日米開戦の正体 の商品レビュー
(2015/11/13) つい先日読んだ「大日本帝国の興亡」をなぞるような本。 歴史的事実に新しい発見はなかったが、 これもつい先日読んだばかりの「ネット私刑」との共通点に驚く。 誰が勝つ見込みのない、国の資源が10倍も違うアメリカに戦争をしかけたか。 戦犯と思しき人たちが皆「自...
(2015/11/13) つい先日読んだ「大日本帝国の興亡」をなぞるような本。 歴史的事実に新しい発見はなかったが、 これもつい先日読んだばかりの「ネット私刑」との共通点に驚く。 誰が勝つ見込みのない、国の資源が10倍も違うアメリカに戦争をしかけたか。 戦犯と思しき人たちが皆「自分は騙された。」と他者のせいにする。 他者のせいにはするが、戦争を否定することはなく、むしろ喝采を浴びせる。応援する。 無鉄砲な、勢いのいいだけの、考えなしの意見に同調する。 無責任極まりない。 少なくとも日本人は、いやもしかしたら人類共通の課題かもしれないが、全く進化していない。 私が敬愛する小説家吉川英治ですら、戦争を鼓舞する紀行文を書いているという。 反戦をあらわにした著名人はごくわずかで、経済人であれば職を失っている。 そんな時代が来るのか、それともそれは杞憂で、 単に自分の思う世の中にできないことで反政府的立場をとっているのか。 流されずに自分の目で見、耳で聞き、頭で判断しなくてはいけない。 ■序 章:なぜ今、真珠湾への道を振り返るのか ■第一章:真珠湾攻撃を始めたかったのは、誰なのか? ■第二章:真珠湾攻撃への一五九日間 ■第三章:真珠湾への道は日露戦争での“勝利”から始まっています ■第四章:進みはじめた真珠湾への道――日露戦争後から柳条湖事件直前まで ■第五章:日本軍、中国への軍事介入を始める ■第六章:日中戦争突入、三国同盟、そして米国との対決へ ■第七章:米国の対日政策 ■第八章:真珠湾への道に反対を唱えていた人たち ■第九章:人々は真珠湾攻撃の道に何を学び、何を問題点と見たのか ■第十章:暗殺があり、謀略があった
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※このレビューにはネタバレを含みます
本作のテーマは「日米開戦」「真珠湾攻撃」。 若者から面倒臭っ、古臭っ、みたいな反応がありそうです。ただし、氏のテーマ設定の背景は深遠です。『日本は今、「あのとき」と同じ歴史的曲がり角にいます』、と冒頭で述べます。 ・・・ 今、TPP、原発はじめエネルギー問題、消費税増税、国の借金等問題がありながら、正論が叩き潰され、言論が密かに封殺されるような現代社会。 今なら無謀な戦いだと理解できる約80年前にも、正論が覆され、自己の保身から統治責任を放棄した政治家や軍人たち、そして現状をあおったマスコミや論壇があった、という話です。 現代を危機と捉えるものの問題には直接触れず、逆に80年前の状況を渉猟し、多くの歴史上の人物に当時を語らせることにより、どのようにして日本が破滅の道へたどったかを示します。正確には、1941年の真珠湾攻撃から遡り、満州事変、さらには日露戦争辺りまで事象の連関を探ります。 当然ながら、これは反面教師的効果を狙っています。 ・・・ まず、日本は流れを読めなかった。 俗に、第二次世界大戦は、欧米に「追い込まれた」上で日本は突入したと言われることがあります。一部には正しいと思います。自国が不平等条約で酷い目に遭い、過剰適応の末、同様の事を韓国や中国でも展開しようとしたのかもしれません。また兄貴分たる欧米のやり方を踏襲しただけということなのかもしれません。 ところが辛亥革命以降、民族自決の萌芽は顕在化しつつあったわけです。中国を狙う米国すら、その民族意識や反発・またそれと対峙するコストについては勘案できていた節があるようです。日本にはそこまで読む力はなかったようです。で、石橋湛山など、こうした流れを読める言論人は世間から排斥されてしまったわけです。 現代で正論を言う人が排斥されていることはないでしょうか? ・・・ 次にお偉方の監督責任です。 五・一五事件や二・二六事件は一般に若手将校の先走りと解されていると思います。ひいては満州国設立の差し金たる関東軍の横暴です。で、そういう暴挙に対して、偉い人たちは何をやっていたのかって思いませんか。 結論から言えば、傍観・責任放棄です。ただいるだけ。