風と共に去りぬ(第1巻) の商品レビュー
傑作。 恋愛、結婚、女性の地位、戦争の欺瞞性あますところなく書かれている。 スカーレット・オハラ、レット・バトラーが痛快。 構うものか、の心意気がこの後、どうなるのか。 20年前に一度、別の訳者で読んだと思うが、ここまで痛快だとは!
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アメリカの南北戦争の時代。南部のタラやアトランタが主な舞台。 世界史で南北戦争の経緯や結果を知っていながら、スカーレットを取り巻く人生の細かな描写を読み進めていく。 歴史で取り扱う南北戦争は2行にも満たないかもしれないけれど、この作品には、今の自分と何ら変わらないほどの濃い1日1...
アメリカの南北戦争の時代。南部のタラやアトランタが主な舞台。 世界史で南北戦争の経緯や結果を知っていながら、スカーレットを取り巻く人生の細かな描写を読み進めていく。 歴史で取り扱う南北戦争は2行にも満たないかもしれないけれど、この作品には、今の自分と何ら変わらないほどの濃い1日1日が豊かな表現で綴られている。 とにかくスカーレットの自己肯定感の強さには多少羨ましい気持ちもあるけれど笑、メラニーの芯からの優しさや柔らかさがもっと評価されてもいいのにと思わずにはいられなかった。 5巻まであり、長旅を始める前の覚悟と同じような腹括りがなかなか出来ず、やっと読み始めたものの意外に読みやすく、面白くて少しでも時間があったらこの本を捲る日々。 本の端々から、当時の常識や美徳や文化が汲み取れる所も興味深い。 「このすべては、小柄で、実際的で、粗野なジェラルド・オハラがつくりあげたものなのだ!」 「南部の大地主の家に働く黒奴たちは、貧乏白人(プアホワイト)に対して優越感を持っていたため、その露骨な侮辱がプアホワイトの自尊心を傷つけ嫉妬心をかきたてた」 「英国によるアイルランド人迫害によって土地を奪われ、小作人にされた彼らは土地に対して深い渇望を持っていた。初めてタラに足を踏み入れた瞬間から、自分がこの地方の社会に属する人間であることを少しも疑いはしなかった」 「男たちが満足し、誰からも逆らわれず虚栄心を傷つけることもない土地は、女たちにとってもまた住み心地の良い土地であった」
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とにかく面白い。映画でも有名なバザーのシーン、スカーレットのプライドの高さと勘違いがやはり可愛い。バトラーとメラニーのさり気ないやりとりに注目。
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んー、おもしろい! 恋愛なしでは生きていけないスカーレットが私とは正反対過ぎて、彼女の生き様にとっても興味がわく! 言葉や描写が綺麗だし、歴史の勉強にもなりそう。
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さすが名著。場景と心理描写が丁寧で想像力がかきたてられる。スカーレットの気の強さと行動力にも感心した。 この時代の女性は制約が多く主体性はほとんどなかった。けれどスカーレットは世間になにを言われてもかまわないとし、途中から大胆な行動に出るようになった。勇気がないとできない、やっぱ...
