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母親ウエスタン の商品レビュー

3.7

34件のお客様レビュー

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2019/08/16

どういう風に転がるか分からないスタートで、だんだん薄皮がめくれるように色々な事が明らかになっていき、柔らかな着地点に到達する、まさにエンタメ小説のお手本のような一冊。 個人的にはNHKでやっていたECDのドキュメントと被る部分も有ったり。 血の繋がりが有る一般的な家族であれ、そ...

どういう風に転がるか分からないスタートで、だんだん薄皮がめくれるように色々な事が明らかになっていき、柔らかな着地点に到達する、まさにエンタメ小説のお手本のような一冊。 個人的にはNHKでやっていたECDのドキュメントと被る部分も有ったり。 血の繋がりが有る一般的な家族であれ、そうではない家族であれ、最終的にはやはり皆1人1人の個人。だからこそ愛しいし、憎たらしい。 母親がいないという共通点はあるものの、住む場所も生活のレベルも違う、登場人物達の様々な家族像を作者は見事に描き出しています。 ドライとウェットが入り混じった家族という関係性の特別さにあらためて感じ入りました。 主人公の広美は果たして全員の事を本当に忘れてたのかな?実はそうじゃないんじゃないかな? 突然来て突然去っていく、しかし全員の心の中に暖かい繋がりを残していく、そんなミステリアスな広美の姿は言ってみればメリーポピンズですよね。 そんなメリーポピンズの姿のままでいてほしかった自分としては、出来れば最後の章で彼女の秘密のベールをはがしてほしくなかった。 それで星1つ削りました。 だけど読む人にとってはあの章が一番良いとも思います。なので、あくまでも個人的な評価として。 すんません。 だけどお話のレベルは文句無しの5つ星です。 いつか映画になるだろうな。

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2018/02/13

初めて読む作家さん。 母親を必要とする家庭に入り込み、一つの家庭に居座ることなく時期がくると去ってゆく、流れの母親『宏美』。 謎が多く、物哀しさ漂う物語だったが最後で少し救われた気持ちに。 やはり子供は無条件で愛されている期間が必要なのだと改めて実感する。 子供時代くらい、疑う...

初めて読む作家さん。 母親を必要とする家庭に入り込み、一つの家庭に居座ることなく時期がくると去ってゆく、流れの母親『宏美』。 謎が多く、物哀しさ漂う物語だったが最後で少し救われた気持ちに。 やはり子供は無条件で愛されている期間が必要なのだと改めて実感する。 子供時代くらい、疑うことなく心身ともに安心して生活して欲しいと心から思う。

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2016/10/30

「流しの母親」をやる女性の一代記みたいな作品。 著者の長編ははじめてだが、読み甲斐のある小説だと思う。 ストーリーもキャラクターも、奇抜なようで自然な、不思議な感触だった。展開も、ぼんやり掴めながらも収束が読めない。文章が滑らかさも加わって、なんとも引き込まれる仕上がりになってい...

「流しの母親」をやる女性の一代記みたいな作品。 著者の長編ははじめてだが、読み甲斐のある小説だと思う。 ストーリーもキャラクターも、奇抜なようで自然な、不思議な感触だった。展開も、ぼんやり掴めながらも収束が読めない。文章が滑らかさも加わって、なんとも引き込まれる仕上がりになっている。 文芸として、巧い作品だった。他作も、少しずつ読みたくなる。 4-

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2016/04/13

家族モノを読むと母に電話しようかなあとか思うんだけど、大抵の場合本を読み終わるのが夜なので、結局しないことが多い。 まあそのうち帰省しよう。

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2016/01/23

母親のいない家庭にいつのまにか入っていき、子供の世話をする広美。 子供たちは皆、広美に懐く。…が、いつの間にか姿を消してしまう。 彼女はなぜそんな暮らしを選んでいるのか? 不思議なだけでなく、ホロッとしてしまう部分がたくさんあった。 2016.1.23

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2015/09/28

家族から家族へ、母親不在の家族の下へ全国をさすらう謎の女・広美の一代記。 まずタイトルが巧すぎる。西部劇の名作がパッと思い浮かび、あの独特の世界観が現代日本に甦る。 「おそれいりましたでございます」という不思議な言い回しも、彼女の辛い過去を知ることで深みが出てくる。人間って幸せな...

家族から家族へ、母親不在の家族の下へ全国をさすらう謎の女・広美の一代記。 まずタイトルが巧すぎる。西部劇の名作がパッと思い浮かび、あの独特の世界観が現代日本に甦る。 「おそれいりましたでございます」という不思議な言い回しも、彼女の辛い過去を知ることで深みが出てくる。人間って幸せな時には気づかない大切なことがある。一方通行ではなく、お互いが求め合うから愛が成立する。そんなことを教えてくれる秀作。エピローグの出来事もほっとする。

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2015/08/01

 これがウエスタンか! え? と思いながら読み進むうちに、構造的にウエスタンだ、と思わざるをえない。  よく分からないよ!と思いながら読んでほしいけれど、あらすじレベルのネタバレを含むならばこんな感じ。  子供たちや弱者から見れば頼もしくある人物(西部劇で言うところのガンマン、...

