天久鷹央の推理カルテ(Ⅱ) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大変面白かった『天久鷹央の推理カルテ』の続編が到着した。今回は迷わずレジに直行した。あんな大事件からわずか1週間後である。何やら不穏なプロローグが、今回も鷹央の苦悩を予感させるが…。とりあえず読み始める。 Karte.01「甘い毒」。今回は最初から真面目に医学小説だ(失礼)。トラックの運転手が運転中にコーラを飲んで事故を起こす。清涼飲料水への農薬混入事件が発生しており、当初関連が疑われたが…。真相は何となく予想した通りだったが、ある意味幸運だった。ここで発覚していなければ、遅かれ早かれ倒れていたはずだから。 Karte.02「吸血鬼症候群」。ある病院で、輸血用パックが盗まれる事件が頻発していた。空のパックが残されており、誰かが飲んだとしか…。まんまと鷹央に騙されかけたよ。真相はかなり専門的で、医学の素人である僕に理解できたとはいいがたいが、背景にあるのは医療とは名ばかりの病院の体質である。苦境に陥ったところで、自業自得だろう。 Karte.03「天使の舞い降りる夜」。タイトルのまんまです。天医会総合病院のある病室には、天使が現れるとまことしやかに噂されていた。一方、小児科に入院中の3人の中学生が、いずれも退院間際に容体が急変。原因不明で、病院の信頼性が疑われる事態に、院長は鷹央を頼ってくる。ところがなぜか、鷹央は小児科病棟に行きたがらない。 詳しくは書けないが、鷹央の駆け出し時代が絡んでくる。コミュニケーションに問題がある鷹央は、当然ながら研修医として苦戦していた。すっかりまいっていた鷹央を救ったのは…。うーむ、意外な真相ではあったけれど、違う方法はなかったのかい。それにしても、天医会総合病院の管理体制はかなりまずいだろう。あの病院を笑えないぞ…。 そしてクライマックス。ようやくプロローグと繋がった。鷹央が極めて人間臭い一方で、医師としては未熟な面がクローズアップされる。診断専門医として居場所を確保しているからこそ、逃げてはならない。壁を乗り越えた鷹央に拍手を。
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シリーズ第二弾。前作に引き続き、楽しく読みました。『天使の舞い降りる夜』は特に印象的です。難しいテーマでしたが、うまく纏まっていると思いました。
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http://kawataka-giken.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/isbn4101800278.html
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