ウツボカズラの甘い息 の商品レビュー

柚月裕子(著者)

2015/11/28

あることをきっかけに心に病を抱えた主婦、高村文絵が、昔の同級生に偶然出会ったことで事件に巻き込まれていくお話。

飽きさせない展開で、いよいよ刑事に謎が解けてきたあたりまでは楽しんで読んでいたのだが、最後の最後、犯人が語る種明かし部分がなんだか陳腐な感じ。
ミステリとしてはプロットも見事でいいのかもしれないけれど、小説としては文絵がそしてどうなったのかまで書いてこそ、なのじゃないかなあ。そこがとても物足りない。

面白く一気に読めただけに残念。

2015/11/26

神奈川県警の捜査との2面展開で進み、後半に予想を超える展開があるところまでは見事。ただ、雑誌連載のためか、最後があらすじだけとなってしまい残念。

2015/11/19

かつての同級生に再会し、かつての美しさと自信を取り戻した文絵。勧められるままに始めた仕事でも順風満帆のように思えたのに、ある日いきなり陥穽に突き落とされる悲劇……というより「いや、これは怪しいでしょ」と傍目には分かってしまうのですが。案外と引っかかってしまうものなのですね。
一方で起こった殺人事件を捜査する刑事たち。容疑者として浮かび上がる謎の女の存在を追ううちに、明らかになる意外な真実。まったくもって途中の展開は「ええっ！」と驚愕でした。ただ、アンフェアかどうかが……ぎりぎりのような気もするのですが。
でもそこからの展開も気になって、ぐいぐいと引っ張られてしまいます。あまりに狡猾で残酷な悪女の暗躍っぷりには、思わず「警察頑張れ！」と。終盤一気読みの一冊でした。

2015/11/17

女性的なミステリーという感触。コンプレックスの塊になってしまった専業主婦の文絵が突然再会した同級生からもちかけられた、「楽に稼げる仕事」。もう、出だしから怪しげな雰囲気だ。そして、誘惑に負けその仕事を引き受けた文絵。その一方で、警察がある殺人事件を捜査し始めていた。文絵と事件は簡単に繋がる。さらに捜査を続けると必ず出てくる怪しい女。途切れそうな糸でかろうじて繋がる解決への可能性。「この人は犯人では無い」と判断していたものが、ある１行で展開も大きく変わる。終盤がハイスピード過ぎた感はあるが、一気読みで読了。 内容と表装がベストマッチだった。

2015/11/16

終わり良ければすべて良し……。
なぜかこの言葉が頭に浮かびました。この言葉の対義語はあるのかな…？？あるとすれば今そんな気持ちです。

めちゃめちゃ面白かったのに〜、ラストに近づくにつれて気持ちがどんどん萎んでいった。

忘れていた昔の同級生、サングラスの女、マルチ商法、胡散臭さ満載のストーリー展開で、どこでどう繋がってくるんだーと一気読みだったのに残念で仕方が無い。

殺人事件、詐欺の被疑者は一体だれなのか核心に迫っていく所までは良かったんだけど、犯人が分かってしまってからの説明が長すぎやしませんか？気持ちがダラけてしまいましたよ。
物語の軸になってた文絵も途中で置いてけぼりのまま終わってしまった感じだし。

この話、読んでいて宮部みゆきの『火車』に似てるなと思ってたけど『火車』の終わり方が絶妙だったんだと改めて感心してしまった。
初めて『火車』を読んだ時は「えー！そこで終わっちゃうの？」と衝撃だったけど今思えばすごく良いバランスだったんですね。

2015/11/07

話の内容にグイグイ引き込まれ、一気に読んでしまいました。
主人公の文絵の妄想⁈で進んでいくのかと思ったら、話が違う方向にどんどん進んでいって。

とにかく面白かった。
柚月裕子さんの作品は全て引き込まれる。

2015/11/02

心に闇を抱える主婦文枝が、中学時代の友人と名乗る女加奈子から、化粧品販売の仕事を手伝って欲しいと頼まれる。
自信を取り戻し、美しく変身した文枝は、大金を手に、今までよりも贅沢な暮らしをするようになる。

あちこちで目にしていて、図書館で半年以上待って読みました。
面白かったです、とっても。
文枝が変身していく様、文枝の後ろに見え隠れしている謎、先が気になって仕方がありませんでした。
並行して進んでいく、事件を追う秦刑事達のストーリーの方も、ジワジワと迫っていく感じがたまらなかったです。

ただ、最後の種明かし？が、あまりにも一気に展開しすぎな感じで、あっという間に終わってしまった感が否めず、ちょっぴり物足りなかった気がします。

でも、引き込ませ度はかなり高く、ページをめくる手を止められませんでした。
大満足です。

2015/10/28

面白かった～!(^^)!

育児と家庭に疲れた主婦がマルチ商法に手を染めていく
そして、鎌倉にある別荘では男の変死体が発見される
二つの事件に共通する『サングラスの女』
事件の真相は・・・・・・

出だしからクライム感バリバリです
日常生活の苦しみと過去の栄光
ここから逃げ出したいと思う心の隙間に入り込んでくる悪魔のささやき
降りかかる犯罪者という烙印

なるほど・・・・・・・・・・・・・・・
コロっと騙されてしまった
こういう物語は初めてではなかったんだけど
主婦の絵に描いたような苦境に同情している間に
そうか・・・・・・
苦境から逃げるために作り出された苦境だったのか・・・・・・

いやー
読む手が止まりません
徹夜必死ですからねー
睡眠不足覚悟で読んでくださいねー

2015/10/18

この人のどんでん返しにはいつも驚かされるし、嵌められる。さりげなく警察や体制への批判があるのもポイント。

2015/10/17

専業主婦で二人の女の子の母親。
家計のやりくりだけで過ごす日々。
中学の頃は痩せて美しくモテ期だったけれど、次第に太ってしまい、人と関わることも避けて過ごす日々。
唯一の楽しみは懸賞サイトに応募すること。
その懸賞で当たったディナーショーで、偶然中学の同級生と再会する。
その再会から彼女の生活が変化していき、美しさを取り戻す。

物語は2つの出来事が交互に語られて、これは最後につながるよねと思いながら小気味よく読んでいたが、途中からじっくり落ち着いて読まないと理解できないくらい複雑になっていった。

そこ信用しちゃうんだぁなんて文絵に突っ込みを入れたりしたけれど、最後は自分が騙された気分。
とてもせつない結末でした。