世界史の極意 の商品レビュー
世界史の概説本ではなく、現代の情勢を眺めるために過去の歴史を学ぶ必要性を訴えた本。筆者の主張は世界の歴史をアナロジカル(類似的)に見ることが重要ということ。それによればグローバル主義の行きついた現在は、アメリカの覇権が揺らぎ新たに台頭した国々が力をむき出しにする新帝国主義時代と言...
世界史の概説本ではなく、現代の情勢を眺めるために過去の歴史を学ぶ必要性を訴えた本。筆者の主張は世界の歴史をアナロジカル(類似的)に見ることが重要ということ。それによればグローバル主義の行きついた現在は、アメリカの覇権が揺らぎ新たに台頭した国々が力をむき出しにする新帝国主義時代と言え、第一次世界大戦前夜と似たような空気感と評せるとのこと。確かにこの考察は面白いと思った。また、近代ナショナリズムは自然発生的なものではなく、上からの作用もありつつ、集団に共通する過去の物語が見いだされることで形成されるという論説の紹介や、原罪を持つキリスト教と違い、イスラム教は神を信じたとたんにすべてが正当化されるというのも興味深かった。 個々の現状評価には個人的には多少疑問を持つところもあるし、困難を回避するためにプレモダン(形而上学的価値と言っても良いか)を強調するところもどうかなと思わなくもないが、現状とこれからを考えていくのに刺激になる一冊だと思う。
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覇権国家であるアメリカの凋落により、時代は新自由主義から新帝国主義へ突入していること等の分析がなされていて面白い。 歴史理解を深めることによって、現代のタフな世界情勢を乗り切る判断力、知性を身につけていこうということを述べる。 さらに理解を深めるため、この本で紹介されている本を...
覇権国家であるアメリカの凋落により、時代は新自由主義から新帝国主義へ突入していること等の分析がなされていて面白い。 歴史理解を深めることによって、現代のタフな世界情勢を乗り切る判断力、知性を身につけていこうということを述べる。 さらに理解を深めるため、この本で紹介されている本を数冊読み込んで行こうと思う。歴史とは何か、小説琉球処分等。
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歴史にはヒストリエ(年代記)とゲシヒト(民族の物語)がある。日本の教科書には後者がなく有事に対応できず外交で競り負ける主因である。《知の3巨人》、ベネディクト・アンダーソンは公定ナショナリズムにより国家は形成され(ただし君主自身も批判にさらされるリスクを負う)。アーネスト・ゲルナ...
歴史にはヒストリエ(年代記)とゲシヒト(民族の物語)がある。日本の教科書には後者がなく有事に対応できず外交で競り負ける主因である。《知の3巨人》、ベネディクト・アンダーソンは公定ナショナリズムにより国家は形成され(ただし君主自身も批判にさらされるリスクを負う)。アーネスト・ゲルナーは「ナショナリズムの運動があって、ナ‥の思想が生じる」と説いた(弾圧があってこそ独自国家希求)それはデラシネの民の発生した産業社会以降‥。アントニーDスミスは民族とは想像された共同体で「エトニ」過去にさかのぼって見出されるとする
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歴史をアナロジカルに捉える、ということにどれだけ近づけたかはまだまだとおもうが、おもしろかった。 一方的な見方や一つの側面でしか、報道などでは語られていないので気をつけたい
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「資本主義と帝国主義」「ナショナリズム」「キリスト教とイスラム」の3つのテーマとあるように多岐にわたっていて、理解できる個所とできない箇所が混在していた。昔一度読んだときは、理解が薄かった部分が、今回再読することで、より深まった感じがした。改めて、資本主義、ナショナリズム、宗教に...
