こころと人生 の商品レビュー
大阪の四天王寺主催の夏期大学講座。 子供、青年、中年、老年、と4つの章があり、どれもおもしろく教訓が学べる。章の最後に仏さまの話でまとめて終わるので檀家さん相手に喋っている感じがある。なので、読み終わると、それ相応の功徳がもらえます(笑)。 アメリカの青年の問題点として、「包み...
大阪の四天王寺主催の夏期大学講座。 子供、青年、中年、老年、と4つの章があり、どれもおもしろく教訓が学べる。章の最後に仏さまの話でまとめて終わるので檀家さん相手に喋っている感じがある。なので、読み終わると、それ相応の功徳がもらえます(笑)。 アメリカの青年の問題点として、「包み込む力」というのがすごく弱い。この問題は、これからアメリカではかなり大きい問題になるだろうと河合さんは言っている。 p94「子どもというのはある程度包まれていて、自分が抱きかかえられていると思うから、そこからだんだん出ていって強くなれるわけです。ところが、日本の場合は、大学生になっても中学生みたいな顔をしているというのは、ある意味では包まれ方が強すぎるんですね。勉強さえしていたらあとは何でもよろしい、ほかのことは全部親がしてくれるわけですから、包み込まれすぎてなかなかおとなになれない。ところが逆にアメリカのほうでは、あんまりにも早く包み込みがなくなってしまって、自分の力で生きるより仕方がない。こんなふうに突き放されると、これはもう無茶苦茶をやるしかなくなるわけですね。こうしたことが青年期の一つの特徴だと思うんです。子どもがおとなになるというのは本当に大変なことです。」 河合さんは、日本でも、そういうことが起こるかもしれないとこの1994年のこの講演のときに言っている。 その後、1995年に地下鉄サリン事件、1997年に神戸の酒鬼薔薇事件が起こり、凶悪事件の内容が欧米化してきたように思う。
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なんていうか、子どもにしても中年にしても、その表面的な行動や言動なんかのベースにある、見えないところを考えていくことで、すごく人間理解が進むんですよね。河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、それまでよく認識されてこなかった、人間の行動の背景や原理、仕組みなん...
なんていうか、子どもにしても中年にしても、その表面的な行動や言動なんかのベースにある、見えないところを考えていくことで、すごく人間理解が進むんですよね。河合隼雄さんは膨大なカウンセリングをしてこられた方ですから、それまでよく認識されてこなかった、人間の行動の背景や原理、仕組みなんていうものを、こういう比喩は適当か微妙ですが、ジャングルの奥地の遺跡を発見するみたいな感じで、見つけてきたような百戦錬磨の心領域冒険家みたいな印象を持ちます。そうだそうだ!とか、うわすごい!とか、再確認したり再発見したり、解けなかったところを上手に紐解いて見せられたり、そういう経験ばかりの読書になりました。とっても良書。
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こども、青年期、中年期、老年のライフステージに分けて、人の心理を語る。老年の死への準備。著書のゆったりとした語り口が幸いして、読んでいると、恐れることなく、死についてを正面から捉えることができる。中年期、どう危機をやり過ごすか。創造の病と表現して、危機を創造に変える発想。漱石の伊...
こども、青年期、中年期、老年のライフステージに分けて、人の心理を語る。老年の死への準備。著書のゆったりとした語り口が幸いして、読んでいると、恐れることなく、死についてを正面から捉えることができる。中年期、どう危機をやり過ごすか。創造の病と表現して、危機を創造に変える発想。漱石の伊豆の大患以降の例も挙げられている。著者の話には共感するところが多い。
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