半藤一利氏の著作からの引用でこうあります。 『二・二六事件はひと言でいえば「恐怖の梃子」ですよ。(略)何かといえば陸軍の上に立つ人は「わたしはいいが、部下の方がどうでるか」と脅すんです。(『日米開戦の正体』P.489)』 今であればどうでしょう? 「いや部下のマネジメントこそあなたの仕事でしょう? できないんだったらとっとと辞めてください」って言いたくありませんか? もちろんこの場合は文字通り拳銃を持った部下であり、御しがたいところはあろうかと思います。内心で部下の横暴を応援していた向きも多かったと思います。ただ、政治家・軍人にはあまりにマネジメントに適さない人が多かったと思えてなりません。 現状の政界・財界はどうでしょうか。 ・・・ これ以外にも、テロ(武力)をもとにした言論封殺は興味深かったです。辛くも生き延びた幣原喜重郎氏や、どう見ても陰謀の下に殺害されたとしか思えない佐分利中国公使の話など。 また、我が身を守るために世間と迎合した文学人(斎藤茂吉、山岡荘八、川端康成等多数)の責任問題など、有名人・芸能人の立場の厳しさを突き付けられた気がします。もちろん、メディアや有名人の発言をあるがまま嬉々として吸収してしまう民度の低さは言わずもがなです。 ・・・ ということで孫崎氏による戦前戦中史についての作品でした。 多くの軍人・政治家・外交官の発言から、当時の空気を再構成しています。感じ取れるのは、近視眼的(よく言えば?戦略より戦術)、上層部の責任放棄、長いものに巻かれろ主義、異論を許さない不寛容、でしょうか。 今、こうした国民性に変化が無いとすれば、やはり同類同規模の悲劇が再発する恐れがあるのかもしれません。 本作、戦中史に興味がある方、外交史に興味のある方、政治に興味のある方、現代日本はおかしいんじゃないかと感じる方、等々にはお勧めできる作品かと思います。
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日露戦争での勝利に始まる真珠湾戦争へ至る道 なぜ真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだのか 真珠湾攻撃を始めたかったのは 原発の再稼働、TPPへの参加、増税、集団的自衛権、特定秘密保護法 日本の生き方を根本的変える動き 要求に応じる代議士官僚とただ見つめる国民 本質が論議されず 詭...
日露戦争での勝利に始まる真珠湾戦争へ至る道 なぜ真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだのか 真珠湾攻撃を始めたかったのは 原発の再稼働、TPPへの参加、増税、集団的自衛権、特定秘密保護法 日本の生き方を根本的変える動き 要求に応じる代議士官僚とただ見つめる国民 本質が論議されず 詭弁や嘘で重要政策が進められる 本質論を説くと邪魔で排除される経緯 歴史こそが人間の行動の実験室
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資料のピックアップに恣意的なものを感じるけど、日米開戦に向かって、軍・政・官それぞれの考えが紹介される。もちろんいろんな意見があったわけで、当然ながら誰もアメリカに勝てるとは考えていなかった。 それでも開戦した。残念ながら形式として国民の総意で。それだけ日本は、民主国家としては不...
資料のピックアップに恣意的なものを感じるけど、日米開戦に向かって、軍・政・官それぞれの考えが紹介される。もちろんいろんな意見があったわけで、当然ながら誰もアメリカに勝てるとは考えていなかった。 それでも開戦した。残念ながら形式として国民の総意で。それだけ日本は、民主国家としては不出来だった。天皇主権の国だったし、いつの世でもそうだけど、国民より体制維持が優先されちゃうんだな。とは言え、フランスのやり方も好きになれないよ。
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以前、著者である孫崎氏の「戦後史の正体」を、日本近現代史の新たな視点で興味深く読んだことから、戦後70年という節目に、2015年の夏休み図書として購入。 まとまった読書時間がなかなか取れず、かつ500ページ以上の分量だったため、読了したのが翌年の初夏になってしまった。 孫崎氏は...