さすが名著。場景と心理描写が丁寧で想像力がかきたてられる。スカーレットの気の強さと行動力にも感心した。 この時代の女性は制約が多く主体性はほとんどなかった。けれどスカーレットは世間になにを言われてもかまわないとし、途中から大胆な行動に出るようになった。勇気がないとできない、やっぱりスカーレットはすごい! スカーレットはまさに強かな女性。自分の強みと男性が求めるものをよく理解して意図的に媚びる。狙った男性は必ず自分のものにする強い野心をもち、実際成功している。他の女性といい感じになってる男性でもお構いなし。こういう女性は異性にすごくモテるが大抵同性に嫌われやすい。けどスカーレットはほとんどの同性を敵とみなしているから関係ない。このサバサバ感が好き。スカーレットとは友達にはなれないと思うけど、書籍で客観的に見るぶんにはかなり面白い。彼女にはどんどん暴れてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
言わずと知れたハリウッド名作映画の原作だが、映画と原作は全く別物だそうです。まぁ映画観てないんで関係ないですが。 アメリカの南北戦争を目前に控えた南部。アイルランドからの移民を父に持ち、大農園の長女であり、周囲の目を惹きつける魅力をもったスカーレット・オハラ。 南部の娘は毎週の様に開かれるパーティーで男性を見つけ結婚するのが昔ながらの幸せとされる。スカーレットはその容姿でいつも男性たちを虜にしていたが、自分が密かに心を寄せるアシュリには想いが届かず、アシュリはメラニーと婚約を発表する。 なんでも自分の思い通りにしてきたスカーレットは傷心の中、全く好意も興味も抱いていないメラニーの兄チャールズと結婚を決意する。しかし、そんな彼女の前に現れたのは南部の伝統やしきたりを軽視する傍若無人の男、レット・バトラーだった。彼女はレット・バトラーの自由さに驚きながらも、人に見せたくない自分の真の姿を見られてしまい腹を立てる。 チャールズは南北戦争の南軍の兵士として出兵したが麻疹にかかって亡くなり、スカーレットはほんの数ヶ月間に未亡人となってしまう。 南部の未亡人は喪に服し、男性と口を聞くことなど許されない。スカーレットも銃後の守りとして傷病兵の介護をする事を手伝っていたが、パーティーやダンスにも行く事もできない鬱憤が溜まっていた。 しかし、そこに再び現れたのはレット・バトラーだった。彼はスカーレットに、初めて会った時の自由さがなく、南部のしきたりに反抗しない彼女はつまらないと言ってのけ、再び彼女を怒らせる。 レット・バトラーは挑発するようにパーティーでダンスの相手に未亡人となったスカーレットを選ぶ。スカーレットもその挑発に応え、周りの驚きと好奇の目に晒されながらレットの手をとり、ダンスを踊って見せるのだった。 5巻まであるそうですが、その第1巻はまさに導入。自己中心的で世間知らず、南部の世界だけが全てであり、正しいと信じていて、いくら大人ぶっていても少女でしかないスカーレット・オハラと、外から来たよそ者ではあるが、外の世界を知り、南部の閉塞感を嫌うレット・バトラーの人物と、南部の大農園の暮らしを丁寧描いている。 面白いです。
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最初はいけすかない気の強い女性とびっくりしたが、次第にそれか彼女の強さと思わされてしまう不思議な魅力がある。情景描写や時代背景の細かさは圧倒的で、映画やミュージカルも見てみたくなった。
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いや、これ面白すぎる。本当にあまりに面白すぎて言葉を失う。時間の洗礼を受けてなお生き残っている古典はもう、間違いないのだとの思いを新たにしました。これからは粛々と古典小説を読む人間になります。ダウントン・アビーとか、日本のある種の少女漫画とか、ほとんどこれを読んでいれば観る必要な...
いや、これ面白すぎる。本当にあまりに面白すぎて言葉を失う。時間の洗礼を受けてなお生き残っている古典はもう、間違いないのだとの思いを新たにしました。これからは粛々と古典小説を読む人間になります。ダウントン・アビーとか、日本のある種の少女漫画とか、ほとんどこれを読んでいれば観る必要ないのでは? あと、外見の描写にやたら文章が割かれているのとかも、とてもロマンス小説の源流っぽくていいですね。レッド・バトラーの描写なんか、もう、こういう男なんだ!ということが立ち現れてくるよう。源氏物語みたい。 鴻巣友希子さんの翻訳が、これまたいい。スカーレットがまだぴちぴちの十六歳という感じで、生き生きとしている様子が目に浮かぶ。自分勝手さや小賢しさも本当に可愛らしいな〜という見事なキャラ造型。この小説、語り手の声(地の文)、スカーレットの声、そして稀にマーガレット・ミッチェル本人?の声が重層的に移り変わるが、そのあたりの自然さが気持ちよく、波に乗って読めました。このスカーレットの声が急に現れる感じとかも、少女漫画のモノローグっぽくてとてもいい。 まだ全5巻の1巻。続きをゆっくりと読みます。
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映画を観てから、読むと、バックボーンが頭に入りやすい。映画は、主要4人の関係、心のやり取りの話に焦点をしっかりと当てて纏め上げている。 原著は、ジェラルド・オハラやエレンを始めとした周囲の人達の背景も丹念に描いていて、より映画にも深みをあたえる。 あと、昭和に発行された文学の...
