街角の書店 18の奇妙な物語 の商品レビュー
翻訳家でアンソロジストの中村融氏の編集による、〈奇妙な味〉アンソロジー。「お告げ」が素直にいちばん好きかな。一篇ごとの紹介文も情報量・熱量ともにモリモリで楽しかった。 ■肥満翼賛クラブ(ジョン・アンソニー・ウェスト、一九三二〜?) 鍛えていたのが良かったのかしらねえ。でも生と...
翻訳家でアンソロジストの中村融氏の編集による、〈奇妙な味〉アンソロジー。「お告げ」が素直にいちばん好きかな。一篇ごとの紹介文も情報量・熱量ともにモリモリで楽しかった。 ■肥満翼賛クラブ(ジョン・アンソニー・ウェスト、一九三二〜?) 鍛えていたのが良かったのかしらねえ。でも生とはねえ。いくら希望が通るからといっても、弁えてほしいものよねえ。…やっぱり反抗のつもりだったのかしらねえ。 ■ディケンズを愛した男(イーヴリン・ウォー、一九〇三〜一九六六) 大事な時に寝るほど酒を飲んではいけない、妻の不貞なんかを理由に無謀な旅に出てはいけない、ということが教訓か。 ■お告げ(シャーリイ・ジャクスン、一九一六〜一九六五) おしゃれな短編映画みたい。人生って、というか“お告げ”って、こういうもんかも。 ■アルフレッドの方舟(ジャック・ヴァンス、一九一六〜二〇一三) ラストシーンで、アルフレッドもその友人知己も、どういう表情をしているだろうか。 ■おもちゃ(ハーヴィー・ジェイコブズ、一九三〇〜) 売ってほしくないよなあ。 ■赤い心臓と青い薔薇(ミルドレッド・クリンガーマン、一九一八〜一九九七) いくつもの解釈が成り立つ、と。 ■姉の夫(ロナルド・ダンカン、一九一四〜一九八二) 戦争。 ■遭遇(ケイト・ウィルヘルム、一九二八〜) 誰と誰が遭遇したの?ミスター・クレインの人間的成長がどうのこうのという話?正直よくわからなかったけど、断片的には味わえた。 ■ナックルズ(カート・クラーク、一九三三〜二〇〇八) ウェストレイクの別名とのこと。語り口軽やか。 ■試金石(テリー・カー、一九三七〜一九八七) 落ち着かない。 ■隣の男の子(チャド・オリヴァー、一九二八〜一九九三) オチはイマイチな気もするが、ジミー少年やアンクル・ジョージ何者というドキドキ感は楽しんだ。ハリーはヘアスプレーのジェームズ・マースデンで。 ■古屋敷(フレデリック・ブラウン、一九〇六〜一九七二) 最期の時なのかな。このまま穏やかにいくのかと思ったのに。 ■M街七番地の出来事(ジョン・スタインベック、一九〇二〜一九六八) 家族を誇るシーンが良かった。 ■ボルジアの手(ロジャー・ゼラズニイ、一九三七〜一九九五) 解説がないと難しい(あっても自信ないけど)。 ■アダムズ氏の邪悪の園(フリッツ・ライバー、一九一〇〜一九九二) 男性雑誌プレイボーイ創始者(?)の怪しげな日常と思いきやまさかの怪奇寄り。 ■大瀑布(ハリー・ハリスン、一九二五〜二〇一二) 大昔の人が思い描いた世界の果てみたい。 ■旅の途中で(ブリット・シュヴァイツァー、?〜?) ポーの「ある苦境」を思い出した。意外と嫌いじゃないんだな…。 ■街角の書店(ネルスン・ボンド、一九〇八〜二〇〇六) 街角の怪しげな店シリーズ。作家は入ってしまうのかもしれない。
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シャーリィ・ジャクスン目当てで買ったアンソロジー。 思ってた以上に(このラインナップの中では)かわいらしかったシャーリィ・ジャクスン作品。 ぞわわっとしたのが『赤い心臓と青い薔薇』、そ、そういうことかー!だったのが『ボルジアの手』、『試金石』とタイトルの『街角の書店』もわりと好き...
シャーリィ・ジャクスン目当てで買ったアンソロジー。 思ってた以上に(このラインナップの中では)かわいらしかったシャーリィ・ジャクスン作品。 ぞわわっとしたのが『赤い心臓と青い薔薇』、そ、そういうことかー!だったのが『ボルジアの手』、『試金石』とタイトルの『街角の書店』もわりと好き。
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ジョン・アンソニー・ウェスト「肥満翼賛クラブ」 イーヴリン・ウォー「ディケンズを愛した男」 シャーリイ・ジャクスン「お告げ」 ジャック・ヴァンス「アルフレッドの方舟」 ハーヴィー・ジェイコブズ「おもちゃ」 ミルドレッド・クリンガーマン「赤い心臓と青い薔薇」 ロナルド・ダンカン「姉...