以前、著者である孫崎氏の「戦後史の正体」を、日本近現代史の新たな視点で興味深く読んだことから、戦後70年という節目に、2015年の夏休み図書として購入。 まとまった読書時間がなかなか取れず、かつ500ページ以上の分量だったため、読了したのが翌年の初夏になってしまった。 孫崎氏は本書のまえがきにて、現代の安倍政権とジャーナリズムのあり方が、先の太平洋戦争開戦時の状況と酷似しているとし、元外務官僚だった立場で現代社会に警鐘を鳴らすことから論考が展開される。 日米開戦への道のりと開戦に至った原因を著者なりの視点でまとめ、それを読者に対して問題提起する論調はいつものスタイルともいえるが、本書の特徴は、著者の論点や考えのみが述べられているのではなく、当時を生きた多くの関係者の著書や手記等のを可能な限り引用し、歴史の解釈や当時の状況の描写に関しての客観性を試みている点であるといえる。 関係者においても、軍人や政治家・官僚だけでなく、ジャーナリズムや文学界からも引用されていることが、客観性をより高めていると感じる。 また、著者自身は歴史家という立場ではないからか、歴史を論ずる際のタブーとされる"IF"をあえて用いているが、これは著者自身の考えや歴史的解釈を強調したいからなのであろう。自分としても違和感なく著者の想いを理解しながら読み進めることができたので、このようなアプローチも悪くはないと感じた。 本書では太平洋戦争(特に開戦の端緒となった真珠湾攻撃)の遠因は日露戦争の勝利にあるとして、そこまで遡って述べられているが、ひとつの事象を長期的視点に立ち、かつ複眼的(国内-海外、戦争賛成派-反対派、国家-民衆 等)に分析し論説されている点は評価したい。 戦争は戦略・戦術のみならず、政治・経済・外交に加え、時には宗教や思想、国家レベルの謀略等も絡み、限られた紙面の書籍にて多面的に論説するのは極めて難しい分野であるといえるが、孫崎氏のように(反論や批判があると分かったうえで)独自の視点やアプローチによって、現代社会と対比しながら切り込んでいくスタイルは、読者にも多面的に考えさせるという点でも貴重なのではないだろうか。 孫崎氏の歴史観は賛否あるものの、その時代を生きた人物の生の声を拾い上げていくアプローチは、日々に忙殺されて関連した時代の本を読む時間が取れない身としては有り難いと感じた。 引用を多用することでオリジナリティに欠けるという批評もあるとは思うが、こうしたアプローチはインターネット分野では一般的になった"キュレーション的手法"ということができ、情報が氾濫する現代社会では歴史分野においても有用であるといえる。 「戦後史の正体」と同様、著者独自の視点とアプローチで興味深く読み進められたが、分量が多いからか、論調が全体的に散文的で、かつあとがきに「最終章を書いていながら、まだ筆を置けません。」と述べてあるように、著者自身も不完全燃焼で締められていることから、今後への期待を込めて評価は4とした。
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なぜ、大日本帝国は真珠湾攻撃を行い、日米開戦という道を選択したのか? 日米開戦に至る国内の政治及び軍事関係の歴史を検証している。 本書の冒頭で明らかにしているように、日本の開戦、対米直接戦争を一番望んでいたのは、ヨーロッパ戦線で苦境に陥り、しかも、米国の参戦を誰よりも望んでいた...
