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ビブリア古書堂の事件手帖(6) の商品レビュー

3.8

514件のお客様レビュー

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    97

  2. 4つ

    193

  3. 3つ

    141

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2022/07/10

太宰の「晩年」再び。 古書を巡る物語は祖父母の時代から続いていた。 紙にでも書かないと人間関係がよくわからなくなってくる。 現実でも身勝手な理由で他人を傷つけても平気な人や謝れない人が増えた気がする。 いつでも心を占めるのは自分のことばかり。相手にも心があると言うのに。 暗い...

太宰の「晩年」再び。 古書を巡る物語は祖父母の時代から続いていた。 紙にでも書かないと人間関係がよくわからなくなってくる。 現実でも身勝手な理由で他人を傷つけても平気な人や謝れない人が増えた気がする。 いつでも心を占めるのは自分のことばかり。相手にも心があると言うのに。 暗い気持ちの時、せめて本の中では心温まりたい。

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2022/07/09

太宰治はやはり好い、と思わせる一冊だった。 淀野隆三の名前が出てきたので驚いた。 「走れメロス」の元となった一件、作中では師・井伏鱒二のところからなかなか帰ってこない太宰を檀が見に行ったところまでしか本書には書かれていない。が、その後金を借りたいと井伏に言ったが、井伏も金が足り...

太宰治はやはり好い、と思わせる一冊だった。 淀野隆三の名前が出てきたので驚いた。 「走れメロス」の元となった一件、作中では師・井伏鱒二のところからなかなか帰ってこない太宰を檀が見に行ったところまでしか本書には書かれていない。が、その後金を借りたいと井伏に言ったが、井伏も金が足りず、師・佐藤春夫の元へ行くがこれも金が足りず、結局複数人から金を借りて宿代を返したーーその中に淀野もいたと記憶している。 年代としては太宰の先輩に当たるはず、いや、淀野は仏文翻訳をしていたから、帝大仏文科の太宰にとってまさに先輩だったのであろうと思う。 淀野は文学者でなく翻訳家であり、梶井基次郎の全集を生涯にわたり刊行し続けた出版者・編纂者であるから、淀野の書いた文章をまとめた本というものがない(はずである)。淀野が書いた『晩年』についねの随筆、ぜひ全部を読んでみたいと思った。

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2022/05/28

怪我をして大船にある総合病院に入院している大輔。 6月に入ってからのことを、傍らにいる篠川智恵子に語り始める。 いったい何があったのだろうか。 栞子さんから太宰治『晩年』の貴重な初版本を手に入れようと付け狙い、石段から突き落として足に怪我を負わせてしまった危険な男、田中敏雄が再...

怪我をして大船にある総合病院に入院している大輔。 6月に入ってからのことを、傍らにいる篠川智恵子に語り始める。 いったい何があったのだろうか。 栞子さんから太宰治『晩年』の貴重な初版本を手に入れようと付け狙い、石段から突き落として足に怪我を負わせてしまった危険な男、田中敏雄が再び現れます。 田中の祖父が持っていた、あの時のとは別の、署名がないのに書き込みがあるという『晩年』を探してほしいと二人に頼みます。 47年前、大船の撮影所の近くで、大輔の祖母絹子が切り盛りしていたごうら食堂には、ロマネスクの会と称する読書サークルの仲間が集まっていました。 田中敏雄の祖父田中嘉男と、虚貝堂の店主杉尾さん、小谷次郎さんの三人。 大学教授の富沢博さんと娘の紀子さん。 栞子さんの祖父は、久我山書房という店に住み込みで修行していました。 そして、紀子さんは久我山家と親しく交流があって…。 二人の祖父祖母の時代から太宰の稀覯本を巡って、さまざまな謎が渦巻いていました。 大輔と栞子さんの結びつきは、ただの偶然ではないような気がします。 まだまだ複雑な事情が絡んでいそうです。 ようやくここまでたどり着いて、この物語の真相が早く知りたいような、まだ終わってほしくないような、複雑な気持ちでいっぱいです。

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2022/05/26

2022/05/26読了 #三上延作品 古書にまつわる日常の謎解き。第6弾。 栞子さんにケガを負わせた保釈中の田中敏雄から ふたたび太宰の「晩年」を狙う脅迫状が届く。 それとは別に太宰自家(殺)用の「晩年」の存在が 明らかになる。 2冊の「晩年」をめぐる3代に渡る争奪戦。 過...

2022/05/26読了 #三上延作品 古書にまつわる日常の謎解き。第6弾。 栞子さんにケガを負わせた保釈中の田中敏雄から ふたたび太宰の「晩年」を狙う脅迫状が届く。 それとは別に太宰自家(殺)用の「晩年」の存在が 明らかになる。 2冊の「晩年」をめぐる3代に渡る争奪戦。 過去に遡り、相関図がいきなり複雑化してきた。 栞子さんと母親の確執が溶ける感じがしないんだが このままエンディングに向かうんだろうか。

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2022/05/17

ビブリア古書堂6巻。 それぞれの登場人物が自分の心の闇を抱えて生きていて、隠しているそれを写し鏡のように見せつけてくる人から逃れることができない。 黒い。 関係性が対でないのが、また黒い。濃淡。同じ存在であることは理解してしまうゆえに、後戻りできないとこまで踏み込んでしまうと...

