トマト・ゲーム の商品レビュー
個人的にかなりレベルの高い短編集。 ジュブナイルの悪意・犯罪にフォーカスした不条理系短編集だが、舞台装置やオチまでのトリックが鮮やかで非常に楽しめる。 『アルカディアの夏』と『獣舎のスキャット』は特に印象深く、作者の初期の良い所がギュッと詰まり、いいとこ取りな1冊では。
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装丁の中川多理の、頬寄せ合う人形の画だけでもうやばみがすごい。 既読の短編もちらほら。 「トマト・ゲーム」 皆川博子初期作品といえば、バイクに狂う若人。 しかしこんなに陰湿なゲイが居座っているとは…。 どうしたって嫌なヤツってのはいるんだなあ…。 でもオチの後味の悪さは既に皆川...
装丁の中川多理の、頬寄せ合う人形の画だけでもうやばみがすごい。 既読の短編もちらほら。 「トマト・ゲーム」 皆川博子初期作品といえば、バイクに狂う若人。 しかしこんなに陰湿なゲイが居座っているとは…。 どうしたって嫌なヤツってのはいるんだなあ…。 でもオチの後味の悪さは既に皆川博子だったな…。 「アルカディアの夏」 アルカディアとは、ギリシア語の”楽園”。 ……こんなにも楽園に縁遠いテンションもないやろ…(暗鬱) と思いますが、それも含めていつもの皆川博子の描く少女の闇!!!!!!!!!!!って感じだったな…。 「アイデースの館」 アイデースってハデスのことなんか…。 デスマスク、そんなに関係ない気が…???と思ったけど、その辺がハデスなのかも分からん。 ちょっと赤江瀑みてえなテンションだったな。 「花冠と氷の剣」 皆川博子作品とフェンシングの親和性の高さよ。 しかし、奇形を抱える男って性癖もご健在でなんか安心感すらあるな…。 その男に振り向かれない女、ってのも…。
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未熟であやうい少年少女のヒリツキ感や性の揺らぎが生々しい。「トマト・ゲーム」では、ゲームに挑む少年たちの目線ではなく、そのまわりにいるフラフラした大人たちの目線で描かれていて、その大人たちも未熟さや不完全さを宿しているのが印象的。
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70年代の短編集。『悦楽園』で既読の「蜜の犬」がやっぱり優れてる。純粋な好奇心が狂気となる。ゾワゾワっとくる。
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す、すごい。去年は皆川さんにハマって色々読んだけれど、こんなに毒のある作品も書けるんだ…。皆川さんらしい華麗で耽美な世界観なんだけど、底知れない闇が広がっている。 表題作のトマトゲームは、ラストにむけて物語が急降下していく様にゾッとした。 登場人物たちがみんな狂っている。少年少女...
す、すごい。去年は皆川さんにハマって色々読んだけれど、こんなに毒のある作品も書けるんだ…。皆川さんらしい華麗で耽美な世界観なんだけど、底知れない闇が広がっている。 表題作のトマトゲームは、ラストにむけて物語が急降下していく様にゾッとした。 登場人物たちがみんな狂っている。少年少女の若さゆえの狂気、過去の傷が膿み広がって産まれた狂気、さまざまな狂気がある。しかし獣舎のスキャットと蜜の犬はやばすぎでは… かなりグロテスクでショッキングな話もあるので、楽しく読める本ではない。だが、ここまでの狂気を読める本も中々ないのではないだろうか。
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面白かったです。 いつもより毒が濃かった気がします。 「蜜の犬」「アイデースの館」が好きです。 老若男女、闇に呑み込まれていく…いつから狂っているのか。 皆川さんの幻は甘美なものも感じることも多かったのですが、この作品集ではゾッとするものもありました。 「遠い炎」と「花冠と氷の剣...
面白かったです。 いつもより毒が濃かった気がします。 「蜜の犬」「アイデースの館」が好きです。 老若男女、闇に呑み込まれていく…いつから狂っているのか。 皆川さんの幻は甘美なものも感じることも多かったのですが、この作品集ではゾッとするものもありました。 「遠い炎」と「花冠と氷の剣」のラスト一行、冷水を浴びせられた感じがしました。怖い。 でもやっぱり皆川さんの世界は辞められません…虜です。
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壁に向かってオートバイで全力疾走する度胸試しのレース、トマト・ゲーム。22年ぶりに再会した男女は若者を唆してゲームに駆り立て、残酷な賭けを始める。背後には封印された過去の悲劇が……第70回直木賞候補作の表題作をはじめ、少年院帰りの弟の部屋を盗聴したことが姉を驚愕の犯罪に巻き込む「...
壁に向かってオートバイで全力疾走する度胸試しのレース、トマト・ゲーム。22年ぶりに再会した男女は若者を唆してゲームに駆り立て、残酷な賭けを始める。背後には封印された過去の悲劇が……第70回直木賞候補作の表題作をはじめ、少年院帰りの弟の部屋を盗聴したことが姉を驚愕の犯罪に巻き込む「獣舎のスキャット」等、ヒリヒリするような青春の愛と狂気が交錯する全8篇収録。恐怖と奇想に彩られた、著者最初期の犯罪小説短篇集。(裏表紙) トマト・ゲーム アルカディアの夏 獣舎のスキャット 蜜の犬 アイデースの館 遠い炎 花冠と氷の剣 漕げよマイケル 今まで皆川さんの初期の作品は幻想と狂気が薄めだと思っていたのですが、単純にモノを知らなかっただけだったんだなぁ、と。 全編、濃淡あれど狂気に彩られていました。 近頃のものであればそこに幻想が加えられますので、幸か不幸か生々しさが薄れていたのですが、これはもう、グロテスクな感じさえ受けました。
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単行本版、文庫版を統合した完全版。「華麗なる狂気」という言葉がこれほど似合う短編集はなかなかありません。背徳的でありながら、どうしようもなくうっとりさせられてしまう作品ばかりです。なかなかにえげつない物語が多くって、「美しい」という表現はなんとなくそぐわない気もするのだけれど。受...
単行本版、文庫版を統合した完全版。「華麗なる狂気」という言葉がこれほど似合う短編集はなかなかありません。背徳的でありながら、どうしようもなくうっとりさせられてしまう作品ばかりです。なかなかにえげつない物語が多くって、「美しい」という表現はなんとなくそぐわない気もするのだけれど。受ける印象はやはり美しいんだなあ。 お気に入りは「遠い炎」。一番素朴な印象を受けたのだけれど、結末がなんとも恐ろしくって。読むほうも震えが止まらなくなりそうです。 「獣舎のスキャット」も凄いなあ。もうあまりに邪悪でどうにもこうにも、酷いとしか言いようがありません。なんて凄いものを書かれたんだ皆川さん! これを好きとは言い難いけれど、一番インパクトのあった作品かも。
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休みなく注がれる毒に感覚が麻痺していくのを感じた。より強い刺激を求めて、もっと、もっととページを繰ってしまう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テイストは変わってないけど、密度の高さがない。でもその分スピードがある。若さだなあ、青春だなぁ。このノリを半世紀も前からやってるなんて、ホント偉大だ。
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