なぜ、大日本帝国は真珠湾攻撃を行い、日米開戦という道を選択したのか? 日米開戦に至る国内の政治及び軍事関係の歴史を検証している。 本書の冒頭で明らかにしているように、日本の開戦、対米直接戦争を一番望んでいたのは、ヨーロッパ戦線で苦境に陥り、しかも、米国の参戦を誰よりも望んでいた英国チャーチル。そして、米国民からの戦争参加承認を望んでいた、米国大統領ルーズベルトである。 本書は日本国内の政治状況について細かく記述してはいるが、話のキモは冒頭いきなり宣言されている。 日本が日本国民にとって愚かな選択と言われる対米直接戦争に突入したのは、米英の開戦を待ち望む様々な要求に耐えきれなくなったことが、最大の原因であると思う。 著者は、本書を書いた理由に、現在の社会が、開戦前夜と同じような状況に進みつつある。今の平和な日本を壊す必要は何もないのにと書いているが、その平和な日本を創り出したのは、愚かな選択と言われる対米直接開戦とその結果である敗戦だったのではないか。 奇しくも今日は、明治節。 昭和初期生まれの母は、明治節の歌を歌っている。その話を聞くに、おそらく当時の日本国は現代の北朝鮮と同様の、現人神、天皇が支配する前近代国家だったのではなかろうか? とすれば、太平洋戦争は、本当に日本にとって最悪の選択だったのだろうか? もし、対米直接戦争が行われなかったとしたら、現代の日本はどのような世界になっていたのだろうか? そして、もし、今の首相の選択も誰かの強い意向を反映したものであるとすれば.... そして、本書は末尾に伊藤博文、阿倍守太郎外務省政務局長の暗殺、佐分利貞男駐支那公使の変死などの死についての憶測で締めくくる。 もし... 歴史にifはないのだけれど、そんな世界を想像した。
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なぜ日本は日米開戦を選択するに至ったのか、日露戦争以降の対満州施策を中心に、当時の「声」をふんだんに収録しながら解説されています。非常に分かりやすく、明解に整理されていて、理解が深まりました。確かに今後これを教訓にしていくべきですね。
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大日本帝国の構造は、天皇を頂点に据えて国務を司る政府と統帥権を有する大本営が対峙する。各々の組織における和平派と主戦派とを挙げ、彼らの行動や発言をつぶさに評価することで日米開戦に至った経緯を検証せんとする。歴史に「もし」はないと言うが、こと近代史に関しては、様々な分岐点での判断の...
大日本帝国の構造は、天皇を頂点に据えて国務を司る政府と統帥権を有する大本営が対峙する。各々の組織における和平派と主戦派とを挙げ、彼らの行動や発言をつぶさに評価することで日米開戦に至った経緯を検証せんとする。歴史に「もし」はないと言うが、こと近代史に関しては、様々な分岐点での判断の是非をしっかりと吟味し、現在直面している課題の解決に役立てなければならない。個人的には「集団的自衛権」「原発」「TPP」に大いに憂慮しつつ矛先を転ずる力もないが、自分の思考を整理し、述べることはしなければと思うのだ。
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なぜ真珠湾攻撃と言う愚かな道を歩んだか 森島守人著、 陰謀・暗殺・軍刀 岩波新書 なぜだまされることを選択するのか、認知的不協和論 伊丹万作、戦争責任者の問題、騙されていたと言って平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でも騙されるだろう、 天皇陛下、満州事変...
なぜ真珠湾攻撃と言う愚かな道を歩んだか 森島守人著、 陰謀・暗殺・軍刀 岩波新書 なぜだまされることを選択するのか、認知的不協和論 伊丹万作、戦争責任者の問題、騙されていたと言って平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でも騙されるだろう、 天皇陛下、満州事変に始まるこの戦争の歴史、 日露戦争から真珠湾攻撃までの歴史について、 満鉄は日本は満州を統治する機関、後藤新平、初代満鉄総裁 民間の会社の装いの下、満州のポーチをする、インドにおける東印度会社、
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わりと長かった。 第2次世界大戦。太平洋戦争。日中戦争に至るまでの 日露戦争からの政治や軍部、マスコミの詳細な 動き(歴史)が語られています。多分、物事の見方は ある一方からに偏っているかもしれませんが ここまで詳しく語られているものは初めて読んだ 気がします。 第1次世界大戦・...
わりと長かった。 第2次世界大戦。太平洋戦争。日中戦争に至るまでの 日露戦争からの政治や軍部、マスコミの詳細な 動き(歴史)が語られています。多分、物事の見方は ある一方からに偏っているかもしれませんが ここまで詳しく語られているものは初めて読んだ 気がします。 第1次世界大戦・対華21カ条・満州事変・三国同盟・満州国設立・連盟脱退・真珠湾 それぞれのポイントで引き返す道はあって、それを なぜ選択できなかったか。。 今の日本の状況と重なる部分が多くあるような気が どうしてもします。
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