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本を読むときに何が起きているのか の商品レビュー

3.6

36件のお客様レビュー

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2023/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

カリスマ装丁家による「「文学XデザインX現象学」の探求の書物(帯より)」 とはいっても難しい内容ではなく、警察の似顔絵ソフトによるアンナ・カレーニナの似顔絵が載せてあったり音符が出てきたりと、面白い試みがされている。 登場人物は暗号である。そして物語は省略によってより豊かになる。(P31) 私は著者と同じ考えで、作品内で人物があまりきっちりと描写されると想像の幅が狭くなるので曖昧なほうが好みですが、若い人にはイラスト入りのほうがいいんだろうなぁ…。 年齢を重ねて若い頃の読書とは変わってきたことの答えも書かれていて「それはそう」と感じました。 川という言葉は、(中略)この言葉にはあらゆる川だけでなく、すべての私の川を含んでいるということだ。(P302) 私にとっての「川」は幼い時よりも今はもっと広がりを持った言葉になっているし、さらに様々な体験をして言葉を広げていきたいな。 『アンナ・カレーニナ』「灯台へ』『白鯨』あたりを既読の人はより面白く読める本だと思います。私は『アンナ・カレーニナ』だけ既読で理解が追い付かない箇所がありました。 **************************************** 本というものが映画やテレビと言ったものからは得られない唯一無二の喜びを与えてくれるから、人は本を読むのだ。(P192) つまり、時に我々は見たくないのだ。(P192) 言葉が効果的なのは、その中に何かを含んでいるからではなく、読者の中に蓄積された経験の鍵を開けることができるという潜在的な可能性があるからだ。(P302)

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2023/05/02

「小説における登場人物の顔や声は、誰のものなのか?」この本を読まなければ一生思い出すこともなかったであろう、本当に些細な疑問である。言葉の向こう、言葉が指す何かを見通す、読書という行為。やはり面白い。

Posted byブクログ

2023/01/04

本を読むときに、頭の中で何が起こっているのか。 本書を読むと、この日常的な行為が、実はとても複雑な、混沌とした、まだ明確には分かっていない動作の集合体であることに気付かされます。また、様々なメディアが溢れる中、改めて「読む」という行為を捉え直す機会になりました。 特に腑に落ち...

本を読むときに、頭の中で何が起こっているのか。 本書を読むと、この日常的な行為が、実はとても複雑な、混沌とした、まだ明確には分かっていない動作の集合体であることに気付かされます。また、様々なメディアが溢れる中、改めて「読む」という行為を捉え直す機会になりました。 特に腑に落ちたのが、 脳の外にある情報は、どれだけ整理されたものであっても、脳にとっては「ろ過されていない暗号化された信号」であり、読者は「作家の世界観をできるだけ自分たちの中に飲み込んで、私たちの思考の中にある蒸留機の中で、その素材を自分たち自身の世界と混合し、組み合わせ、何か唯一独特のものに変質させる」。これが読書であり、「本を読むことは、読者が世界を知るためのこの手順の反映」であるという流れです(P402)。 昨今、複雑な内容を分かりやすく解説する映像、MRなどなど、様々なメディアが進化しています。ただ、本を読むことは、世界を理解するためのトレーニングとして、未だ、そして今後も重要な位置を占めるのかも?と感じました。 それから、内容に加えて、ブックデザイナーが制作されてただけあって、デザインが面白い。読書の過程で頭の中で発生しているであろうことを、視覚的に描こうと試みが素晴らしいと思いました。 おそらく一読して把握することは難しい内容。自分にとって、本書は時間を空けて、何度も噛み締めるように読みたい本になりました。