ジョン・アンソニー・ウェスト「肥満翼賛クラブ」 イーヴリン・ウォー「ディケンズを愛した男」 シャーリイ・ジャクスン「お告げ」 ジャック・ヴァンス「アルフレッドの方舟」 ハーヴィー・ジェイコブズ「おもちゃ」 ミルドレッド・クリンガーマン「赤い心臓と青い薔薇」 ロナルド・ダンカン「姉の夫」 ケイト・ウィルヘルム「遭遇」 カート・クラーク「ナックルズ」 テリー・カー「試金石」 チャド・オリヴァー「お隣の男の子」 フレドリック・ブラウン「古屋敷」 ジョン・スタインベック「M街七番地の出来事」 ロジャー・ゼラズニイ「ボルジアの手」 フリッツ・ライバー「アダムズ氏の邪悪の園」 ハリー・ハリスン「大瀑布」 ブリット・シュヴァイツァー「旅の途中で」 ネルスン・ボンド「街角の書店」
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☆4.0 とても素敵なアンソロジー。しっかり考えて掴みたい作品も、"考えるな、感じろ!"な作品もあって大変満足な18編。それぞれに軽く一言を。 ジョン・アンソニー・ウェスト「肥満翼賛クラブ」 すごい品評会だ。グラディスのグレゴリーが如何にコンテストで優勝を...
☆4.0 とても素敵なアンソロジー。しっかり考えて掴みたい作品も、"考えるな、感じろ!"な作品もあって大変満足な18編。それぞれに軽く一言を。 ジョン・アンソニー・ウェスト「肥満翼賛クラブ」 すごい品評会だ。グラディスのグレゴリーが如何にコンテストで優勝を掻っ攫うに至ったかがあまりにストイック!そしてラストにざわざわ。 イーヴリン・ウォー「ディケンズを愛した男」 怖い。怖すぎる。一番現実的怖さかも。愛し過ぎるが故なのか。 シャーリイ・ジャクスン「お告げ」 私の中のシャーリイ・ジャクスンのイメージになかった感じのキュートなコメディ。特におばあちゃんが可愛い。 ジャック・ヴァンス「アルフレッドの方舟」 落語みたいな話だった気がする。滑稽さが卓出。神様が"人間ってほんと馬鹿ね"って言ってそう。 ハーヴィー・ジェイコブズ「おもちゃ」 穏やかノスタルジックになると思いきや。最後の一言を告げたときのハリーの気持ちを思うとちょっと張り裂けそう。 ミルドレット・クリンガーマン「赤い心臓と青い薔薇」 ゾッとした。とりあえず意味不明な執着って本当に怖い。恐怖と嫌悪のミックスしんどそう。 ロナルド・ダンカン「姉の夫」 やっぱりそうなの?そういうことなの?人は自分の望むもの(自覚するしないに関わらず)しか見ないのかもしれない。 ケイト・ウィルヘルム「遭遇」これは解釈どうしたらいいの。教えて、識者!何度も読み返してる。是が非でも解き明かしたいと思わせる引力を持つ一編。 カート・クラーク「ナックルズ」 サンタクロースの対になる存在って今まで見たことない発想だった。新たなクリスマスホラーとして巷で活躍してほしい。 テリー・カー「試金石」 一体何を見極められていたんでしょうね。作品に呑み込まれてしまいそうでなんだか少しゾッとした。 チャド・オリヴァー「お隣の男の子」 最後、ジミーくんが一体何に青い瞳を期待で輝かせていたのか考えるとえらい怖いですね。 フレドリック・ブラウン「古屋敷」 どんなことを考えていたらこんな話を書けるようになるのかしらと思う。自分の核を守るものすべてが剥がれ落ちた瞬間ってこうなるのね。 ジョン・スタインベック「M街七番地の出来事」 末っ子ジョン、めちゃくちゃ怖かったろうな。これ近所にどんな噂として話が漏れ出してたのかすごく気になる。 ロジャー・ゼラズニイ「ボルジアの手」 あれですね?これはアイツですね?本作はとても短いながら、イメージが記憶に鮮烈に残る強めの一編。 フリッツ・ライバー「アダムズ氏の邪悪の園」 徹頭徹尾明らかに気持ち悪い感じでとても良いですね。才能のあるお金持ちの変態なんだろうなぁ。 ハリー・ハリスン「大瀑布」 なんか少し神話っぽさを感じる。外側の世界。滝の上の世界。でも彼らにとっても実は未知の世界。 ブリット・シュヴァイツァー「旅の途中で」 これはすごい。無条件で好き!って気持ちになった。手に汗握る大冒険ですよ、間違いなくこれは。 ネルスン・ボンド「街角の書店」 この作品が最後置かれているのがすごく琴線に触れる。そうなの。きっとこんな叫びが数多世界には漂っているの。真理を見た。
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「ミステリともSFとも幻想怪奇小説ともつかない」奇妙な味の物語を18編収めたアンソロジー。バランス良く様々なテイストの作が並んでいます。「肥満翼賛クラブ」は夫を肥満に仕立てる物語。この作品の描写とても奇妙で良いです。
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表紙のイメージとは裏腹に、ブラックだったり、ほの怖かったり、不条理だったりのまさに奇妙な味のアンソロジー。 何より編集が素晴らしい!中村融氏には一生ついていこうと思います。
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「奇妙な味」と評される作品を集めたもの。 「肥満翼賛クラブ」の不気味さったら! 12頁の、「七十四キロしかなかったミルトンを、三年もかからずに百四十二キロにした」 なんて、肥育場に押し込められた家畜じゃないか。 直感はこれまでの経験から導き出されたもの、それだけに頼るのは危ない...
