イスラム国 テロリストが国家をつくる時 の商品レビュー
キリスト教的な善悪を基準とせずに中東情勢が描かれているがイスラエルに対して甘め。以下面白かったところ。 ・PLOをテロ組織と並べて、アラファト議長もバグダディとかザルカウィと一緒に呼び捨てするのは新鮮。 ・シーア派がバグダッドに異教徒を連れてきたという共通点で、モンゴルによる...
キリスト教的な善悪を基準とせずに中東情勢が描かれているがイスラエルに対して甘め。以下面白かったところ。 ・PLOをテロ組織と並べて、アラファト議長もバグダディとかザルカウィと一緒に呼び捨てするのは新鮮。 ・シーア派がバグダッドに異教徒を連れてきたという共通点で、モンゴルによる征服とイラク戦争をリンクさせる視点。
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今でこそイスラム国は壊滅したとされているが, 彼らを生み出した土壌, そしてどのようにして各国の脅威となったのかに目を向けなければ第2第3のイスラム国を生み出すことになる。 そういった意味ではこの本の有益性は今日でも失われていないと思う。
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イデオロギーの根底にあるものが何かを理解せず、己の価値観で地政学的要素に手を加えようとすると必ずカウンターを受ける。しかも巧妙に間隙をぬって。その動きの縮図こそがイスラム国の台頭だったと理解した。
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「イスラム国は、ユダヤ人にとってのイスラエルだ」 って指摘にたまげた それだ、まさに僕が思ってた感じは正しかった、と、思ったら巻末で池上彰も同じとこにたまげてた しかし、この指摘は凄い いっそ、一旦、イスラム国を国だと認めるところから始めないといけないんやないかな、と、思う...
「イスラム国は、ユダヤ人にとってのイスラエルだ」 って指摘にたまげた それだ、まさに僕が思ってた感じは正しかった、と、思ったら巻末で池上彰も同じとこにたまげてた しかし、この指摘は凄い いっそ、一旦、イスラム国を国だと認めるところから始めないといけないんやないかな、と、思う 世の始めから隠されたこと、それは、暴力、と、ジラールも言ってるように、あらゆる国家の始まりは暴力でしょう アメリカとヨーロッパの覇権が有効切れ 世界を魅了し、世界中から人を集めるプロパガンダは、本当はアメリカが得意だったのでは?とか思う もはやアメリカが魅力的でなくなり、ヨーロッパも何の役にも立たなくなって、中国やロシアの台頭はダセェ帝国主義だとして、ローマ法皇が第三次世界大戦は今まさに起こってると言う世の中で、日本はどうして参戦する? バカとバカの喧嘩に加わらないなんてバカだ、と、バカに言われたところで、日本人は楽茶碗でも掌で転がしながら善哉善哉って言ってるくらいで良い どうして参加させられる必要がある? はっきり言うべきだ 俺らは関係ない、って 過干渉が今日の摩擦なんなら、堂々と、意図的に無関心のがカッコいい 知らない、ではなく、よーくよーく考えてみるべきでそしたらわかるはず、この本に書いてあるようなことは、俺らは歴史的に関係がない 出る幕なし
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【由来】 ・ダイヤモンド 2/14 【期待したもの】 ・イスラム国ということで、シリアについての視点が得られるかと。 【要約】 ・ 【ノート】 ・イスラム国は、たまたまうまい具合に勝ち上がってきたテロリストが、ちょっとおだって(北海道弁)でかしたものだ、ぐらいに思ってた。本...
【由来】 ・ダイヤモンド 2/14 【期待したもの】 ・イスラム国ということで、シリアについての視点が得られるかと。 【要約】 ・ 【ノート】 ・イスラム国は、たまたまうまい具合に勝ち上がってきたテロリストが、ちょっとおだって(北海道弁)でかしたものだ、ぐらいに思ってた。本書を読むと、これまでの数々のジハードの失敗を教訓とし、新たなパラダイムを打ち立てるために、かなり考えた上で周到にことを進めていることが分かる。「イスラム国の第一義的な目的は、スンニ派のムスリムにとって、ユダヤ人にとってのイスラエルとなることである。」(P29) ・イスラム国の動きは、近代国家の再定義を迫るものである。「従来のジハード集団から神話とレトリックを受け継ぐ一方で、国家建設という野望の実現に必要な現実主義と近代性を身につけている。」(P152)つまり、ちょっと調子にのったテロリスト集団、という領域をはるかに超えているのだ。 ・なお、「池上彰、渾身の解説!」というのは典型的なアオリ。本書の内容を上手にコンパクトにまとめたという程度のもの。ただし、それがなくても本書で提示されるイスラム国についての知見は十分に価値があると思う。 【目次】
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イスラム国のやり方は絶対に許されないものなんだけれど、目的が「サイクス=ピコ協定の終焉」となると、なんとかならないものだろうかと考えちゃうな。「中東に通じていないだけに、その記述には地雷原を歩いているような危うさを覚える」と指摘している書評もあったし、欧米側からの偏った見方のよう...
イスラム国のやり方は絶対に許されないものなんだけれど、目的が「サイクス=ピコ協定の終焉」となると、なんとかならないものだろうかと考えちゃうな。「中東に通じていないだけに、その記述には地雷原を歩いているような危うさを覚える」と指摘している書評もあったし、欧米側からの偏った見方のような気もするので、他の本もあわせて読んだ方がいいのかも。
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インフラを整備し、医療を提供し、治安を維持し、豊富な資金を持ち、兵士 には安いけれど賃金も出る。もしかしたら、内部的には北朝鮮よりも安定 しているのもしれない…なんて思ってしまう。 ただ、これが「国家」でも「地域」でもないことと、人質を殺害し、異なる文化 の貴重な文化財...
