鹿の王(上) の商品レビュー
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上橋先生特有の、文化、風習など世界観が綿密に練られており、実在するどこかの時代、どこかの国の年代記を読んでいるような気になる。 ネットのレビューを読んでいて思ったが、 確かに万人受けするというか、読みやすいのは精霊の守り人や獣の奏者かなと思った。 それに比べると内容が重めだと思う。 元々先生は子供向け、大人向けとしてわけて書いておられないということだから当然なのだが 敢えて分類するのならば、これは比較的大人向けのファンタジーだと思う。 たとえばトールキンの指輪が原子爆弾の比喩であると思う人がいたように 思わずこの物語の中に描かれている様々な問題と、現実に溢れている様々な問題とを重ねあわせ あのことではないのかと思わず思ってしまう人もいるのではないか。 それが、気を殺がれるとかマニアックだと感じる向きには ちょっと向かない内容なのかもしれない。 よくある『子供用』の物語のような善悪に分けられた書き方ではなく それぞれの思想や立場があり 民族の習慣や動物の習性、病や免疫などについて 非常に論理的でリアリティがあり、 繰り返しになるがノンフィクションを読んでいるような気持ちになる。 独角の頭であったヴァンにとって ユナが救いになっていることが嬉しく 飛鹿をきっかけにしてまた居場所を見つけられた彼の 幸せを祈らずにはいられない。 どうか奪われないようにとドキドキしながら読んでいる。 読み終えて本を閉じたときに、表紙の美しさ 飛鹿の神々しさに改めて魅せられた。
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ファンタジーはあまり得意ではないけれど、頑張って読み進むと勢いがついてきた感じ。なかなか面白く読みました。 複雑な政治構造や支配関係や人間模様は大まかに理解しつつどんどん読んでいくに限ります。 一応医療関係者の一人として、西洋医学と東洋医学の考え方の違い云々は、こういう感じでとら...
ファンタジーはあまり得意ではないけれど、頑張って読み進むと勢いがついてきた感じ。なかなか面白く読みました。 複雑な政治構造や支配関係や人間模様は大まかに理解しつつどんどん読んでいくに限ります。 一応医療関係者の一人として、西洋医学と東洋医学の考え方の違い云々は、こういう感じでとらえられているのかな~と参考になりました。
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ヴァンとホッサルの物語の幕開け。 医療・政治・冒険の3つが織り込まれていてとても深い。登場人物や地方・民の名前が少し覚えづらいかなぁ。 上に関しては多くの伏線が張られていて本当に物語の導入部分の印象。
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故郷を侵略者から守るため戦ったが、囚われ奴隷として岩塩鉱でこき使われていたヴァン。 ある夜、犬の一群が岩塩鉱を襲い、致死率の高い病(黒狼病)を広げていく。辛うじて生き残ったのはヴァンと幼子ユナ。 犬に噛まれ、自らの体の変化に戸惑いながらも岩塩鉱から逃げ出す。 「逃亡囚」として、また「病から生還したもの」という価値により追われるヴァンは、森で一人の男を助け、その男の集落で暮らすことになる。 高名な医師の祖父を持つホッサルは自らも医師として、黒狼病に立ち向かうべく新薬や予防薬を開発せんと日夜奮闘するが、いつしか政争にも巻き込まれていく。 地名とか人物名とかがややこしいのに、さらに国々の微妙な力関係を理解して読むのが大変だった。 宗教観、それによる生死観、価値観が違うと対立が生まれる構図が人間らしくて痛ましい。
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面白い。 2つのはなしが同時進行しているで今後の二人の主人公のこれからが気になります。 とくにヴァンの身体の中で起こっていることが、とても気になる。 下巻につづく。
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久しぶりの上橋作品。今回の作品でその魅力を考えてみました。 ・各集団(民族・部族・階級)の事情、個人の感情が共に描かれてしている。 ・他者・他民族との接触による軋轢と衝突により生まれるものへの発見がある。 ・目線が優しく人物を意地悪に描いていない。一面的な人物像で描く人は限定して...
久しぶりの上橋作品。今回の作品でその魅力を考えてみました。 ・各集団(民族・部族・階級)の事情、個人の感情が共に描かれてしている。 ・他者・他民族との接触による軋轢と衝突により生まれるものへの発見がある。 ・目線が優しく人物を意地悪に描いていない。一面的な人物像で描く人は限定しており、多くの登場人物の背景を丁寧に伝えてくれている。 どうでしょう。うなづいていただけますか。
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面白いんだけど、話がすっきりとしない。 伏線が途中で切られているので、少しだけストレスを感じる。個人的には期待をして読んでいた分、ハードルを上げ過ぎていたのかもしれない。
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【図書館本】元々気になっていたのを、本屋大賞1位を機に。 厚さを感じさせることなくスルスルと読めた。軸が2本あるが、最終的にどう交わっていくかが楽しみ。なかなか(固有)名詞が入ってこなくて飲み下すのが大変。テーマが難しい割に、理解しやすく書かれているのでストーリーには入りやすい。...
【図書館本】元々気になっていたのを、本屋大賞1位を機に。 厚さを感じさせることなくスルスルと読めた。軸が2本あるが、最終的にどう交わっていくかが楽しみ。なかなか(固有)名詞が入ってこなくて飲み下すのが大変。テーマが難しい割に、理解しやすく書かれているのでストーリーには入りやすい。 自然や食事風景など目の前に浮かぶよう。こんな表現力を身に付けたい。
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2014本屋大賞第1位 ファンタジー的なものは好みではない。 でも、医学的解説は興味あり。 下巻に期待。
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はじめは登場人物名や用語が漢字・カタカナ入り乱れて読み辛かったです。 メモして読み始めたのですが、そのうちにそれがどうってことのないくらい続きに引き込まれていきました。
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