「奇妙な味」と評される作品を集めたもの。 「肥満翼賛クラブ」の不気味さったら! 12頁の、「七十四キロしかなかったミルトンを、三年もかからずに百四十二キロにした」 なんて、肥育場に押し込められた家畜じゃないか。 直感はこれまでの経験から導き出されたもの、それだけに頼るのは危ないが、当たることも少なからずある。 さて、ことの顛末をご覧あれ。 ビールを飲ませろ!と観衆が騒いだのは一体何のためか。 著者が意図したかどうかはわからないが、確かにビールは、「効く」。 「遭遇」 全く内容が違うのに、「世にも奇妙な物語」の「雪山」という短編を思い出した。 本作も一回では意味がわからない。 結局女は何と遭遇したのかははっきりと描かれてはいない。 逢魔が時という言葉もあるし、極限状況にあれば幻影や幻聴もあるだろう。 しかしそれだけではないかもしれない。 個人的に好きなのは、「ボルジアの手」。 「猿の手」という作品を意識したのか。 たった6ページの作品だが、298頁の解説は後で読むことを強く勧めたい。 <さまよえるユダヤ人>、そしてhigh。 芸術を志す子どもが目指した高みとは。 星新一のショートショートを思わせる、素晴らしい作品だ。
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米澤穂信推しとのことで手にとった一冊だったが、なんと面白いアンソロジーだったろうか。 「奇妙な味」のアンソロジーで、18つの短編がグラデーションのように連続している短編集。ジャンルはそう、全部が「奇妙な味」。本邦初訳のものも、再訳のものもあって、どれも何か余韻を、ぞわっとする感覚...
米澤穂信推しとのことで手にとった一冊だったが、なんと面白いアンソロジーだったろうか。 「奇妙な味」のアンソロジーで、18つの短編がグラデーションのように連続している短編集。ジャンルはそう、全部が「奇妙な味」。本邦初訳のものも、再訳のものもあって、どれも何か余韻を、ぞわっとする感覚を、恐怖を残す。 すごい一冊だった…。
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”奇妙な味”堪能。面白いアンソロジーでした。編者あとがきで、こういった短編集が楽しめるのは、とても有り難いことだと痛感しました。またこういった本が出版されることを楽しみにしています。
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『肥満翼賛クラブ』ジョン・アンソニー・ ウェスト 『ディケンズを愛した男』イーヴリン・ウォー 『お告げ』シャーリイ・ジャクスン 『アルフレッドの方舟』ジャック・ヴァンス 『おもちゃ』ハーヴィー・ジェイコブズ 『赤い心臓と青いばら薔薇』ミルドレッド・クリンガーマン 『姉...
『肥満翼賛クラブ』ジョン・アンソニー・ ウェスト 『ディケンズを愛した男』イーヴリン・ウォー 『お告げ』シャーリイ・ジャクスン 『アルフレッドの方舟』ジャック・ヴァンス 『おもちゃ』ハーヴィー・ジェイコブズ 『赤い心臓と青いばら薔薇』ミルドレッド・クリンガーマン 『姉の夫』ロナルド・ダンカン 『遭遇』ケイト・ウィルヘルム 『ナックルズ』カート・クラーク 『試金石』テリー・カー 『お隣の男の子』チャド・オリヴァー 『古屋敷』フレドリック・ブラウン 『M街7番地の出来事』ジョン・スタインベック 『ボルジアの手』ロジャー・ゼラズニイ 『アダムズ氏の邪悪な園』フリッツ・ライバー 『大瀑布』ハリー・ハリスン 『旅の途中で』ブリット・シュヴァイツァー 『街角の書店』ネルスン・ボンド
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