ビブリア古書堂6巻。 それぞれの登場人物が自分の心の闇を抱えて生きていて、隠しているそれを写し鏡のように見せつけてくる人から逃れることができない。 黒い。 関係性が対でないのが、また黒い。濃淡。同じ存在であることは理解してしまうゆえに、後戻りできないとこまで踏み込んでしまうという深さ。互換であることが許せず、上位であろうとする。ただただ上位でありたいという情の強さ。 黒いなぁ。古書にまつわる人情ミステリはどこへ。

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2022/05/12

太宰治の『晩年』を奪うため、ビブリア古書堂の店主に危害を加えた青年が、再びの二人の前に。 しかも今度は、依頼者として。 依頼された書籍を追うと、そこには二人の祖父母が関わっていました。 第1巻からの伏線が、どんどん回収されていきます。 この物語がどこへ向かうのか、楽しみです。

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2022/05/01

第六巻は丸々全編、太宰治です。家にあった日本文学全集の太宰治の巻は、けっこうハマって読みました。高校生の時です。何にハマるかと言うと太宰の文体ではないでしょうか。今の若い人たちにも、若いうちにハマってほしいと切に願います。そして、こっち側へ帰って来て欲しいです。帰って来られなかっ...

第六巻は丸々全編、太宰治です。家にあった日本文学全集の太宰治の巻は、けっこうハマって読みました。高校生の時です。何にハマるかと言うと太宰の文体ではないでしょうか。今の若い人たちにも、若いうちにハマってほしいと切に願います。そして、こっち側へ帰って来て欲しいです。帰って来られなかった人達が、この第六巻の登場人物達だと思うので。当然、物語は超ダークです。

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2022/04/04

栞子さんに怪我を負わせた田中から 太宰の別の『晩年』を探してほしいと依頼があった。 気が進まない僕に対して 彼女は「その持ち主を守るため」 探し出した方がいいと言う。 調査を進めたところ 太宰研究家の富沢教授宅で47年前に起きた 『駆込み訴へ』の盗難事件と 何らかの関係があると...

栞子さんに怪我を負わせた田中から 太宰の別の『晩年』を探してほしいと依頼があった。 気が進まない僕に対して 彼女は「その持ち主を守るため」 探し出した方がいいと言う。 調査を進めたところ 太宰研究家の富沢教授宅で47年前に起きた 『駆込み訴へ』の盗難事件と 何らかの関係があるとわかる。 教授の勉強会に足繁く通う 太宰愛読者の青年3人のうち もっとも怪しいと思われていた田中の祖父だったが 保管されていた蔵から本を 持ち出すことは不可能な状況だった。 彼が本当に犯人なら、どうやって持ち出したのか? 他に犯人がいるのなら誰なのか? 僕と栞子さんは当時を知る人物と接触するが…。 ふろしきを閉じにかかってますね。 当時の事件に栞子さんの祖父がかかわっていたり 五浦君のおばあちゃんも 3人の青年と付き合いがあったり いろいろと複雑な事情があるようですな。 しかし、太宰治の人生って インパクト強いなぁと改めて思いました。 愛読者や研究者が絶えないわけだ。

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2022/03/05

人が多いのと関係が複雑で難しかった・・・笑 でも太宰治の作品がここまでたくさんの人を色々な意味で魅了するものなんだってわかったストーリーでもあった。 ほんと、純文学とか古典とかも読めるようになりたいな。 毎回恒例の「謎」も今回は複雑で苦笑関係図とか書きながら読めばよかったなぁ笑 ...

人が多いのと関係が複雑で難しかった・・・笑 でも太宰治の作品がここまでたくさんの人を色々な意味で魅了するものなんだってわかったストーリーでもあった。 ほんと、純文学とか古典とかも読めるようになりたいな。 毎回恒例の「謎」も今回は複雑で苦笑関係図とか書きながら読めばよかったなぁ笑 ただ、やっぱり最後に犯人が分かるところとか、その後にふと気づく重大な事実と下でハッとして終わる読後感がやみつきになる~

Posted byブクログ

2022/02/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み進めていくごとに複雑に絡まっていく謎が読み進めていくごとに明らかになっていき、ゾッとしたりスッキリしたりと今巻も面白すぎたの一言です、、、、!一巻で晩年については終わったと思っていたのでこんな展開に繋がるとは思っていませんでした!そして、寛子さんの栞子さんへの言葉に少しだけ共感出来ました。(勿論犯罪行為は許されませんが)栞子さんの圧倒的な知識量、ルックス、主人公の存在はとても眩しく見えます。二人の違いは古書への愛だなあと感じました。最後のゾッとした終わり方もいつもとは異なりとても良かったです、やっぱり智恵子さんは色々怖いなあ

Posted byブクログ