インフラを整備し、医療を提供し、治安を維持し、豊富な資金を持ち、兵士 には安いけれど賃金も出る。もしかしたら、内部的には北朝鮮よりも安定 しているのもしれない…なんて思ってしまう。 ただ、これが「国家」でも「地域」でもないことと、人質を殺害し、異なる文化 の貴重な文化財を破壊しまくっているのが大問題だ。 「イスラム国」である。既に国際社会ではISISやISILと呼称されるように なったが、ここでは本書の表記に準ずる。 イスラム過激派やテロ組織と表現される「イスラム国」は何故生まれ、今で も支配地域を拡大しているのか。欧米メディアの言い分を垂れ流す日本の 報道だけからでは理解出来ない「イスラム国」誕生の背景と、彼らが何を 目指しているのかを解説したのが本書だ。 日本人2人の人質が殺害された直後に購入していたのだが、積んだまま 忘れていた。もっと早く読んでおけばよかったと今更ながら後悔している。 さて、問題の「イスラム国」だが、結局は第一次世界大戦中に結ばれた 秘密協定であるサイクス・ピコ協定にまでその原因を遡るんだよな。 まぁ、「やっぱりそこか」って感じなんだけど。 アフリカにしろ、中東にしろ、地図を見ていると国境線が直線なのだもの。 ヨーロッパやアジアと比較してみると明らかにおかしいよね、直線って。 西欧列強が勝手に国境線を引いたからに他ならない。 だから、本来あるべきイスラム国家を父祖の地に建国しようとしているの が「イスラム国」である。ユダヤ人がイスラエルを建国したのと動機はなんら 変わらない。 歴史的な正当性の主張。そこへ現代的なテクノロジーを駆使したプロパ ガンダが加わる。それだけではない。自爆テロ1件にどれだけの費用が かかるかの詳細を記した決算報告書までを持っている集団なのだ。 そして、オスマン・トルコの解体と共に姿を消したカリフ。予言者ムハマンド の代理人であるカリフの復活こそ、本来のイスラム国家のありようである ことから自らカリフ即位を宣言したが誰あろう。「イスラム国」の指導者で あるアル・バグダディである。 視点を変えてみれば魅力的な組織に映るのだろうと思う。第一次世界大戦 までさかのぼることをしなくても、イラク戦争や「アラブの春」(失敗だけど) で欧米の価値観を押し付けられて来たのだから。 時々思うことがある。欧米型の民主主義があらゆる国で通用するものなの か…と。そうではない社会形態の方がうまく行く地域もあるんじゃないか。 「イスラム国」を肯定する訳じゃないが、結局は欧米は自分たちがこれまで やってきたこを「イスラム国」という脅威でツケを払わされているんじゃない んだろうか。まぁ、我が国・日本も欧米側にいるんだけどさ。 それにして、アメリカの情報機関って何をしてたんだろうな。盗聴やら何やら してたんだろう。しかもアル・バグダディはアメリカに対する抵抗組織の設立 に関与したとの疑いで収容所に拘束されていたのにね。 何故、「イスラム国」に共感し、世界中から人が集まるのか。本書は客観的 に非常に分かりやすくまとめてある。だって、「とりあえず中東にごめんなさい しろよ、イギリスとフランス」と思いそうになったもの。
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巻末の池上彰の解説にもあるように、イスラム国=過激テロ国家という思い込みを修正しなければならないと改めて認識させられた。 かつてはアメリカを代表とする資本主義とソ連東欧諸国の社会主義が対極をなしていたが社会主義が退潮してから久しい。新自由主義なる強者、ひと握りの成功者の論理が罷り...
巻末の池上彰の解説にもあるように、イスラム国=過激テロ国家という思い込みを修正しなければならないと改めて認識させられた。 かつてはアメリカを代表とする資本主義とソ連東欧諸国の社会主義が対極をなしていたが社会主義が退潮してから久しい。新自由主義なる強者、ひと握りの成功者の論理が罷り通る世の中でアンチ新自由主義として日本人の若者までがイスラム国に一筋の光明を求めたとしても無理からぬことなのかもしれない。そもそもイスラム国の産みの親となったのは皮肉なことに9.11テロの首謀者にでっち上げされたザルカウィという人物だったことも興味深い。欧米諸国は自身の侵略戦争を正当化するために捏造したストーリーが作り出したモンスターに復讐されているのだから。
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イスラム国が、暴力性残虐性を備えた集団であるということを十分に認識しつつも、その存在の、敢えて言うなら魅力に引きずり込まれれずには居られなくなる。筆者自身がそうなのだろう。 テロという行為が悪として論じられている地平は民主主義の枠内で物事を決しようとしている。フランス革命以来の、...
イスラム国が、暴力性残虐性を備えた集団であるということを十分に認識しつつも、その存在の、敢えて言うなら魅力に引きずり込まれれずには居られなくなる。筆者自身がそうなのだろう。 テロという行為が悪として論じられている地平は民主主義の枠内で物事を決しようとしている。フランス革命以来の、目的である自由主義に民主主義が仕える政治体制こそ最善であると考える枠組みの裡にしかない。 そこを突破する新たな思想の萌芽をイスラム国に見出せるところが、魅力を感じてしまう源なのだろう。 民主主義を超える新たな思想の可能性が提示された時、世界はどうなっていくのだろうか。それにどう対峙していくのどろうか。 イスラム国から目がはなせないと感じさせられる一冊となった。
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