しょうがの味は熱い の商品レビュー
うまくいかないから努力してきた。しかし、その努力は本当に必要だったのでしょうか。そしてこれからの努力も。最初に彼に抱いた『好き』という気持ちがゆっくりとすり減っていくだけではないでしょうか。でも私はがんばらなければ気が済まないのでしょう。だって、好きなのだから。こんな、どこかで諦...
うまくいかないから努力してきた。しかし、その努力は本当に必要だったのでしょうか。そしてこれからの努力も。最初に彼に抱いた『好き』という気持ちがゆっくりとすり減っていくだけではないでしょうか。でも私はがんばらなければ気が済まないのでしょう。だって、好きなのだから。こんな、どこかで諦めながらもがんばらざるを得ないという状況が存在することを、私はいままで知りませんでした。自分の意志ではなく、執着や激情に自分の身体が引きずられてゆくこんな感覚を、私は本気で恋をするまで味わったことがありませんでした。 絡み合ってほしいときに絡まない視線、その胸の締め付けられる切なさを愛したことも事実なのです。 ひさしぶりにいまことのひとときにだけひたっていると、身体じゅうがほぐれて眠くなり、自然にまぶたが、甘く重く瞳にのしかかってきます。 今この瞬間の幸せを大事に。 ここまでの行動力はないけれど、主人公の思考回路がこんなに共感できる話は出会ったことない。胸に突き刺さる言葉がたくさんあった。自分でちゃんと買って、本棚に収めておきたい。歳をとってまたこの本に出会ったときに、きっと今日のこの気持ちを思い出して懐かしくなるんだろうなと思う。綿矢りさの作品は、いつも着地点に希望が見い出せて大好き。
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ところどころ、すごく尖っていてかっこいい文章があるのは相変わらず。 でもあらすじとか登場人物の魅力がなぁ… この本の主人公の女の結婚願望がただただ重いし、彼氏の方の一大決心がものすごく薄っぺらい。
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次々に誰かに夢中になって、しばらくその人のことしか見えなくなって…という時期を過ごしていたせいで、小説も読みきれなくなって、ひさしぶりに一気に読み切った小説がこれという、皮肉。綿矢りさはどこまでも天才。
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