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インドクリスタル の商品レビュー

4.1

47件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

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2015/08/24

 インドのカースト、性差別、暴力などが、未開拓の鉱物資源を巡る中でリアルに描かれている。また、インド特有の騙し、騙され、駆け引きが全編を貫いている。一度インドに行き、ものの見事に騙されたことがあるので、昨日のことのように思い出してしまった。  古いインド、新しい価値観、インドの自...

 インドのカースト、性差別、暴力などが、未開拓の鉱物資源を巡る中でリアルに描かれている。また、インド特有の騙し、騙され、駆け引きが全編を貫いている。一度インドに行き、ものの見事に騙されたことがあるので、昨日のことのように思い出してしまった。  古いインド、新しい価値観、インドの自然、インドの混沌すべてが感じられる一冊。

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2015/08/21

人工水晶開発の為、マザークリスタルの買い付けを行う山峡ドルジェ社長・藤岡。インドの村の宿泊先で使用人兼売春婦をしていた少女ロサを救い出し、村人と交渉・試掘を重ねる中で思いがけない困難に次々と直面する。

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2015/08/11

(15-62) 主人公の藤岡に好感が持て、先住民の少女ロサがミステリアスで魅力があり、二人に引き込まれるようにして読んだ。貧しいうちは捨て置かれ、少し豊かになると盗賊に襲われたり土地の実力者と反政府勢力の抗争の舞台になって結局村がめちゃめちゃになる矛盾。真に迫った描写を読み、今も...

(15-62) 主人公の藤岡に好感が持て、先住民の少女ロサがミステリアスで魅力があり、二人に引き込まれるようにして読んだ。貧しいうちは捨て置かれ、少し豊かになると盗賊に襲われたり土地の実力者と反政府勢力の抗争の舞台になって結局村がめちゃめちゃになる矛盾。真に迫った描写を読み、今もこういう危険地帯でビジネスをしている日本人がいるのだろうなと思う。読み終わってからも彼らの今後に思いをはせて余韻を楽しみ、大変面白かった!

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2015/07/27

久しぶりに、ずっしりと読み応えのある1冊でした。(ページ数が多いだけでなく、2段で書かれています)最初はどうなることかと思いましたが、一気に読んでしまいました。 日本でのほほ~んと暮らしている私には、格差、貧困、階級制度、虐待(というか日常的な暴力)、宗教などなど、すべてにおい...

久しぶりに、ずっしりと読み応えのある1冊でした。(ページ数が多いだけでなく、2段で書かれています)最初はどうなることかと思いましたが、一気に読んでしまいました。 日本でのほほ~んと暮らしている私には、格差、貧困、階級制度、虐待(というか日常的な暴力)、宗教などなど、すべてにおいて理解しがたい。だからこそ、こういうずっしりとした物語で読ませてくれる作者に感謝します。

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2015/07/01

どれを読んでもハズレのない篠田節子さんの作品の中でも、これはかなりの傑作なのではないかな、と思う。 あらゆるものをテーマにして、一貫してエンターテイメントを描き続ける篠田さんは本当にすごい。そしてこの作品は、きっと驚くほど綿密な下調べが必要であったろうと想像せずにはいられないほど...

どれを読んでもハズレのない篠田節子さんの作品の中でも、これはかなりの傑作なのではないかな、と思う。 あらゆるものをテーマにして、一貫してエンターテイメントを描き続ける篠田さんは本当にすごい。そしてこの作品は、きっと驚くほど綿密な下調べが必要であったろうと想像せずにはいられないほどディテールがしっかりしており、一度物語の中へ入り込んだらもうそこから抜け出せない。 先端技術のための水晶=クリスタルをめぐる裏インドの商駆け引きも面白ければ、日本人の日常、常識とは別世界のインド社会の光と闇の描写もすごく面白い。登場人物に血が通っており、単なる善人、悪人のくくりでないのが素晴らしい。水晶をめぐる攻防の物語に、まさかの時事要素を盛り込んでくるのにも驚いた。社会派、とは言わないが、篠田さんの作品にいつもある社会への警鐘は胸の奥に突き刺さる。 しかしまあ。なんといってもロサの人物造形がこの作品の最大の魅力であることに間違いはない。インドという国に日本人はなんとはなしに神秘的なイメージを抱くが、ロサの描写がまさにそれを体現しているし、その神秘性が全編に渡ってこの物語を支配している。続編はきっとないし、あってもこの次は平凡な物語になるのかもしれないが、それでもまだまだ続くロサの人生の続編を、この本を読み終えた今、とても読んでみたい。 あ、いつの間にか僕もロサに操られてる???

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2015/06/12

エンタメ小説のくくりに入るのだろうが、質量ともにかなりの重厚さである。 500ページ強の2段組。舞台は水晶を巡るビジネス。 だが吸引力は相当だ。 水晶を原料に精密機器を製造する中小企業の社長、藤岡は、インドのある鉱山から出た原石に興味を惹かれる。透明度の高い美しさ。だが彼が価値...

