湿地 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
悲惨な出来事ばかりおこって、陰鬱なシーンばかりだったけれども、最後にエレーンデュルが自然と取ってくれた以下の行動に心が少しだけ救われた。 「エーレンデュルはランプを置いて、棺の始末をつけることにした。(中略)棺に向かって十字を切ると、穴の上から土をかけはじめた。重い土が棺の上にかかる音が響き渡った。そのたびに胸が鋭く傷んだ。」 事実を知ってしまったからこそ、知らなかったときの自分には戻れなくなる。誰もエイナルを救うことができない中で、なんとも言えない感情にさせられた。医療の発展や後世のためにはすべての臓器が貴重なサンプルになるのだろうけども、親として本人に一切傷をつけて欲しくないという気持ちに繋がるのも分かる。どんな思いでエーレンデュルは再びウイドルの棺を埋めたのだろう? 日本では刊行されていないということだったけれどもエーレンデュル捜査官シリーズの1作目、2作目がどんな始まりだったのかが凄く気になってしまった。 娘エヴァ=リンドや今回は登場しなかった息子との関係性がどう変化していくのも興味が湧くので3作目以降も読んでみたい。 解説の「どこかの国を知りたければ、ミステリ小説を読めばいい。いちばん的確な案内所だ」という言葉通り、アイスランドの知識はほぼゼロだったけれども、国の歴史だったり空気感だったりが伝わってきて、丁寧な解説のおかげで1度自分でも足を運んでみたい場所になりました。 終始陰鬱な空気が流れ続けているけれども、その中でも人と人とのやりとりの中に、ユーモアや温かさを感じる場所がいくつもあって、人と人の関係性が存在することの辛さも良さも同時に味わえる小説でした。
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何年か前に映画化されたのを観ましたが雰囲気しか覚えておらず読んでみました。ミステリー小説って面白い!と思わせてくれた作品です。 物語はレイキャビク(アイスランドの都市)の湿地で殺人事件が発生するところから始まります。これを皮切りにこの地域に眠る陰惨な出来事が浮かび上がり…といっ...
何年か前に映画化されたのを観ましたが雰囲気しか覚えておらず読んでみました。ミステリー小説って面白い!と思わせてくれた作品です。 物語はレイキャビク(アイスランドの都市)の湿地で殺人事件が発生するところから始まります。これを皮切りにこの地域に眠る陰惨な出来事が浮かび上がり…といった流れです。 作中の天気も内容もずーっとジメッとしてるし内容はかなり重たいのですが、文節が細かく区切ってあり文体も簡潔でスラスラ読めました。 個人的に主人公の偏屈&昔堅気だけど人情味があるところが好きです。作中の境遇を考えると時々可哀想に思いますが…笑 シリーズものの3作目らしいので、翻訳済の他の作品も読んでみようと思います。いつか全シリーズ分翻訳されるといいな。
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北欧ミステリ、面白い! 本当に久しぶりに、シリーズを追いたくなる傑作に出会えました。 先が気になって2日ほどで一気読みだったのですが、早く結末が知りたいような、まだこの豊かな読書をじっくり味わっていたいような、複雑な気持ちでしたね〜。 ブックガイドなどで「北欧ミステリ」の存在...
