幕末史 の商品レビュー
とても勉強になりました。 佐々木さんとしての幕末史が書かれています。調査して、自分を通して文章にされているので、大事と思われるところの濃淡や主観的な表現があるのは当然ですが、それでも客観をベースに書かれていて、幕末・維新を知るための本としてはとても参考になる本だなと思いました。...
とても勉強になりました。 佐々木さんとしての幕末史が書かれています。調査して、自分を通して文章にされているので、大事と思われるところの濃淡や主観的な表現があるのは当然ですが、それでも客観をベースに書かれていて、幕末・維新を知るための本としてはとても参考になる本だなと思いました。 キーワードは ・挙国一致 ・攘夷(破約攘夷) の2点。 挙国一致。ペリー来航当時の欧米列強の勢いを危惧し、このままでは日本は欧米列強に飲まれてしまう、という危惧から、天皇、公家、幕府、民、全ての心を一致して取り組み日本を守っていくということが重要である、という考え方。 攘夷(破約攘夷)。攘夷のイメージは外国人を成敗するというイメージでしたかそれだけではなく、外国と交わした不平等な条約の改正など武力だけではなく諸外国との不平等を打破する取り組み。その手法として武力もあるということ。最たるものはテロめいたものにもなる。 この2つのキーワードをベースに各人が各人の立場や考えをもって活動していた時代が幕末・明治なんだなと実感できました。 その根底にあるのが「国を想う心」であると思いました。「このままでは日本がダメになる」「何とかしないといけない」そう言った日本人としてのアイデンティティ、誇りがあったからこそ、そしてその想いが強かったからこそ、命をかけてまで活動したんだなと思いました。
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幕末の歴史について、著者自身の研究成果を踏まえながらわかりやすく解説している本です。 「尊攘派」対「佐幕派」という図式で語られがちな幕末の歴史ですが、著者は「攘夷」ということばにさまざまな意味が含まれていたことを指摘しています。そのうえで、ペリー・ショックによって巨大な軍事力を...
幕末の歴史について、著者自身の研究成果を踏まえながらわかりやすく解説している本です。 「尊攘派」対「佐幕派」という図式で語られがちな幕末の歴史ですが、著者は「攘夷」ということばにさまざまな意味が含まれていたことを指摘しています。そのうえで、ペリー・ショックによって巨大な軍事力を見せつけられた日本が、挙国一致で困難に立ち向かわなければならないことを自覚し、「破約攘夷」という課題をどのようにして果たすのかという問いをめぐってさまざまな考えかたが交錯する、幕末から明治維新にかけての動乱の模様がえがき出されています。 「あとがき」に「本書は欧米列強にたいして手も足も出すことができなかった軍事的弱小国家日本が、屈辱をバネにして立ち直って近代化を達成した、国家建設の物語として述べられている」と書かれているように、結果的に近代国家の建設へといたるプロセスとして幕末史の流れが整理されています。歴史を動かした当事者たちに近代国家としての日本について明確なイメージがあったのかという点では、すこし疑問に感じるところもありますが、上のような著者の意図が明確に示されているところに著者の誠実さを感じたのも事実です。幕末史が一連のストーリーとしてまとめられており、新書のスタイルの概説書としておもしろく読めるように思います。
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「日本はアメリカに2回レイプされた」と言い放ったのは岸田秀だったように記憶しているが、本書は1回目のレイプを屈辱とし、攘夷を国是として挙国一致で立ち向かっていったというテイストで書かれている。 著者は攘夷は史料上ではその時々で様々な意味で解釈しなければならず、広辞苑的な意味で解釈...
「日本はアメリカに2回レイプされた」と言い放ったのは岸田秀だったように記憶しているが、本書は1回目のレイプを屈辱とし、攘夷を国是として挙国一致で立ち向かっていったというテイストで書かれている。 著者は攘夷は史料上ではその時々で様々な意味で解釈しなければならず、広辞苑的な意味で解釈してはならないとする。この辺は鎖国も同じであり、いみじくも鎖国→攘夷という繋がりを意識させられる。尚、著者の基本的解釈は「破約攘夷」であり、明治以降は攘夷が条約改正に変容するというロジックである。 著者は大久保利通の孫の弟子のようなので、当然薩摩贔屓の史観で語られている事に留意する必要がある。また、想像や思い込みで語られている部分もあり、学者らしからぬ記述も散見される。この辺は癌の闘病中に執筆し、上梓後まもなく他界し本書が遺作となってしまった著者の熱い思いとして許容する必要はあるのかもしれない。 とはいえ、尊王と攘夷が合体した瞬間や、体制委任が正式書面化され、攘夷が国是かされた瞬間があったという事や、その他新しい発見も多々あったのは収穫ではあった。(おそらく異論も多々あるのだろうが)
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江戸時代国際社会からほぼ孤立していた日本が尊王攘夷を唱え、外国との関係を模索する中、吉田松陰、坂本龍馬、大久保利通といった人物たちがどんな決意をもって臨んでいったのかが書いてあるが、マニアックな記述が多く退屈な本だった。もう少し初心者向けの方が自分にはあってると思う。詳細→htt...
江戸時代国際社会からほぼ孤立していた日本が尊王攘夷を唱え、外国との関係を模索する中、吉田松陰、坂本龍馬、大久保利通といった人物たちがどんな決意をもって臨んでいったのかが書いてあるが、マニアックな記述が多く退屈な本だった。もう少し初心者向けの方が自分にはあってると思う。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou27901.html
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日本史にまったく疎かったので幕末史を学ぶには最適だった。経過を淡々と追ってるだけなのが却ってわかりやすかった。
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これは「歴史書」というより「歴史モノ」と言っては失礼か。解釈や断定が相当あると感じた。 その分時勢の流れが一貫としていて、「幕末史」としては読みやすく理解しやすいが、現実はそんなに真っ直ぐ流れた訳ではないように思える。 まあ、この時代の全体像を把握するには良いのかも知れないが、こ...
