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月と雷 の商品レビュー

3.4

80件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

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  3. 3つ

    33

  4. 2つ

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2025/11/25

最初から最後までひどくふわふわしていて掴みどころのない小説。それは私がこの登場人物に比べて普通な生き方をしているからであって、たぶんこの感覚は泰子が太郎に対して感じる「腑に落ちない部分が怒りに感じる」感覚に似ているのだろうなと思う。そして、文章のみで読者の気持ちをコントロールでき...

最初から最後までひどくふわふわしていて掴みどころのない小説。それは私がこの登場人物に比べて普通な生き方をしているからであって、たぶんこの感覚は泰子が太郎に対して感じる「腑に落ちない部分が怒りに感じる」感覚に似ているのだろうなと思う。そして、文章のみで読者の気持ちをコントロールできる著者の筆力の高さに圧倒させられる。 自分とは違う世界と感じる一方で、「誰かの無意識のきまぐれ」によって自分の人生が大きく左右されていくという感覚はわかる。今自分がいるのも、きっとどこかの誰かが何気なく行動した結果の積み重ねで、その力は時としてとても大きくただ身を委ねる他ない時もある。その力に100%身を委ねて生きてきたのが直子で、一方泰子はその中でも自らの人生の舵を取ろうと決め一歩踏み出す。 「縁」ではなく「誰かの無意識のきまぐれ」という表現があまりに適切すぎて、ふとした時に思い出しそう。

Posted byブクログ

2025/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作中で、智のことを「根無草」と表現した文があった。 それはそうかもしれないけど、そもそも生まれたときから根っこなんてなかった直子・智親子。 正直、「よく生きてこられたなぁ」と思った。随分と「ただれた人生」だったーーー(汗) 感じたことのない感情で胸焼けして、何故か麦茶をガブ飲みしたくなった。 読み進めている最中、直子だけが突出して「モンスター」みたいに錯覚したが、実はこの作品に出てくる女性達、ほぼ全員おかしいと気がついてから、一気にページを捲る手が止まらなくなった。 どこか狂気を孕んでいて、常識という枠なんて最初から知らない・または気付かないふりをしているような気もする。 そして、それぞれの女性達の特徴は、少なからず誰しもが抱く感情・言動だと感じた。 非常識な他人の行いのせいで、人の人生が捻じ曲がるなんて、実はそうそうあることではなく、 むしろそれはただのきっかけにすぎず、本当は自らの選択でいかようにも転がるものなんじゃないか。 作中の泰子の心情にはそう書かれていて、あー作者が言いたいのはここだと思って、共感できた唯一の内容だった。 直子のような根無草人生を羨ましいと思う人は、実は相当数いるんじゃないか。 知らない・考えない・差し伸べられた手は全て掴む…楽だし悩むことなんてなさそうで、実に「簡単」に見えるからだ。 それをしないからこそ、「一人前の大人」だし、自分を律するというのは、一生をかけた努力と習慣の連続なのだと思うからだ。 初の角田光代作品がこれでよかったのだろうかww 次にどんな本を読むべきか、読後感はとても複雑。

Posted byブクログ

2025/07/20

なんだろ、毎日人並みにきちっと生活している自分にはなんだか匂いが合わないと、思いながら涼みに入った図書館で一気読み。 こんな人も、いるんだなあ。 直子さんが「はじまったらあとばどんなふうにしても切り抜けなきゃなんない。そして、あんた。どんなふうになっても切り抜けられるもんだ。なん...

なんだろ、毎日人並みにきちっと生活している自分にはなんだか匂いが合わないと、思いながら涼みに入った図書館で一気読み。 こんな人も、いるんだなあ。 直子さんが「はじまったらあとばどんなふうにしても切り抜けなきゃなんない。そして、あんた。どんなふうになっても切り抜けられるもんだ。なんとでもなるもんだよ」そんなもんなかと思うけど。 と、図書館に居たら雷鳴り出してタイムリー過ぎて笑える。 晩御飯なににしようって考える私はなんとでもならない。

Posted byブクログ

2024/12/02

気持ち悪いながらもありそうな。いるよねー、こーいう人、と流されて流されて生活している人を側から見ているつもりだったけど、実は誰でもちょっとした選択で人生がコロッと変わったり決まったりする事があって、始まったら終わらせるしかないのかなと思った。

Posted byブクログ

2024/09/26

 どの人も目標を持って、前向きに生きてはいないし、流されてしまうことも、意志を持たずにいることもある。  しかし、この話に出てくる人たちの、ダメさ加減にはウンザリしてしまう。でも、惹きつけられる。  タイトルの意味も掴めぬまま、終盤になってわかった。 完璧な人はいないし、流されて...