エンタメ小説のくくりに入るのだろうが、質量ともにかなりの重厚さである。 500ページ強の2段組。舞台は水晶を巡るビジネス。 だが吸引力は相当だ。 水晶を原料に精密機器を製造する中小企業の社長、藤岡は、インドのある鉱山から出た原石に興味を惹かれる。透明度の高い美しさ。だが彼が価値を見いだしたのは見た目の美しさではなかった。結晶の規則正しさだ。最先端技術にも使用されうる精密な人工水晶の製造には、核となる良質の天然水晶が欠かせない。 その原石の結晶は非常に規則的で、また使用に耐えうる部分の割合も他の産地のものとは比べものにならないくらい高かった。 藤岡はこの鉱山を突き止め、原石の輸入を試みることにする。 通常、宝石としては比較的軽視されている水晶に、実はどれだけの潜在的な価値があるのかを伏せつつ、海千山千のインド人たちを相手に、原石を無事に日本に送り出すことが出来るのか。 これが物語の1つの軸である。 もう1つの軸は、「ロサ」という1人の少女である。 藤岡は取り引き相手の家で働く彼女に出会う。下働きのようなことをしながら、少女売春もさせられているらしい。彼女はいわゆる部族の出身で、「生き神」として祀られた過去があった。初潮前の少女を「神」として崇拝する独特の信仰だ。少女たちは生き神である間はかしずかれ、隔離されて生き、初潮がくるとお払い箱となる。「生き神」となった女と結婚すると災いが起こるとする迷信もあり、役目を終えた後、社会に上手く溶け込めない例もままあるという。 憤慨する藤岡。接するうちに彼女には並外れた知性が備わっていることもわかってくる。何とかゴミためのような環境から救い出し、高等教育を受けさせることは出来ないのか。 だが彼女の雇い主は、藤岡を冷たい目で眺めつつ、「あれは邪な種を秘めている」という。その意味するところは何か? 藤岡は彼女の過去を知り、行動をともにするうち、彼女の持つ異様な力にも気づいていく。 おそらく相当の取材を重ねた背景は説得力に富み、ノンフィクション仕立てにも出来うる題材であっただろう。 そこを小説に仕立てたのはもちろん、著者が小説家であるからだが、そのことにより、まるでプリズムを通したかのような、さまざまな色彩が見えてくる。 日本人社長藤岡の視点から、ビジネスにおけるインド人のしたたかさ、NGOの「偽善」、部族と呼ばれる先住民の感性、崩せない階級社会、日本人も含む外国人のずるさが立体的に浮かび上がってくるのである。 中でもやはり印象が強いのは、苛酷な運命をたどったのロサの姿だろう。あるときは美しく純真な少女、あるときは迷信の犠牲者、あるときは暴力の被害者、あるときは邪な力を秘めた謎の女。藤岡同様、読者もまたあるときは彼女に惹かれ、あるときは彼女に怯える。その真の姿は聖なのか邪なのか。水晶を巡る顛末と絡みつつ、彼女の動向もまた物語を牽引する大きな力となっている。 藤岡は、インドの洞窟に潜む水晶を、そしてロサという謎の少女を、掌中に収めることが出来るのか。 怒濤のラストまで目が離せない。 篠田節子にはこれまでも何度か驚かされてきた。 本作は中でも、最大級の最上の驚きをくれる1冊だ。

Posted byブクログ

2015/05/30

ブログに掲載しました。 http://boketen.seesaa.net/article/417639868.html よくぞここまでインドの深奥に。少女ロサは「邪の種」か、解放の希望か。

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2015/05/19

精密機械部品の原材料となる特殊な水晶を手に入れるために、主人公は地図にも載っていないようなインドの辺境の地に赴く。そこには、日本人の感覚では理解も想像もできないような、さまざまな困難が待ち構えていた。 クリスタルを巡る契約を軸にはしているが、企業小説ではない。描かれているのは、...

精密機械部品の原材料となる特殊な水晶を手に入れるために、主人公は地図にも載っていないようなインドの辺境の地に赴く。そこには、日本人の感覚では理解も想像もできないような、さまざまな困難が待ち構えていた。 クリスタルを巡る契約を軸にはしているが、企業小説ではない。描かれているのは、目覚ましい発展を遂げるインドの裏側にある、底辺で苦しむ人々と搾取する側の残酷な世界だ。 カースト制度による徹底した身分差別、男尊女卑、貧富の格差、それに伴う暴力の横行、権力者の腐敗。手を差しのべようとするNGOとの軋轢や、過激派による襲撃も加わって、主人公は何度も命の危険にさらされる。 さらには、底辺の部族民である少女の存在で、作者ならではのオカルトめいたテイストも加わり、非常に読み応えのある社会派冒険小説に仕上がっている。 それにしても、よくぞご無事でと言いたくなるような、かなりの現地取材をしたと思われる。小心者の私としては、小説とは言え生々しい負の世界を見せつけられて、インドには足を踏み入れられないなぁと思ってしまった…。

Posted byブクログ

2015/05/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【要旨】人工水晶の製造開発会社の社長・藤岡は、惑星探査機用の人工水晶の核となるマザークリスタルを求め、インドの寒村に赴く。宿泊先で使用人兼売春婦として働いていた謎めいた少女ロサとの出会いを機に、インドの闇の奥へと足を踏み入れてゆく。商業倫理や契約概念のない部族相手のビジネスに悪戦苦闘しながら直面するのは、貧富の格差、男尊女卑、中央と地方の隔たり、資本と搾取の構造―まさに世界の縮図というべき過酷な現実だった。そして採掘に関わる人々に次々と災いが起こり始める。果たしてこれは現地民の言う通り、森の神の祟りなのか? 相変わらず、ものすごい量の文章を圧倒的な筆力でグイグイ引っ張って行って飽きさせないのがすごい。 いつものように、読んでいて何が正しいのか、何が間違っているのか、どうとらえればいいのか、考えが二転三転振り回される。 結局何が正解だったのか。 最後まで藤岡とロサの考え方が平行線だったのが面白い。 人間、生まれ落ちた場所、育った環境、国、生活習慣、宗教と違えば、考え方も常識も価値観も違う。 人は自分が持っている物差しで回りを計る生き物だものね。

Posted byブクログ

2015/05/17

1ページ読み始めると500ページ読み終えてしまうタイプの本。 しかし、冒頭でほとんど動きがないにもかかわらず読まされてしまうのはなんでだろう? ☆が100個。すさまじい。

Posted byブクログ