これは「歴史書」というより「歴史モノ」と言っては失礼か。解釈や断定が相当あると感じた。 その分時勢の流れが一貫としていて、「幕末史」としては読みやすく理解しやすいが、現実はそんなに真っ直ぐ流れた訳ではないように思える。 まあ、この時代の全体像を把握するには良いのかも知れないが、この書き方には読んでもさほど感銘は感じなかった。
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癌を患った著者渾身の一冊。 登場人物が多く、夫々の思惑が絡まり合っている為、一読で全て納得という訳にはいかないが、日本のために全力を尽くした人々の苦悩を想うと胸があつくなった。
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戦後70周年に当たり、ちょうどいいタイミングで、幕末の維新の背景と経緯、結果を再確認することができた。 欧米列強との軍事力の差による不戦と、屈辱的な通商条約締結が攘夷の背景にあった。攘夷とは排外主義という意味合いもあるが、本質的には自国の尊厳と権利を取り戻すことにあったのだろう。...
戦後70周年に当たり、ちょうどいいタイミングで、幕末の維新の背景と経緯、結果を再確認することができた。 欧米列強との軍事力の差による不戦と、屈辱的な通商条約締結が攘夷の背景にあった。攘夷とは排外主義という意味合いもあるが、本質的には自国の尊厳と権利を取り戻すことにあったのだろう。 薩長中心に政治体制の刷新を図り、大政奉還も含めて朝廷と武家との連立政権を目指すことになる。戊辰戦争は本来的なものではなく、必要最小限のけじめをつける闘いだったのだと思う。どうあっても新体制に反対する者はいるわけで、言論だけでは片付かないことが、最終的に取る手段が闘いということだろう。 明治政府では徐々に国家体制を整え、通商条約改正を行った後、大日本帝国憲法の発布に至る。この時期では、アジアで憲法を保持していたのは日本だけである。ここまでの道のりは素晴らしいが、その後、欧米列強に追いつかんと植民地支配を目論み、朝鮮半島・中国大陸に進出していった過ちは、後の歴史が示している。 先日安部首相が70年談話を発表していたが、日本の置かれていた環境を正しく理解することと、日本が侵略していった事実を理解することの、両方が日本国民として求められているんだと思う。そうしたことを踏まえて、現在どういう行動を採るべきか、将来に向けて何を目指していくべきか、ということを考えることが必要であり、それが「歴史に学ぶ」ということだと思う。
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書名は「幕末史」だが、一応明治憲法制定までを扱っており(王政復古後は駆け足で、戊辰戦争の叙述が皆無ではあるが)、実質的には「幕末維新史」ないし「明治維新史」というべきであろう。近年の幕末維新史研究の潮流は「攘夷」「開国」「公武合体」「倒幕」といったカテゴライズを否定・再定義する...
書名は「幕末史」だが、一応明治憲法制定までを扱っており(王政復古後は駆け足で、戊辰戦争の叙述が皆無ではあるが)、実質的には「幕末維新史」ないし「明治維新史」というべきであろう。近年の幕末維新史研究の潮流は「攘夷」「開国」「公武合体」「倒幕」といったカテゴライズを否定・再定義する傾向にあるが、本書でも幕末において「攘夷」という言葉で表象される政治行動に、単純な排外行動や武力行使から外交交渉による条約改正(「破約攘夷」)までの幅があることを強調し、いわゆる「尊攘派」と「公武合体派」の対抗軸の存在を否定している。これにより、特に従来の幕末政局史でわかりにくかった8・18政変から四侯会議解体までの過程と横浜鎖港交渉の関係が明快になり、さらには幕末最終局面の複雑な政争が理解しやすくなっている。 他方、全体を通して不平等条約の「屈辱」から「挙国一致」の実現による「日本」の「再生」の物語という、純朴なナショナリズムをくすぐる叙述(言うまでもなく「屈辱」「挙国一致」などは当時の言葉ではないにもかかわらず)になっている点、安政五か国条約以降の外交関係や経済構造の変動をほぼ無視している点(たとえば改税約書や江戸五品回送令すら言及がない)、政局のキーパーソンの思考・行動に対する主観的な推測(思い込み)が所々に目立つ点など問題も少なくない。個別の論点(たとえば薩長盟約の目的や王政復古政変の過程)で他の有力な研究と対立する場合もあり、本書だけで幕末史を理解したつもりでいるのは危険である。あくまで「入門の入門書」くらいの位置付けで、他の学術的研究にも目を通すことが必要であろう。
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幕末の混迷を経て、「立憲君主制国民国家」というものが形成されて行った。これは“挙国一致”で“破約攘夷”を目指さなければならないというようなエネルギーが昇華したものだ…こうした“挙国一致”というようなエネルギー…その後、どういうような経過を辿ったか?そして現在は?そういう意味で、幕...
幕末の混迷を経て、「立憲君主制国民国家」というものが形成されて行った。これは“挙国一致”で“破約攘夷”を目指さなければならないというようなエネルギーが昇華したものだ…こうした“挙国一致”というようなエネルギー…その後、どういうような経過を辿ったか?そして現在は?そういう意味で、幕末辺りの歴史に向き合ってみるというのは、或いは「非常に今日的」なテーマかもしれない… 新しい研究の成果も容れながら、「"幕末”とは?」という問いへの回答を示唆してくれる力作だ。
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