映画を観てから、読むと、バックボーンが頭に入りやすい。映画は、主要4人の関係、心のやり取りの話に焦点をしっかりと当てて纏め上げている。 原著は、ジェラルド・オハラやエレンを始めとした周囲の人達の背景も丹念に描いていて、より映画にも深みをあたえる。 あと、昭和に発行された文学の中でも抜群に読みやすい!訳者の力が素晴らしいのか、地の文が平易なのか、どちらの力にもよるものなのか。 1巻は、やっぱりあのシーンが映えますね。 金貨で150ドル! 格好良すぎる
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『嵐が丘』の名訳を送り出し、話題になった鴻巣友季子さんの手になる『風と共に去りぬ』。林真理子さんの『私はスカーレット』と読み比べたくてKindleで読了。 まず、地の文が美しいこと、読みやすく情景が頭に描きやすいことが第一の印象として立ち上がってきた。きちんとした翻訳の骨格を持...
『嵐が丘』の名訳を送り出し、話題になった鴻巣友季子さんの手になる『風と共に去りぬ』。林真理子さんの『私はスカーレット』と読み比べたくてKindleで読了。 まず、地の文が美しいこと、読みやすく情景が頭に描きやすいことが第一の印象として立ち上がってきた。きちんとした翻訳の骨格を持っているので、軽くなりすぎていないが、わかりやすい。登場人物の口吻も、昨今の演劇やミュージカルのセリフなどもきっとご存知のうえで、とても「らしい」話させ方をなさっている。タールトン家の兄弟とか、召使いたちなどまで、それはもう、いきいきと。 林訳だと、人物、特にスカーレットの心情にぐっとフォーカスを寄せて、ライトノベルともまた違うが、疾走感のある感じ。こちらの鴻巣訳だと、映画や舞台のように、全体の広がりや奥行きを感じさせるが、話し言葉が今風のリズム。林訳では砕けすぎるという方には、やはりこちらが良いだろう。 時代背景や南北戦争の注釈、スラング的な言葉の使い方なども、親切でわかりやすい扱われ方で、風と共に去りぬの読みどころの一つである、服装・習俗・食事や文化なども、知らなくてもついていけるように、手を止めないでも想像できるようにしてあるのが、なんとも心憎い。長らく読まれてきた大久保訳のいいところも、たくさん受け継いでいる。 でも―。 どうして手厳しいレビューを見かけるのかな?面白いのに…。と考えていたのだが、スエレンを「スーちゃん」とは、スカーレットは呼ばないのではないか。だってあの二人、仲悪いのに…。ちゃんづけなんて、彼女の性格なら誰にもしないだろう。スエレンのフルネームやメラニーの愛称など、紹介してあるのはすごくいいけれど、スエレンはスエレンでいいし、メラニーはメラニーで良いと思うのだ。 その方が聞き慣れている人名の部分などは、混乱しないようそのままでも良い気がする。面白さに没入して読んでいると、はっとそこで空気が変わるので、読んでいるリズムや空気感が、現実に戻ってしまう。たぶんそこが惜しくて、厳しいことをおっしゃる方がいるのだろう。ただこれは、作品鑑賞としては些末なことで、この小説を楽しむには、そんなに大事な問題ではない。 華やかで、ある意味豪快で、優雅だけれど土の匂いのする、波乱万丈のロマンを、息切れしたり飽きたりしないで一気に読み切る事のほうが絶対大事。第一巻の豪奢で古き良き南部の、まだ夢の中のような様が、次でどう変わるのか。レットが、スカーレットが…南部の人々がどう生きるのか。戦乱のタラはどう描かれるのか…。きっとソッチのほうが大事。 そして、もしお気が向かれたら、大久保訳もぜひ、お手にとって頂きたい。そして、ご自分の、ベストな『風と共に去りぬ』を見つけて頂きたい。さぁ、続きも読むんだもん!
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