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その日東京駅五時二十五分発 の商品レビュー

3.7

27件のお客様レビュー

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2017/06/04

戦時中、通信兵として広島から東京へ任務についた「ぼく」。 その後、故郷の広島では新型爆弾が落とされた。 それでも言われるままに任務を続けなければならない。 短い物語だけれど、当時の人達の思いは良く描かれていると思う。 この話は、作者の叔父が戦後に親戚に向けて配った手記を基に書かれ...

戦時中、通信兵として広島から東京へ任務についた「ぼく」。 その後、故郷の広島では新型爆弾が落とされた。 それでも言われるままに任務を続けなければならない。 短い物語だけれど、当時の人達の思いは良く描かれていると思う。 この話は、作者の叔父が戦後に親戚に向けて配った手記を基に書かれたという。 終戦をいち早く知ったという部隊があったこと。 戦争には、知られていない部分がまだあるんだと感じた。 2017.6.4

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2017/03/29

戦争が終わる時、ある主人公が過ごした、大きな物語が起きない平坦な物語。 特に心が揺さぶられるようなものではなかった。 ちょっと僕にはよく分からない作品。

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2017/01/16

「みんなこれまで後生大事に抱えてきた色んなもの、燃やしてんねや」 「自分の心が一番ひかれるものには、何となく罪のにおいがする。何か自分が守ってきたものを壊してしまいそうな、低いとどろきを感じる」 「あんな陰気な森の中に、陛下が暮らしているのかと思うと、気の毒なように思えた」 「ー...

「みんなこれまで後生大事に抱えてきた色んなもの、燃やしてんねや」 「自分の心が一番ひかれるものには、何となく罪のにおいがする。何か自分が守ってきたものを壊してしまいそうな、低いとどろきを感じる」 「あんな陰気な森の中に、陛下が暮らしているのかと思うと、気の毒なように思えた」 「ーーぼくの赤ちゃん。 中尉は写真を見下ろしながら甘い声でそう言って、自分でくすりと笑った」 「『でも可愛いんだ』 中尉は、子供を寝かすような口調でそう言った」 夢は覚めて初めて夢になる。覚めない悪夢は、現実だ 遅れて帰ってきた来たお前になど、何もわからないし、何もわかってもらいたくない、と、街から完全に背を向けられているような気がした 姉妹のたくましさ 【あとがき】 どうして私たちは、自分の知らない時代の者たちの起こした戦争の、嫌な話や、悲しい話を聞きながら育たなければならないのだろう、とずっと思ってきました。日本人として、広島に生まれた者として、「知っとかなきゃいけない」というのは理屈では分かっていても、殺したり、殺されたり、焼いたり、焼かれたり、そんな話ばっかし。頭が割れるほど嫌だった 「全てに乗りそびれてしまった少年」の空疎な戦争体験 世界は音もなく崩壊しようとしているのに、私には小説を書くという、意味があるのかないのかわからない仕事が目の前にあるだけでした 小説などバカバカしくて、そんなものを書こうと思った自分がみじめでたまらなくなりました 【解説】 わたしたちは、「ぼく」だ。「一度も」まじめに考えたことのない「ぼく」だ。故郷の「街から完全に背を向けられているような気がし」ている「ぼく」なのだ、と。 「過去」は、なぜ存在するのか。わたしたちに気づかせるためだ。なにを気づかせるのか。それは、わたしたちの愚かしさである。(中略)だが、作者は、それが絶望ではないことを知っている。

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2016/10/13

通信兵として訓練中に一般国民より先に終戦を知った広島出身の青年が、列車で故郷へ帰る話。拍子抜けするほどに淡々と物語が綴られていることに驚いた。著者の作風によるものと想像したが、著者の祖父による体験手記と取材を元に書かれたことから、少なくとも当時の一個人の真実に近い話なのであった。...