 どの人も目標を持って、前向きに生きてはいないし、流されてしまうことも、意志を持たずにいることもある。  しかし、この話に出てくる人たちの、ダメさ加減にはウンザリしてしまう。でも、惹きつけられる。  タイトルの意味も掴めぬまま、終盤になってわかった。 完璧な人はいないし、流されて生きていくことがダメではなく、そういうところが人間なのだと。  月の、欠けているように見える時間が多いように。  雷の、突然やってくるように。

Posted byブクログ

2024/08/24

歪な家族の物語。 主人公は自分の人生について深く考えず、後先考えず、流れに乗ってなんとかなるだろうと思っている、そんな登場人物たちを見てて危なっかしいなと思いながらもスラスラと読み終えた。 そして親が親なら子も子だと主人公を見て思った。 育った環境ってこうも影響するのか、と。 自...

歪な家族の物語。 主人公は自分の人生について深く考えず、後先考えず、流れに乗ってなんとかなるだろうと思っている、そんな登場人物たちを見てて危なっかしいなと思いながらもスラスラと読み終えた。 そして親が親なら子も子だと主人公を見て思った。 育った環境ってこうも影響するのか、と。 自分の親を見て嫌悪感を抱いている主人公も、側から見れば嫌悪感を抱いてしまう部分がある。 自分の周りにはいないタイプのひとの物語だったので読んでる途中も読み終えた今も不思議な気持ち。 こうして小説を通していろんな人間を知れるのは面白いなとも思った。

Posted byブクログ

2024/05/29

【2024年119冊目】 幼少期より母親と共に他人の家から家へと移り住んでいた智は、プロポーズをした恋人に「あなたには生活ができないと思うから」と逆に別れを切り出されてしまう。モテはするが、長続きしないことに薄々気づき始めた智は、唐突に子どもの頃一緒に過ごした泰子に会いに行くこと...

【2024年119冊目】 幼少期より母親と共に他人の家から家へと移り住んでいた智は、プロポーズをした恋人に「あなたには生活ができないと思うから」と逆に別れを切り出されてしまう。モテはするが、長続きしないことに薄々気づき始めた智は、唐突に子どもの頃一緒に過ごした泰子に会いに行くことを決意する。自らのルールに従って突き動いていく登場人物たちの人生の行方は。 ずーっと、膜に包まれたような感覚で読みました。理解はできるけど理解ができない、みたいな不思議な感覚。登場人物たちの心理と自分があまりにも乖離していて「そうか、私は生活ができる人間なのかもしれない」と思ったり。 かと思えば、智が母親に抱く負の感情に共感してしまい、こちらまで憂鬱、暗い気分になったりもしました。 不思議な雰囲気の小説です。よく映画にしようと思いましたね、かなり難易度高いと思います。単純な家族の小説ではないですから。 あと、お酒飲み過ぎないようにしよ…って思いました。ほどほどに。

Posted byブクログ

2024/03/23

子供が育つ環境って大事。何が普通かわからずに育った人間は、普通に生きることが難しい。 何かが始まったら終わるってことはない。どんなふうにしてでも切り抜けなければならない。そしてどうとでもなる。 かつて、私もそう思ったな。

Posted byブクログ

2024/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「堅実」の真逆をいく生き方が、自分には決してできそうもなく、かと言って羨ましくも可哀想でもなく、そういう人生もあると描かれている。 何かに必死になって生きて行かなくても、ただ流されてもそれもちゃんと生きているんだな、と眼から鱗。 不思議すぎて謎すぎて、でもそれに納得のいく説明なんかもなく。 それをただ受け入れるということ。 こんなに誰にも感情移入できない小説もめずらしい。 でもそれはそれでちゃんと小説として面白いんだよなぁ

Posted byブクログ

2024/01/06

この小説に登場する、「生活」ができない人たち。 なぜそうなってしまってるのか、あれこれと理由を探すのは簡単だし、ともすれば彼らがちゃんと「生活」できるようになるためにはどうすればいいか、なんてことまで考えてしまいそうになる。 でも、彼らは確かに生きている。 彼らが一日一日をちゃん...

この小説に登場する、「生活」ができない人たち。 なぜそうなってしまってるのか、あれこれと理由を探すのは簡単だし、ともすれば彼らがちゃんと「生活」できるようになるためにはどうすればいいか、なんてことまで考えてしまいそうになる。 でも、彼らは確かに生きている。 彼らが一日一日をちゃんと送っていることは間違いない。 そのことを肯定したいと強く思う一方で、同じ場所に留まり続けて日々を蓄積していくとの重みと尊さもあらためて感じる、そんな読後。

Posted byブクログ