「学力」の経済学 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
目の前ににんじんをぶら下げる方が勉強する。すぐに得られる報酬には飛びつく。将来の報酬より魅力的に見える。 インプットにご褒美を与える。=報酬とやること、が明確に結びつく。結果に報酬、では何をしていいか分からない。 勉強へのご褒美は、内的動機付けを失わせない。 自尊心と学力の関係は相関があるが、学力が高いから自尊心が高い、自尊心を高めても学力は高まらない=褒める教育は一概には言えない。むやみに褒めても、実力の伴わないナルシストを増やすだけ。 学力の高い友達がいると学力が上がる、はレベルが違いすぎると効果が無い。=習熟度別学級は効果がある。 最も収益率が高いのは、就学前教育。ここにお金をかける。非認知能力があがる=忍耐力、意欲的、社会性、誠実性、好奇心、などは人から学ぶものだから。自制心、やり抜く力。筋肉のように継続と反復で鍛える。しなやかな心がやり抜く力を育てる。しつけを受けた人は年収が高い。 少人数学級は、効果があるものの費用対効果では低い。教育熱心な親が少人数学級を選ぶこともあるため、効果の測定は難しい。 学力テストの学校毎の順位を公表するのであれば、学区の環境(生活保護率、学習塾の数、修学援助率など)も公表すべき。 行き過ぎた平等主義=同じ教育を行えばいいわけではない。家庭環境が違う。 土曜日休みは、学習時間の格差を拡大した。 親の学歴による子どもの学習時間の差は学年が上昇するにつれて拡大する。 平等主義は、思いやりや親切心に欠ける子どもを作りやすい。努力すれば成功できる、を植え付けると、成功しないのは努力していないのだ、という考えに繋がる。不利な環境にいる他人を思いやることができない人間ができる。 自治体はデータを外部にできる限り公表すべき。世界中の学者が、それを元に分析してくれる。南アフリカ政府の作戦。 いい先生に出会うと人生が変わる。いい先生とは、子どもの学力の上昇幅を大きくする先生。 そのためには、参入障壁を無くす。=教員免許を無くす。免許を持っていても質の差は大きい。
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子ども教育だけでなく、福祉の支援、社員教育にも参考になりそう。 「こんなふうに育てられたかった」と思いながら読んでいました。 自分が「いい先生」になれるのか?どうやって育てていくが自分への課題。
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幼児教育に有益性があること、少人数制は費用対効果が見合っていないことはデータを示してよくわかりました。最後の章は学力の話というよりデータの話となり分かりにくかった。
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学習行動をどうやって取らせたらいいかの参考になる本です。ご褒美についての記述もあり、これは実践したところ同じ結果になりました。
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科学的根拠と言っても アメリカ準拠のもの。 これを日本人の質問にあてがっている。 どうしてって 日本人の学力をキチンと データ化できていないから。 政府は調査した学力の情報を 最低限、学者間で共有して欲しい この本の日本データ準拠版が 読めるようにして欲しいと思いました。
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エビデンスをもとに、教育に関する疑問を紐解いていくので、とてもおもしろかった。また、そのための方法もわかりやすく説明してされており、勉強になった。
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誰かの子育て経験を書いて有るのではなく、科学的根拠を元に子育てについて書いて有る。 本も良かったけれど、中室先生の公演はもっと楽しく吸い込まれて行きました。 非認知能力の話を今子育て中のお母さん、お父さんに知ってもらいたいです。
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面白い。が、内容を信頼できるか不安がある。例えば、はじめににある「試験」と「祖母の急死」の関係だが、大学教育において一般的と言うのだろうか。不誠実なのか間抜けなのかどちらかに思えてしまう。
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子育て、教育を投資という経済活動の視点からみるのがすごくおもしろく、共感! 「褒めて育てる」「厳しく育てる」「勉強にご褒美はダメ」など世の中にはいろいろな教育論があって、これが正解なんてないと思うけど、そこに統計から導き出した視点を加えるのは、子育ての選択肢としていいのではない...
子育て、教育を投資という経済活動の視点からみるのがすごくおもしろく、共感! 「褒めて育てる」「厳しく育てる」「勉強にご褒美はダメ」など世の中にはいろいろな教育論があって、これが正解なんてないと思うけど、そこに統計から導き出した視点を加えるのは、子育ての選択肢としていいのではないかなと思いました
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教育経済学という分野がどんなものなのかがわかった。日本ではエビデンスが軽視されてきたが、著者によって少しずつ広まり始めているらしい。これを書かれたのが2015年なので、今はもっと普及しているだろうか。 政治や自治体などの政策において、ぜひデータを活用して費用対効果の高い税金の使い...
教育経済学という分野がどんなものなのかがわかった。日本ではエビデンスが軽視されてきたが、著者によって少しずつ広まり始めているらしい。これを書かれたのが2015年なので、今はもっと普及しているだろうか。 政治や自治体などの政策において、ぜひデータを活用して費用対効果の高い税金の使い方を模索して欲しいと強く考えた。 前半は、子育てにも役立つ情報。後半は、ランダム化比較試験の重要性について。 全体として、勉強にはなったが、あまり日常生活に活かせるような学びは得られなかった。 以下内容メモ ___ データから見れば、自尊心が高いと学力が高まるのではなく、学力が高いと自尊心が高いというだけ。 成績が良くないのに自尊心が高い子になる可能性も。能力ではなく行動を誉めることで能力を高める努力をする子になる ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだ 1日に1時間程度のテレビ視聴やゲーム使用が子どもの発達に与える影響は、まったくテレビを観ない・ゲームをしないのと変わらない。一方、1日2時間を超えると、子どもの発達や学習時間への負の影響が飛躍的に大きくなることも明らかになっている 同性の親が勉強を見ることが、学力の向上につながると言う結果が出ている 学力の高い人がいても、学力がかけ離れていると向上の効果はない。 習熟度別であれば全体の学力を上げることができる。 ただし子どもの学齢が低い時に習熟度別学級を実施すると、格差が拡大し、平均的な学力も下がってしまうと指摘されている 教育への投資は幼児期が一番収益率が高くなる。成績だけでなく、所得、逮捕率などさまざまな面で。 重要な非認知能力 自制心、やり抜く力。これは鍛えることができる。 課外活動などで、学びを地域社会の問題解決に繋げる、などが有効。試験の成績を上げるために部活や社会貢献活動を辞めさせるのは慎重になるべき。 低所得は低学歴に影響がある。貧困の世代間連鎖は断ち切りたいが、子供手当では成績に影響を及ぼさなかった。 少人数学級は、貧困層では効果が大きかったことが明らかになっているので、学校の資源配分を変えることで解決できないかと著者は考える。 学力調査で関東が上位にいないのは私立が多いから。調査には私立は任意なので反映されていない。 その結果は政府(文科省)が占有していて一般の研究者は触れられない。税金を投じているのにおかしい。 専門家のコメントはエビデンスとしては一番信頼性が低いもの。 ランダム化比較試験は、もっとも階層が高く信頼に足るエビデンスと定義されている。
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