通信兵として訓練中に一般国民より先に終戦を知った広島出身の青年が、列車で故郷へ帰る話。拍子抜けするほどに淡々と物語が綴られていることに驚いた。著者の作風によるものと想像したが、著者の祖父による体験手記と取材を元に書かれたことから、少なくとも当時の一個人の真実に近い話なのであった。『本当の戦争の話をしよう』という本に、本当の戦争の話とは思えないものこそ本当の戦争の話だという旨が書いてあったことを思い出した。高橋源一郎氏の解説もまた素晴らしく、本書を通して「過去」や「歴史」との向き合い方を示唆している。

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2016/09/01

1974年広島県生まれの著者の伯父の体験記を基にした小説~昭和二十年春に召集され東京清瀬の陸軍特種情報部の通信兵として過ごし,アメリカの短波放送でポツダム宣言の内容を聞き,上官の命令で資料を焼き,階級章を剥がして焼き,軍人手帳も燃やして,故郷に帰るために,東海道線始発列車を東京駅...

1974年広島県生まれの著者の伯父の体験記を基にした小説~昭和二十年春に召集され東京清瀬の陸軍特種情報部の通信兵として過ごし,アメリカの短波放送でポツダム宣言の内容を聞き,上官の命令で資料を焼き,階級章を剥がして焼き,軍人手帳も燃やして,故郷に帰るために,東海道線始発列車を東京駅で待ち,切符無しで大阪から広島まで帰ってきたが,焦土となった故郷でも,生活に必要なものを集めて回る女性の逞しさに触れる~上手に書きました。「そうするしかなかったから,そうした」そういう人が多かったのだろう。他に選択肢はなかった

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2016/02/27

悲壮感のない戦争小説。とてもよかったです。 青年の無垢な視点から語られる様子は、阿川弘之の「雲の墓標」を彷彿とさせました。 淡々としているがゆえにリアリティを感じさせられます。

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2015/12/20

このような話は初めて読んだし、初めて聞いた。 テレビや平和学習なんかで見聞きした悲惨な出来事は当たり前だけど真実で、この著者の叔父のような話もまた真実なのだなと。

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2015/11/25

広島出身の著者が、伯父の体験を基に執筆した「日本のいちばん長い日」。 親友とともに終戦の日の朝、東京から西へ向かう列車に乗り込む19歳の青年。通信兵という立場から、いち早く無条件降伏の敗戦を知った彼らの見たその日の日本。今までにない視点が、とても斬新で切り口が鮮やかだ。列車内の子...

広島出身の著者が、伯父の体験を基に執筆した「日本のいちばん長い日」。 親友とともに終戦の日の朝、東京から西へ向かう列車に乗り込む19歳の青年。通信兵という立場から、いち早く無条件降伏の敗戦を知った彼らの見たその日の日本。今までにない視点が、とても斬新で切り口が鮮やかだ。列車内の子供と、故郷で偶然出会った姉妹の「生きてやろう」感がとてもたくましい。

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2015/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

"戦争で死ぬことと、滅びた後を生き抜くこと。いったいどちらが苦しいことなのか。" 戦争って、みんなが、苦しくて辛くて悲しくて、劇的な体験をしてるのだと思った。 読んだ印象としては、淡々とし過ぎて。「本当に戦争の話?」と思ってしまった。 実際は、全部が全部淡々としてたわけじゃないんだろうけど、読んでても、戦争の実感がなかった。そうか、こうやって、時代の流れにそのまま流されるだけの人もいたのかな。

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2015/07/24

脳みそがぐちゃぐちゃになってしまった。 正直戸惑っている。 この本はすごく淡々としていた。 召集されたということ自体が、もう絶望的なことなんじゃないの?と思ってたし…でも、銃も扱ってみたいし、ともすれば大砲も撃ってみたい という描写は妙にリアルなんだよな(実話をベースにしてるから...

脳みそがぐちゃぐちゃになってしまった。 正直戸惑っている。 この本はすごく淡々としていた。 召集されたということ自体が、もう絶望的なことなんじゃないの?と思ってたし…でも、銃も扱ってみたいし、ともすれば大砲も撃ってみたい という描写は妙にリアルなんだよな(実話をベースにしてるからというのを差し引いても)。実際吉井くんと同じ立場にあったら、案外そんなものなのかも。その目で悲劇を見ない限り、危機なんて感じないものなのかもしれない。人間てほんとにおめでたくできている。 もちろん、淡々とは書いてあるが、吉井くんたちが大変でなかったわけではないだろう。あの時代に、中空を生きる ということ、それもまた苦悩があったのではないだろうか。 益岡との別れがしんみり悲しかったな。 大阪よいとこ一度はおいで。

Posted byブクログ