北欧ミステリ、面白い! 本当に久しぶりに、シリーズを追いたくなる傑作に出会えました。 先が気になって2日ほどで一気読みだったのですが、早く結末が知りたいような、まだこの豊かな読書をじっくり味わっていたいような、複雑な気持ちでしたね〜。 ブックガイドなどで「北欧ミステリ」の存在は認識していたものの、どうにも暗く重たいイメージがあってなかなか手が出なかったんです。 しかし、そんな私がドハマりしたのが『The Elder Scrolls V: Skyrim』(スカイリム)というゲーム。 おそらく北欧がモチーフであろうこのゲームの世界観に馴染んだことで、ようやく手を伸ばす気になったのでした。 結果、大当たり!! 個人的に、現代ミステリはどうにも暴力的でセンシティブで受け入れがたい作品が多かったのですが、本書は私の好みにどんぴしゃ。 というのも、解説にあった著者インタビューによると、アイスランドには昔の伝承文学のサーガがあり、子牛のなめし革に最小限で書く必要があったため短い簡潔な表現になったとのこと。どうりで読みやすいはずです。 およそ翻訳小説らしくない抑制の効いた文章はすらすらと読みやすく、作中で扱われる事件はなんとも胸が苦しくなる事実ばかりなのに、不思議と気持ちが重たくならない。 それでいて、読んだ後も鮮烈な読書体験として残り続ける……なんとも稀有な一冊です。 主役であるエーレンデュル捜査官もなんとも硬派。 ”アイスランド的”警官であり、若手に手を焼きながらも己の信じる正義を決して曲げない、とても頼りになる存在です。 作中ずっと具合が悪そうで(事件解決が最優先で自分のことは二の次なため)、シリーズのどこかでリタイアしてしまうのではと不安でしたが、とりあえず重篤な病気ではなさそうで一安心。 娘であるエヴァとの関係性も始終ひりつくものでしたが、作中で数少ない希望のある終わり方でよかったです。エヴァもまた登場してくれるかしら? 続編も順次翻訳中とのことで、ぜひ次巻以降も読んでみたい。 そしてこれを機に、物怖じしていた「北欧ミステリ」の名著にも、取り組んでいきたいなと思います!
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本の題名と内容はそこまで関係のないように思えた。 昔の嫌な出来事から現在の事件に繋がるのが読んでいて先が気になり一気に読んでしまった。
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アイスランドの作家、インドリダソンのエーレンデュル警部シリーズ。一時期多かった途中から邦訳されはじめるシリーズの一つ。この作品は三作目。 アパートの一室で男が殺される。一見平凡な事件に思えるが、死んだ男のそばには不可解なメッセージが。メッセージを頼りにエーレンデュルが操作を開始するが… 10年ほどぶりに再読。淡々とした文章で残酷な描写だが、なぜか読み始めると止まらない。事件そのものはそこまで複雑ではないが、非常にやるせ無い。そこがまたこの作品のいいところ。おすすめ。
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読み終わりは、とても嫌な気持ちになってしまった。 なるほどそういう事かと、言う感じでまあ納得しているが、物語自体が指名の通り陰湿なもので気持ちは悪い。 元本がそうなのか分からないが、文体がとてもクールで、淡々と書かれているのでノンフィクション風に感じた。
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とにかく切ない。アイスランドの小説を初めて読んだけど、小さな島国ならではの悲しい家族にまつわる話。割とストーリーがとんとん進むので読みやすくあっさり終えてしまった。
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無駄な描写が無く最初から最後まで集中して一気読みできる警察クライムノベル。訪れたことがないアイスランドの様々な描写や麻薬などの社会的問題も垣間見えて、興味深く楽しめました。主人公の刑事が同い年だったことでも没入できました。
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アパートの半地下の一室で老人男性が撲殺されているのが発見されたが、それは単純な強盗殺人ではなく、大昔の強姦事件を発端とする哀しい事件だった、というアイスランドの警察小説。 アイスランドは人口が少ない単一民族の国で、全国民の家系情報・遺伝情報がデータベースに登録されていて辿っていく...
アパートの半地下の一室で老人男性が撲殺されているのが発見されたが、それは単純な強盗殺人ではなく、大昔の強姦事件を発端とする哀しい事件だった、というアイスランドの警察小説。 アイスランドは人口が少ない単一民族の国で、全国民の家系情報・遺伝情報がデータベースに登録されていて辿っていくことができるようになっている…というのが肝になっている。 ストーリーは陰鬱だが、文量は多くなくて非常に読みやすい。
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やけに薄暗く黴臭い部屋でひとり、男が殺された 彼は何のために殺されたのか 湿地って、物理的なテーマじゃなくて物語に漂う空気が湿地のそれって意味ですかね 好きなジャンル、陰鬱なのでその空気すきです これ前作未翻訳なのね、頼むから同シリーズ全部翻訳しておくれよ創元さま、一生推して...
やけに薄暗く黴臭い部屋でひとり、男が殺された 彼は何のために殺されたのか 湿地って、物理的なテーマじゃなくて物語に漂う空気が湿地のそれって意味ですかね 好きなジャンル、陰鬱なのでその空気すきです これ前作未翻訳なのね、頼むから同シリーズ全部翻訳しておくれよ創元さま、一生推してるよお願い
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