「資本主義と帝国主義」「ナショナリズム」「キリスト教とイスラム」の3つのテーマとあるように多岐にわたっていて、理解できる個所とできない箇所が混在していた。昔一度読んだときは、理解が薄かった部分が、今回再読することで、より深まった感じがした。改めて、資本主義、ナショナリズム、宗教については、引き続き研鑽し続けていきたいと思った。
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論理学や哲学による表現で理屈っぽくストレスを感じる箇所もあった。 ウクライナとロシアの戦争への過程はイメージしづらく、義憤に駆られ、善悪で捉えて、思考終了としまいがちな問題である。しかし「イギリスとスコットランド」「日本と沖縄」とアナロジー(類推)で説明するところは外交官出身の...
論理学や哲学による表現で理屈っぽくストレスを感じる箇所もあった。 ウクライナとロシアの戦争への過程はイメージしづらく、義憤に駆られ、善悪で捉えて、思考終了としまいがちな問題である。しかし「イギリスとスコットランド」「日本と沖縄」とアナロジー(類推)で説明するところは外交官出身の著者ならではだと思う。 「外交」だけでなく「宗教」も強みで彼のライフワークであるキリスト教を軸とした宗教への研究に基づく、著者推奨の参考図書もありがたい。
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歴史は繰り返すというより、螺旋状なのだろう。 同一ではなく類似なので、全体を俯瞰できていなければ気づくことができない。 土地、民族、宗教が複雑に絡み合う世界情勢は、一元的な見方では到底理解できない。 異なる立場から描かれた歴史を学び、他人の体験を追体験し、世界の認識を深める必...
歴史は繰り返すというより、螺旋状なのだろう。 同一ではなく類似なので、全体を俯瞰できていなければ気づくことができない。 土地、民族、宗教が複雑に絡み合う世界情勢は、一元的な見方では到底理解できない。 異なる立場から描かれた歴史を学び、他人の体験を追体験し、世界の認識を深める必要があると感じた。
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歴史は悲劇を繰り返すのか─世界史をアナロジカルに読み解く 多極化する世界を読み解く極意: 帝国主義はいかにして生まれるのか 資本主義の本質 イギリスの歴史教科書に帝国主義を学ぶ 民族問題を読み解く極意: いかにして生じたのか ナショナリズム論の三銃士─アンダーソン、ゲルナー、スミ...
歴史は悲劇を繰り返すのか─世界史をアナロジカルに読み解く 多極化する世界を読み解く極意: 帝国主義はいかにして生まれるのか 資本主義の本質 イギリスの歴史教科書に帝国主義を学ぶ 民族問題を読み解く極意: いかにして生じたのか ナショナリズム論の三銃士─アンダーソン、ゲルナー、スミス ハプスブルク帝国と中央アジアの民族問題 ウクライナ危機からスコットランド独立問題まで 宗教紛争を読み解く極意: イスラム国とバチカン市国─世界戦略 キリスト教史のポイント イスラム史から読み解く中東情勢 戦争を阻止できるか
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元外務省でロシアを担当していたので反米的な主張はまぁ仕方ないのかなと思いますが、中国をスルーしているあたりに著者の思想的なものが入りすぎてる印象を受けました。その点がちょっと残念な本だなという感想です。
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・ウクライナ危機とアイルランド人の問題はどのようなアナロジーを構成できるのか。アイルランドとウクライナも同質性が高い地域で殺し合いが起きた。ナショナリズムは同質性が高いほど、その差異をめぐって暴発しやすいのです。 ・UKの国名の中に民族を示唆する言葉はどこにもない。グレートブリテ...
・ウクライナ危機とアイルランド人の問題はどのようなアナロジーを構成できるのか。アイルランドとウクライナも同質性が高い地域で殺し合いが起きた。ナショナリズムは同質性が高いほど、その差異をめぐって暴発しやすいのです。 ・UKの国名の中に民族を示唆する言葉はどこにもない。グレートブリテン人や北アイルランド人という民族は存在しない。この国は王の名のもと、民族を超える原理で統合されてきた。アイルランド問題もスコットランド問題もこのイギリス的統合が機能不全になっていることを示唆している。 ・ベネディクト16世の生前退位。イスラムに対しての戦略。キリスト教が巻き返すには、自分より若くて健康な教皇が必要。そのための生前退位。
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