できたての地球 の商品レビュー
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2015年刊。 著者は東京工業大学地球生命研究所所長・同教授。 現在、地球最古の生命の痕跡を辿れるのは約38億年前とされている。一方、地球誕生は太陽系内のスターダスト・隕石の分析から約46億年前と推定されている。 この約8億年間、地球はいかなる様子だったのか。これを惑星科学・地球規模の地質学から解明する研究の先端情報を本書は開陳する。 ここでのキーがプレートテクトニクスだ。 端緒は明らかでないが、①海水の流入でマントル上部の低温・液化。②マントル圏の対流発生。③水が分解した水素は核に、酸素はマントルに結合する。④前者の結果、鉄を中核成分とする外核の液化による地磁気圏を生み、後者がプレート運動と大陸を生んだ(なお、この大陸が生命誕生の子宮とする見解も開陳される)。 もちろん、本書にある内容は、あくまでも仮説に過ぎない。特に大陸の岩石を触媒とし、解糖系の逆回転(エネルギーを利用してアミノ酸を形成)が生命誕生の肝とみる件は、実証実験の端緒についたばかりだ。 しかし、その仮説自体が、全体として、なかなか興味深く、特に地磁気圏の誕生が生命の持続において極めて重要度が高いと考えられる中、その議論の一端を示した点は一層興味深いところである。 もっとも、水星が磁気圏を持つこととの整合性如何という疑問がないではないが、そもそも地球の成立にあたり、発生過程が異質だと考えられるのだろう。また、その他でも、あまり判っていない点も多々あるのも確かだ。 ところで、このテーマは、日本においては、著者をはじめ、本書でも度々挙がる丸山茂徳らが中心となって議論をリードしてきたのだろう。 個人的には、丸山による放送大学のテレビ講義を見たことに触発されたテーマだ。 そして「岩波科学ライブラリー」という文系に優しいレーベルから出たことで、この議論を簡明に一気に見通せたのはなかなか良かったと感じたところである。
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筆者は地球の起源と生命の起源を探る、東工大の地球生命研究所の所長さん。岩波科学ライブラリーの一冊だけあって、ニック・レーンの「生命、エネルギー、進化」より全然読み易い、薄いせいもあるけど。 スノーラインより外の大きい惑星が水を飛ばしてくれなきゃ話が始まらないとか、高気圧な地球コア...
筆者は地球の起源と生命の起源を探る、東工大の地球生命研究所の所長さん。岩波科学ライブラリーの一冊だけあって、ニック・レーンの「生命、エネルギー、進化」より全然読み易い、薄いせいもあるけど。 スノーラインより外の大きい惑星が水を飛ばしてくれなきゃ話が始まらないとか、高気圧な地球コアだと物質を(気体じゃなくて)閉じ込めておけるとか、平易で包括的な表現を随所に挟んでくれるお陰で無理なく読み通せました。さすが先生。
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太陽系の惑星のでき方を示す図1がとにかく面白い.小惑星帯が現在の地球の様々な要素を作り上げているようで,興味深い.第4図に示されたように,マントルの下に外核と内核があり,それぞれ重要な枠割を持っている由.不思議だ.ただ,生物がどのような環境があったから生まれてきたのは,まだよく分...
太陽系の惑星のでき方を示す図1がとにかく面白い.小惑星帯が現在の地球の様々な要素を作り上げているようで,興味深い.第4図に示されたように,マントルの下に外核と内核があり,それぞれ重要な枠割を持っている由.不思議だ.ただ,生物がどのような環境があったから生まれてきたのは,まだよく分かっていないようだ.かなり奇跡的に好都合な条件が生成されたからだと推測できるが,そのような環境を作ったのは?
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生命が誕生できる環境としての原始地球を考えようという主旨。学際的で統合的な取り組み。 ・マントルは固体。液体か固体かを判別する簡単な方法は横波が通るかどうか。液体に横波は通らない。 ・水晶(石英)は地上(1気圧)からマントルの底(135万気圧)に行く間に4回も結晶構造を変える。...
生命が誕生できる環境としての原始地球を考えようという主旨。学際的で統合的な取り組み。 ・マントルは固体。液体か固体かを判別する簡単な方法は横波が通るかどうか。液体に横波は通らない。 ・水晶(石英)は地上(1気圧)からマントルの底(135万気圧)に行く間に4回も結晶構造を変える。 ・初期地球と同じ様な環境が再現されなければ、現在の地球生命のような生命体は存在しない。言い換えれば、惑星誕生の直後ぐらいしか、生命誕生のチャンスはないといえるかもしれない。
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できたての地球、なんて爽やかでワクワクするタイトルだろうか。 宇宙のガスが冷えて塵になり、集まって恒星や惑星が出来る。とはいえ、ガスや塵が集まっているだけなら地球とは呼べそうもないし、どこから地球と呼ぶのか、そして原始地球はいつからいつか、初期地球はいつからいつか、解釈は結...
できたての地球、なんて爽やかでワクワクするタイトルだろうか。 宇宙のガスが冷えて塵になり、集まって恒星や惑星が出来る。とはいえ、ガスや塵が集まっているだけなら地球とは呼べそうもないし、どこから地球と呼ぶのか、そして原始地球はいつからいつか、初期地球はいつからいつか、解釈は結構わかれるらしい。 同じように、生命も、どこから生命なのか。化学進化と呼ばれるような初期段階なのか、遺伝情報があって、代謝をして、というようなものでないといけないのか。けれど、これらは連続的なできごとで、あるときここから、という性質のものではない。 生命は海で生まれて陸に上がり、進化して現在がある、というようになんとなく覚えていたが、いや、陸で生まれた、といわれると確かに説得力がある。陸のほうが環境に多様性があるし、素材の濃度も高い。チューブワームなんかの発見で、深海が地球生命の起源だと考える人が増えているけど、慎重に、って。 地球がかつてどうだったか、を解説し、それを遡って生命がどのように生まれたかを考察する。何分当時の資料がないわけだけど、いろいろな科学が集まって、結構なところまでわかってきているようだ。 地球の生命はみな同じタイプであり、もしかすると存在する宇宙の他の生命とは、まったく仕組みが違うかもしれない。地球の生命だって、他のタイプがいたかもしれないけど、淘汰されたのか、何度も誕生と絶滅をを繰り返してきて今があるのかもしれない。 というわけで、壮大なスケールを短いページで駆け抜けていく本。生命のことをもっと読みたかったなあ、という感想が残る。 まあこの本は呼び水のようなもので、興味を持ったらその先に…と思ったが、参考文献リストが、ない。うむむむ。25メートルプールを泳ぎきると、気持ちいけれど、ターンなしで50メートル泳ぎたいなあ、なんて思ったりする感覚(わかりにくいね)。
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時々、無性に自然科学系のものが読みたくなります。「四六億年前に何が起きたのか」知りたいと思いませんか?「地球の水はどこから来たのか」水が無ければ多くの生命は生きられないですよね。じゃあ、「生命が生まれる場とはなにか」最初の生命といえるものはどこで生まれたのでしょうか。このような様々な謎に取り組んでいる研究者はきっと楽しいんだろうな、と思える書でした。
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