誰でもよかった の商品レビュー
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犯人は30歳前後のフリーター男性。 渋谷スクランブル交差点に軽トラで突っ込み無差別殺人を引き起こす。 センター街にある喫茶店にたてこもるが、 特殊事件捜査係の刑事が交渉にあたる。 作中描写で、犯人の社会から隔離されたような心情が出てくるが身近にもそう感じてる人は多いのかもしれない。 一種の社会問題。 タイトルの"誰でもよかった"は犯人の無差別殺人を指すものだが警察側も見せしめとして殺すのは誰でもよかったのである。
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こんな時代だからこそ、刺さった。 警察の2人の判断。 どちらが正しかったのだろう? 解説にも少しあったが、高橋を「人間」として扱うか、「大量殺人犯」として扱うかで変わってくる。 人間として対話し、理性的に解決しようとする渡瀬。 分かり合えない存在だとして、最初から殺すつもりだった横川。 分かり合えない存在を都合よく切り捨ててしまっていいのだろうか、、、? だが、横川の判断も間違っているわけではない。 潜在的な大量殺人犯に対しては、どうしても後手後手に回ざるを得ない。 事件を未然に防ぐのは難しい。 「大量殺人犯は殺される」という見せしめは結果的には未来の大勢の人間を救っただろう。 膨らみ続ける風船は、いずれ割れてしまう。 割れる前に誰かが処理しなければいけないのである。 物語では横川の行動を渡瀬は「殺人である」として非難しているが、必要悪なのではないだろうか。 もみ消そうとする態度には引っかかったが、、、 「誰でもよかった」に罪のない人間が殺され、「誰でもよかった」に未来の人間が救われた。 これは現代版のトロッコ問題だと思った。 高橋を「人間」として扱い、未来の人間を見殺すか、「大量殺人犯」として、みせしめて殺すか。 どちらが正しい判断なのだろう? 残念なのは、物語と現実では状況が変わってしまったことだ。 今の時代、「大量殺人犯は殺される」というのは抑止力には弱い。 いわゆる"無敵の人"にはそんなのは関係ない。 私たちはいやおうなしに薄氷の上を歩かされている。
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渋谷通り魔殺傷事件を起こした犯人が喫茶店に立てこもり、逃亡を図るために警察と電話で取引きしようとする話。 犯人が事件を起こすシーンは、被害者一人一人の人物像だったり背景が描かれていたし、臨場感があって引き込まれるものがあった。 ただ、立てこもった後からが長すぎる。ここまで長くするなら、身勝手ながらも犯行を実行するに至った心情、渡瀬の焦りと葛藤をもう少し描いて欲しかったし、なぜ横川が不可解な言動を繰り返すのか匂わせて欲しかった。
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無差別殺傷事件をテーマにした作品でした。 物語はとても分かりやすく、サクサクと読み進めることが出来ました。登場人物の複雑な心境などが表現されていると予想していたので、少し期待外れでした。
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ネットで予告し連続殺人。理由は社会からの孤独、自分の存在証明、メディアに出て目立ちたい。 現場にいない人は運が良かっただけ、現場にいた被害者は運が悪かっただけ。 実際に同じような事件がある世の中だから、こんな考えの人がいて、それに共感する人もいて悲しくなる。被害者のことも考えてほ...
ネットで予告し連続殺人。理由は社会からの孤独、自分の存在証明、メディアに出て目立ちたい。 現場にいない人は運が良かっただけ、現場にいた被害者は運が悪かっただけ。 実際に同じような事件がある世の中だから、こんな考えの人がいて、それに共感する人もいて悲しくなる。被害者のことも考えてほしい。 「誰でもよかった」ってほど理不尽な言葉はないと感じた。どちらの立場でも。
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白昼の渋谷の交差点で無差別殺人が発生。その後、犯人はセンター街の喫茶店に籠城…。警察側の交渉人との息詰まる攻防の行く末は? タイトルの意味する結末だが、人によって意見が大きく分かれそう。個人的には国家側の考え方を認めたいが、それはあくまでも感情論になってしまう。法治国家故に、決し...
白昼の渋谷の交差点で無差別殺人が発生。その後、犯人はセンター街の喫茶店に籠城…。警察側の交渉人との息詰まる攻防の行く末は? タイトルの意味する結末だが、人によって意見が大きく分かれそう。個人的には国家側の考え方を認めたいが、それはあくまでも感情論になってしまう。法治国家故に、決して"誰でもよかった"という理屈はとおらない。
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秋葉原の事件をモチーフにした緊迫した怒濤の一日を追う。彼と交渉役の警察官とのやりとりが主。少しずつ会話が成り立っていく過程。なぜ彼はあんなことを行ったのか。動機や生い立ちは関係ない。やったことが事実だ。最後の警察官同士の会話はいらない。もったいない。
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無差別殺人事件の実況を見ているような感じ。淡々と進んでいって衝撃も何も無いけど刑事たちの現場を垣間見れた感じでそれなりに面白かった。
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厳しめ評価で2かな、と。 無差別殺人と、その後の立て篭もり。という設定による緊迫感はあるのだけど、それのみで、もう少し登場人物(この場合、渡瀬かな)の心理描写なんかがあると、深みがあったんじゃなかろうか。
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作品の題材になっているのは2008年6月8日に秋葉原で実際に起きた通り魔事件である。 けれど、作品の重きは犯人・高橋の心情ではなく、交渉人である渡瀬の交渉過程におかれている。 最後まで読み終えてもなお、作者である五十嵐さんの伝えたかったことがわからない。 いったいこの作品で何が言...
作品の題材になっているのは2008年6月8日に秋葉原で実際に起きた通り魔事件である。 けれど、作品の重きは犯人・高橋の心情ではなく、交渉人である渡瀬の交渉過程におかれている。 最後まで読み終えてもなお、作者である五十嵐さんの伝えたかったことがわからない。 いったいこの作品で何が言いたかったのか。 繰り返される高橋と渡瀬の交渉。同じことの繰り返しでページが埋まっていく。 もっと違った視点から書けなかったものだろうか。 唯一、「なるほど」と思ったのはタイトルのみ。 「誰でもよかった」。 犯人にも警察側にも、その誰かを大切に思う人たちがいる・・・とは考えていない。 あくまで「命のある人間」がターゲットならばそれだけで条件に当てはまった。 性別も年齢も、職業も、すべては関係ない。 「誰でもよかった」のだから。 読んだ!!という充実感もなく、後味の悪い作品だった。 五十嵐さんの作品はよく読むので、本当に残念な気がした。
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