狭小邸宅 の商品レビュー
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不動産屋さんに入社したけれど、あまり営業成績のよくない若い社員の話。 読み手としては「もう転職したら?」と言いたくなってくる。なんでそこまでしがみついてるんだよ。いい加減にしなよ、ってところでストーリーが動き始める。(とはいえ、このケースは実力ではなく、運だ) 不動産屋の営業マンとして順調に進み始めたかと思えば、あるところで突然話は終わる。うーん なんかもどかしい。そこがいいのか。 女が出てくるあたり、『ブラックジャックによろしく』の斉藤先生を見ているようでもあった。 内容的にはちょっと期待外れかなぁ...
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社畜生活を思い出し、もう戻りたくないと胃をキリキリさせ、師を見つけた主人公を羨み、やり甲斐を見つけて抜け出せなくなっていく姿には未だ体調が戻らない自分を重ねて暗澹たる思いに沈み…そのまま悶々と読了。 働くことは生きることで、生きることはよく死ぬことだから、働くことは良い死につなげ...
社畜生活を思い出し、もう戻りたくないと胃をキリキリさせ、師を見つけた主人公を羨み、やり甲斐を見つけて抜け出せなくなっていく姿には未だ体調が戻らない自分を重ねて暗澹たる思いに沈み…そのまま悶々と読了。 働くことは生きることで、生きることはよく死ぬことだから、働くことは良い死につなげることでありたい。ハッピーやキラキラの必要はなく、痛くて辛くて吐き気と戦う毎日でも、よく死ねるなら人間らしい人生だったといえるんじゃないかな。 憂鬱だけど。 彼は確かに数年前の私であるけど、今の私は彼の未来とはいえない。私もまだ違う未来にすすめると思おう。
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「お前は自分を特別な存在だと思っているが、お前は特別でも何でもないし、何者にもならない」 資本主義社会において市場が労働者に開放されてからというもの、資本をもたない労働者は自らの労働力という資本を使って市場というフィールドに参加することができるようになった。 仕事がこれほど...
「お前は自分を特別な存在だと思っているが、お前は特別でも何でもないし、何者にもならない」 資本主義社会において市場が労働者に開放されてからというもの、資本をもたない労働者は自らの労働力という資本を使って市場というフィールドに参加することができるようになった。 仕事がこれほどまでに人生を多くを占めるようになった理由はとてもシンプルで、資本を持たないものは労働でしか社会の階層を登ることができないからであり、裏を返せば「労働すれば階層を登ることができる恵まれた社会」という物語が成り立っているということである。働かなければ(売らなければ)何者にもなれないというリアリティが不動産営業にはり、そんな大変なことで有名な営業職の本丸といっていい不動産営業の話。 ここに書かれている日常は嘘じゃないと思うから心が沈む。受話器と手をガムテープでグルグル巻にするってのも聞いたことあるし、営業の仕事は客の背中を押すことって不動産営業マンが言ってたし。 そんな不動産営業の日常を書きながら、何者でもない売れない営業マンが自分のがんばりと上司のサポートで売れるようになり仕事を通じて自己を獲得していく。なんてビルグンドゥスロマンな物語と思いきや、家を売りギラついた目をするようになった主人公が手にしたのは果たして自分が手にしたかったものなのかという、非常に考えさせられるラスト。というか、そんなことは売ってからしかわからないわけで、家を売った後、何者でもなかった主人公は一体何者になったのかと。
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タイトルと、冒頭で家探しの女性が迷走しているところから始まるので、家選びのあれこれ、というお話かと思ったら、不動産屋の営業として働く若者の、仕事に対するあれこれ。ブラック中のブラック企業じゃないか、というパワハラ満載、労基法違反満載のチェーン不動産屋で、ぼろぼろになりながら、でも...
