中の人などいない の商品レビュー
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『僕らは嘘でつながっている』で著者を知って興味を持ちました。 日本のツイッター黎明期にNHKの広報としてツイッターを開始した著者。悩みもがきながら視聴者との関わりを探る自身の姿を、ちょっぴり無駄な背景描写を交えながら面白おかしく書いています。 当時から緩すぎる投稿にクレームや指摘を受けたり、炎上していたPRアカウントですが、お堅いNHKというイメージを変えるべくアカウント自身に性格を持たせて「みんなと会話をする」という軸だけを頼りに乗り越えていきます。 最後に著者が出した答えは「みんなのNHK」ではなく「みんながNHK」。そのために自身はやはり「中の人」ではなく「中の人などいない」というスタンスでツイッターに取り組んでいたと言います。 著者が感じた不安などの感情や考え方、気づきなどがとても生々しく、こころに刺さるものがありました。私も仕事でツイッターを運用することがあるので、もちろん勉強にもなりました。 東日本大震災時の著者の対応に関する葛藤や苦しみは、読んでいて涙が出てしまいました。 2012年に刊行された本です。10年前もツイッター界隈のユーザー層って今と変わらないんだなぁと感じる一方、企業としての姿勢や方針は変わっていくもの。NHK_PRのアカウントをのぞいてみたら、会話するというよりは番宣よりになっているようです。NHK以外のアカウントをフォローしないという「フォローの考え方」を公開していました。 https://www.nhk.or.jp/rules/platform/twitter-follow/ 残念だなとは思いますが、NHKも変化が大きく早いといわれる世の中の声を聞き、検討を重ねた結果なのでしょう。 そういう今昔を味わえるという意味でも興味深い本でした。
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ふと、本書の存在を知って購入。 NHK_PRさんはとても好きなアカウントで、よくtweetを拝見していました。 tweetの向こう側で起きていたこと、考えられていたことにふれ、改めてあたたかな気持ちになりました。 読めてよかったです。
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お堅いイメージのあるNHKとは思えない、ユルいツイートが話題を呼んだTwitterのNHK広報アカウント @NHK_PR。Twilogを見てみたら、アカウントが登録されたのは、2009年11月29日。ちょうどTwitterがブームになった頃ですね。津田大介氏の『Twitter社会...
お堅いイメージのあるNHKとは思えない、ユルいツイートが話題を呼んだTwitterのNHK広報アカウント @NHK_PR。Twilogを見てみたら、アカウントが登録されたのは、2009年11月29日。ちょうどTwitterがブームになった頃ですね。津田大介氏の『Twitter社会論』が出版されたのがこの年。 この本は、NHK広報アカウントの開設に始まって、著者である初代担当者(NHK_PR1号)が2代目担当者(2号先輩)にアカウントを引き継ぐまでをまとめた記録的エッセイ。 単行本は、NHK_PR1号の名前で出されていましたが、著者がNHKを退職したことから、文庫化に際して、ペンネームの浅生鴨の名義に変わりました(ペンネームの由来は、口癖の「あ、そうかも」とのことですが、そのわりに、この本のなかでは「あ、そうかも」という言葉はないような……?)。 NHK広報アカウントの面白いエピソードや裏話がたっぷり語られていて、ときどき出てくる顔文字になごみます。Twitterアカウントの運営方法だけでなく、企業の広報のあり方について、とても示唆にとむ内容でした。「ナカノヒトナドイナイ」。これはギャグではなく、ポリシーなのでした。
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自分から発信していくことが日常となり、フォロワー数が一種の格付けとなっているこの時代。私はTwitterやブログを始めても、結局は全てプライベート設定にしてしまう。どこかの誰かとつながることへの好奇心より、誤解や批判を受けることへの恐怖心の方が勝ってしまう。そんな思いがある中で、この本を知った。 ゆるい漫画を読んでいるような感覚で、面白く読み進めてしまうのだから、この方の文才すごいと思う。なるほど、ゆるさやたまのミスから出る人間味と双方向の会話が大事なのか…。読了後も「やっぱりTwitterに手を出すのは怖い…」という感覚は無くならないけれど、都度改善しながら自分なりの運用スタンスを作ったPRさんのガッツはすごいなと思った。
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文庫版を入手できたので再読。やわらかく優しい文体の中に信念を感じる。当時の事件は全く知らないけど、SNSの根本的な性質が変わっていないからか、古い話題のようには感じない。ところどころ小説っぽい表現も楽しい。
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NHKのツイッターを立ち上げ、運用していくまでの経緯を説明している。 ツイッターは媒体ではなく、会話をする場。 報道の文書と行政の文書は似ていると思った。
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NHKのツイッターの元中の人による、「中の人などいない」論。 公式ツイッターとしての在り方とかノウハウというよりは、著書の考え方生き方を楽しむ本だった。面白い。 中の人などいない。
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Twitterとの付き合い方を考えさせる一冊。 小説を読んでいる感覚で、NHK_PR1号さんがどんな気持ちでアカウントを運営していたかが分かる本。 とても読みやすいし、本当に描写が小説みたいだなと思っていたら、ドラマの脚本なども手がけているそうで。 半分くらい読んだ所でや...
Twitterとの付き合い方を考えさせる一冊。 小説を読んでいる感覚で、NHK_PR1号さんがどんな気持ちでアカウントを運営していたかが分かる本。 とても読みやすいし、本当に描写が小説みたいだなと思っていたら、ドラマの脚本なども手がけているそうで。 半分くらい読んだ所でやっと、時々ページ数の横に顔文字やコメントが入っていることに気付いた。 既に読んだところにもたくさんあったようで、なんでもっと早く気づかなかったのかと反省。 Twitterとうまくつきあうのに参考になる。炎上した話や3.11の話など、自分の身に降り掛かった時にそれらのリプライにどう対応すればよいのか。またはそういうリプライを無意識に他人にしていないか。 マス(メディア)ではないがマスのアカウントの一つであるNHK_PRの運用経験談を通じて、考えさせられる。 Twitterを発信ツールとして使う人だけでなく、情報収集ツールとして使っている人、あるいは他人のツイートに反応するだけの人も、一度読んで欲しい。文章量は多くないのですぐ読めます。
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数年前にツイッターで流行ったNHK_PRの「中の人」の回想録的なエッセイ。コミュニティづくりの参考にと思って購読。特別なノウハウというよりは、この方が持つ独特のコミュニティ感がよく理解できる内容となっている。「中の人(=担当者)などはいない。全員が中の人(=当事者)なのだ」という...
数年前にツイッターで流行ったNHK_PRの「中の人」の回想録的なエッセイ。コミュニティづくりの参考にと思って購読。特別なノウハウというよりは、この方が持つ独特のコミュニティ感がよく理解できる内容となっている。「中の人(=担当者)などはいない。全員が中の人(=当事者)なのだ」という捉え方は、何事も自分ごととして捉える方が集うコミュニティが活性化していることを考えると納得。また、このかたは数年で退職している。「中の人になりすぎると外が見えなくなって、これはいけない」という考え方もとてもよくわかる。
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実際の中の人の話なのか、物語なのか、境界線が分からないところが魅力的。 そこの企業はともかく、中の人に惚れそうになったアカウントさんであることよ。
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