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2022/04/28

スノッブな本。ほう!と思える記述も少なくはなかったものの、外見やイメージほどにはワクワクする読書体験とはならなかった。

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2021/10/02

野心的な本である。読書の神秘を解き明かそうと試みる。 おしゃれな本である。言葉とイメージの相互作用、乖離を明らかにしている。

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2021/02/28

例えが偏りすぎてわかりづらかったけど、 本という物体が現実世界と本の世界の間になっていて、本を読んでいるときは自分はどこにもいない。 本とは作者とともに作る共作である。

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2021/02/21

小説を読むとき、文字を目で追いながら私たちは何をイメージしているのか。ブックデザイナーである著者がイラストとタイポグラフィを組み合わせ、〈本を読むこと〉と〈イメージすること〉の連関を探っていく。 生き生きとした小説の描写を読むと、それを映像に例えることがある。私も語り方をする...

小説を読むとき、文字を目で追いながら私たちは何をイメージしているのか。ブックデザイナーである著者がイラストとタイポグラフィを組み合わせ、〈本を読むこと〉と〈イメージすること〉の連関を探っていく。 生き生きとした小説の描写を読むと、それを映像に例えることがある。私も語り方をするが、はたして本当に我々は小説を脳内で映像化しているのだろうか。という問いかけで本書は始まる。 この本には、普段意識しているようでしていない思考のプロセスを図解・解説される気持ち良さがある。「『微細に観察』された文章を評価する時、私たちはその解釈が喚起する効果を評価しているのか、それとも、道具の美しさを評価しているのだろうか」というように、一つの文章だけをとっても、脳が同時に幾つもの読み方をしていることを認識させられる。 「人の目がページの上で見ている箇所と、(心の)声が読んでいる同じページ上の別の箇所との距離」を表す「視声範囲」という言葉があることは初めて知った(心理学用語らしい)。この用語にも「声」という言葉が使われているように、本書のなかでは読者は小説のキャラクターの容姿を明確にイメージすることはできないが、音声を聞くことはできると言われている。これは実際そうなのかもしれない。というのは、オリヴァー・サックスが「音楽を脳内再生しているとき、実際に耳で聴いているのと脳の同じ場所が働いている」と書いていたのを思い出したからだ。つまり、本を読むことは映像を〈見る〉ことよりも、音や空気を〈聞く〉体験により近いのかもしれない。

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2021/01/20

図書館の新年福袋企画で、『読書の効果』に入っていた一冊。自分一人では選べない本に出会えた。 アメリカの名門出版社、ブックデザイナーの作者 本を読む時、何が起きているのか、アートブックの様な中身でデザインとしてもとても美しい。 読書中の体や心に生じる現象を観察してみよう、とする。...

図書館の新年福袋企画で、『読書の効果』に入っていた一冊。自分一人では選べない本に出会えた。 アメリカの名門出版社、ブックデザイナーの作者 本を読む時、何が起きているのか、アートブックの様な中身でデザインとしてもとても美しい。 読書中の体や心に生じる現象を観察してみよう、とする。改めて考えると良本の基準にもなりそうな… 面白い視点を持たせてもらえた。 アンナカレーニナを、読まなくては! 登場人物は暗号、物語は省略により豊かになる 文中の形容詞はフェイントであり、ムーブであり、カウンタームーブなのだ 読書しながら見るイメージは個人的なもの…物語は変換されるべく、想像的に解釈されるべく書かれその連想的に解釈された物語は、私たちのものなのだ 言葉が効果的なのは、読者の中に蓄積された経験の鍵を開ける可能性があるから。意味の有効性をたかめる。

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2020/07/23

読者は、指揮者であって、オーケストラであって、 観客である。 この言葉に、この本の全ては要約される。 作者が綴る楽譜のごとき、言葉たち。 その言葉を、意味付け、繋ぎ合わせ、味わう読者。 読書という行為は、作者と読者の共同作業であり、 唯一無二の体験を作り上げる行為なのだ。

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2020/05/31

「本を読むときに何が起きているのか」ということを視覚的に、もしくは文章として表現しようとした本のようだ。しかし、退屈だった。途中で読むのをやめた。

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