝わってきた。 祖父との生活の中で、主人公の考え方や行動が変化していくのが興味深かった。年寄りを見下すような描写もあるが、結局祖父の心中は分からないまま。他人の考えてることや願望なんてわからないんだなぁ。 祖父が度々、大袈裟に不調をアピールしたり、できることをできないと言ったりして家族に甘えようとする様子が幼児と同じでちょっと怖くなった。自分に余裕がない時にこういうことされるとイラッとするよね〜と思ったけど、育児と介護じゃぜんぜん違うんだろうな。
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介護する側とされる側。 認知症になると自分の事が自分でもわからなくなる。それ故に周囲は混乱してしまう。 介護者の心情をよく描いていると思った。あの息苦しくなりそうな感覚と、とてつもなく長い一瞬の殺意、そして終わりの見えない日々と「あなたはいつ死んでくれるんですか? 」という答えの...
介護する側とされる側。 認知症になると自分の事が自分でもわからなくなる。それ故に周囲は混乱してしまう。 介護者の心情をよく描いていると思った。あの息苦しくなりそうな感覚と、とてつもなく長い一瞬の殺意、そして終わりの見えない日々と「あなたはいつ死んでくれるんですか? 」という答えのない問いかけ。 家族の関係性にも寄るのだろうが、多くの家庭が抱える悩みややがてやって来る不安をよく描いている。
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超高齢化社会はわしらの時代w ってな事で、羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』 同居する高齢のおじいちゃんをプチ介護する無職の孫との高齢化を考えさせられるお話。 これから親の介護をして行かないといけない現実と、年老いて介護される側になる心構えを考えさせられる内容w ...
超高齢化社会はわしらの時代w ってな事で、羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』 同居する高齢のおじいちゃんをプチ介護する無職の孫との高齢化を考えさせられるお話。 これから親の介護をして行かないといけない現実と、年老いて介護される側になる心構えを考えさせられる内容w わしらが年老いた時はAIロボットに介護してもらってるかな? 2018年51冊目
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※このレビューにはネタバレを含みます
芥川賞作品、やっぱりギリギリだった。登場人物・健斗が87歳の祖父の面倒を見ながら、祖父、母、恋人、社会と対峙していく様が興味深い。さらに祖父の「早う死にたか~」という言葉に対し、間接的な尊厳死を目論むという人の闇、社会の闇に、少し肯定してしまう自分もいた。戦時中生きてきた祖父、敗戦でスクラップされた日本、高度経済成長(ビルド)を生きてきた祖父。そして、現代に生きる健斗の人生もスクラップとビルドの繰り返し。生きたい、死にたくないの対比がスクラップとビルドという単語に含まれているのかな?ちょっとわかんない~④ 【ネタバレ】川上弘美「こういう家族、知っている(というか、自分の家族の中にもこれと同じような感じがあるなあ)と、確かに私は感じたのです。」「(引用者注:「火花」と共に)人間が存在するところにある、矛盾と、喜びと、がっかりと、しょぼい感じと、輝くような何か(それはとてもささやかなものですが)が、(引用者中略)たくさんありました。」 https://prizesworld.com/akutagawa/senpyo/senpyo153.htm
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