タイトルと、冒頭で家探しの女性が迷走しているところから始まるので、家選びのあれこれ、というお話かと思ったら、不動産屋の営業として働く若者の、仕事に対するあれこれ。ブラック中のブラック企業じゃないか、というパワハラ満載、労基法違反満載のチェーン不動産屋で、ぼろぼろになりながら、でも仕事って、ということに目覚める主人公。でも仕事が楽しくなるにつれむなしくもなり。結末を読者にゆだねる終わり方は私はあまり好きではない。結論とかしっかり描かなくてもいいけど、せめて誰もが同じ方向を向ける程度の指針はあってもよいだろうと思うけど。だから? え、それで?というような終わり方って。
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不動産会社に勤める男性が主人公。不動産、ブラックすぎる。休みは水曜のみ。けれど水曜も休日出勤。厳しいノルマ、怒鳴る、蹴るの上司。恐ろしいところだ。嫌な人はいっぱい出てくるけど魅力的な人は一人も出てこない。主人公の性格もよくわからず。ラストももやもやする。
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数字のプレッシャーに負われ、上司から罵倒される不動産仲介会社の厳しい職場環境を描いた小説。 作品自体面白くあっという間に読み終えてしまうが、最後の城繁幸氏のレビューがまた秀逸だった。 厳しい職場環境で苦労する人も多く、最初はなかなか結果が出なくても、必死になれば結果が出る時もくる、けれど人間関係で悩むことはつきまとう、それぐらいの感想しかもてなかったけど、城氏は人生における仕事とは何か、自分の価値についての苦悩、その中でも目標を持って前向きに人生に取り組む人について意見を述べている。
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初読みの作家さん。不動産業界の話というところに興味がわいて読んでみた。私は、仕事に対する考え方や取り組み方は、人それぞれだと思っているし、会社内で調和がとれてさえいれば、それでいいのではないかと思っている。読みやすい文章だったし、伝えたいこともわかったのだけど、もう少し掘り下げて...
初読みの作家さん。不動産業界の話というところに興味がわいて読んでみた。私は、仕事に対する考え方や取り組み方は、人それぞれだと思っているし、会社内で調和がとれてさえいれば、それでいいのではないかと思っている。読みやすい文章だったし、伝えたいこともわかったのだけど、もう少し掘り下げて欲しいと思ったところやボリューム的にも書ききれていないところがあって若干中途半端、モヤモヤが残る作品だった。
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仕事柄、「不動産営業」を目指す求職者と、会社の両方に会う事があるので、読んでみた。 相場や案内方法、メンタリティーなど、非常にリアルに描写されており、読んでいて衝撃を受けた。もちろんフィクションなところはあるだろうが、このシビアな環境でやっていける人達は本当に尊敬する。 主人公の...
仕事柄、「不動産営業」を目指す求職者と、会社の両方に会う事があるので、読んでみた。 相場や案内方法、メンタリティーなど、非常にリアルに描写されており、読んでいて衝撃を受けた。もちろんフィクションなところはあるだろうが、このシビアな環境でやっていける人達は本当に尊敬する。 主人公の松尾は、有名大学卒業だが、就活に失敗してなんとなくこの業界にいて、そして売れない。話の中に出てくる「お前は自分を特別視している」というのはまさにこれだと思っていて、彼はエリートだからこそ、その業界が彼の昔の友人たちからどう思われているか知っている。そして、自分もどこかそれに納得していないのだ。 だから、何かあると、売れない。こだわりきれない。何度かブレイクスルーはあっても、最後まで、そんな状態だった。 どんな仕事も、最後は必死になって、コミットして、走りきれるかどうか。
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第三者の目、読み物して読めるが胃がキリキリくる。 最後の解説も必読。これもまたキリキリする。 本は読みやすく、3時間もあれば読める。
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不動産の営業の裏側を面白おかしく暴くことが趣旨かと思ったが、読んでみてどうもそうではないと感じた。業種を問わず、営業の仕事に関わる人なら、読んで損はないと思う。仕事の意味を考えさせられた。特に、売れない営業マンの主人公に対して、売れない理由を淡々と説明する豊川課長の言葉に思わず唸...
不動産の営業の裏側を面白おかしく暴くことが趣旨かと思ったが、読んでみてどうもそうではないと感じた。業種を問わず、営業の仕事に関わる人なら、読んで損はないと思う。仕事の意味を考えさせられた。特に、売れない営業マンの主人公に対して、売れない理由を淡々と説明する豊川課長の言葉に思わず唸った。 結末があっけないのが物足りない気がするものの、それは敢えて読者に考えさせる意図があるように思う。
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