 これがウエスタンか! え? と思いながら読み進むうちに、構造的にウエスタンだ、と思わざるをえない。  よく分からないよ!と思いながら読んでほしいけれど、あらすじレベルのネタバレを含むならばこんな感じ。  子供たちや弱者から見れば頼もしくある人物(西部劇で言うところのガンマン、この本で言うところの彼女)が、ばったばったと洗濯物やたまった茶碗、湿った布団を片付けていき、家庭の安定を守る。  帰ってきて!と子供が泣き叫んでも、彼女は振り返らず、前に進んでいく。  かっこいい。  西部劇のガンマンもこんな気持ちだったんだろうか、とか良く分からない気持ちになってくる。  なんかすごいものを読んだ気がする。  表紙も格好いい。

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2015/07/28

初物。久しぶりに文庫化されるのを待ってた作品。設定は多分有り得ない。ヒロインに共感を持つことは勿論出来ない。けど、引き込まれて読み進んだ。最後、やっと帰る場所が見つかったヒロインにホッとしてる自分がいる。本当に不思議な作品。良い出会い。チャンスあればこの人の他の作品も読んでみよう...

初物。久しぶりに文庫化されるのを待ってた作品。設定は多分有り得ない。ヒロインに共感を持つことは勿論出来ない。けど、引き込まれて読み進んだ。最後、やっと帰る場所が見つかったヒロインにホッとしてる自分がいる。本当に不思議な作品。良い出会い。チャンスあればこの人の他の作品も読んでみよう。

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2015/07/12

あるときはバブル景気の真っ只中の東北、 あるときはバブルがはじけた時期の北海道帯広に 北海道えりも町、 あるときは宮城県のとある町。 各地を転々としながら 定食屋「いろは」の店員、 スナック「卑弥呼」で働くホステス、 スーパーの洋品店の店員など職を変え、 男やもめで母親のいない家...

あるときはバブル景気の真っ只中の東北、 あるときはバブルがはじけた時期の北海道帯広に 北海道えりも町、 あるときは宮城県のとある町。 各地を転々としながら 定食屋「いろは」の店員、 スナック「卑弥呼」で働くホステス、 スーパーの洋品店の店員など職を変え、 男やもめで母親のいない家庭にふらりと現れ、愛情に飢えた子供たちに愛を与え去っていく広美。 身体一つで、家族から次の家族へ、全国をさすらう女。 果たして彼女は一体誰なのか? 何が目的なのか? 『東京ロンダリング』で一躍注目を浴びた著者の長編第二作であり、 ちょっと変わった家族小説。 初めての原田ひ香作品だったけど、 木皿泉の解説にあるようにタイトルの秀逸さと 主人公広美のワケの分からなさが面白くて(笑) 一気読み。 (映画ファンであればタイトルから往年の西部劇の傑作「シェーン」を思い浮かべるだろうし、その発想は正解です) 伊丹十三の傑作映画「たんぽぽ」がラーメン屋版「シェーン」だったのに対して、 こちらは母親版「シェーン」。 悪者たちがはびこる荒廃した西部の町に流れ者がふらりとやってきて 父親のいない母子と知り合い ひととき共に暮らし、 悪者たちを成敗して またふらりと去っていく。 (勿論、一緒に暮らし懐いた子供は、「シェーン、カムバック!」と別れを惜しむわけです) これを現代の母親に置き換えたわけだけど もうその斬新な発想からして 心躍るし、 主人公広美の過去パートと 幼少期に広美に育てられた青年が広美を捜す現代パートを交互に描いた巧みな構成、 リズム感のいい文体と 胸を打つ借り物でないセリフ。 そして、無理のないその土地土地の方言が いいアクセントになって飽きさせません。   色白で小柄。透明感のある赤い唇と笑うとえくぼのできる愛嬌のある顔。 「申し訳ございません。おそれいりましてございます。」 というなんとも奇異な挨拶が口癖の(笑) ミステリアスでなんとも魅力のある謎の女、広美にどんどん惹かれていく不思議。 広美の行動はホンマ無茶苦茶なんやけど、 なぜか憎めない。 子供に食べさせるために魚の小骨を丁寧に取ってあげたり、 風呂に一緒に入ったり、 保育園に毎日一緒に行き一緒に遊んだり、 謝ることの大切さ、挨拶の仕方、ご飯食べるときのマナー、花の名前、折り紙の遊び方、ホットケーキの作り方、勉強のやり方を教えたり、 夜明けにヴァン・ヘイレンの「Jump」をみんなで歌ったり、 ひととき広美と時を過ごした子供たちも 感謝こそすれ、誰も彼女を恨んでなんかいない。 人が人として甦るためには 何も特別な儀式なんて必要ないのだろう。 なんでもない日々の暮らしを積み重ねることこそが 胸に巣くう悲しみや怒りや孤独を浄化し、 穏やかな日々の暮らしでのかけがえのない記憶が心の核となり どんなときも人を救ってくれるのだと、 自分も母親に捨てられ施設で育った経験から 身に沁みて解っている。 誰かのためにではなく、 あくまでも自分のために行動した広美だからこそ、 関わったすべての家族の心に消えない記憶を残したのだと思う。 今は朽ちないことや老いないことをよしとする風潮が主流だけど、 歳をとったり、朽ちていったり、変わっていくことを怖れず書いている小説が僕は好きだ。 この小説も、 家族から家族へ 母親を必要とする家族を渡り歩き、 崩壊した家族を立て直すと またどこかへ消えていく広美という女の20年に及ぶ一代記だ。 そう、映画「グロリア」のように 戦うおばさんはカッコいいのだ!

Posted byブクログ

2015/04/10

本気で子供のことを思う主人公、広美の姿はぐっとくるものがあった。 だけど、本人の思いとは裏腹に子供たちの想いが切ない。 不思議と広美に幸せになって欲しいと願ってた。 H27.4.1~4.6

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