ココロ・ファインダ の商品レビュー
高校の写真部に所属する女子4人の悩みや葛藤を描く青春モノ。 4つの短編から成り、それぞれの視点で描かれている。 こういう形式はいいね。各自の視点になってはじめて分かることが あるから読むのが楽しいし、考えさせられる。 どんなに仲が良い友達でも、相手が心の奥底で考えていることや 悩...
高校の写真部に所属する女子4人の悩みや葛藤を描く青春モノ。 4つの短編から成り、それぞれの視点で描かれている。 こういう形式はいいね。各自の視点になってはじめて分かることが あるから読むのが楽しいし、考えさせられる。 どんなに仲が良い友達でも、相手が心の奥底で考えていることや 悩んでいること、気にしていることが全部分かるわけじゃない。 全体の構成や情景描写、カメラ(写真部)という題材はとても 良かったんだけど、肝心の人物たちがどうもイマイチに感じた。 なんかうまく感情移入できなかったんだよね。 他の小説では女性視点でも我が事のように感じながら読めるので 自分が男だからというのは理由じゃないと思うんだが。 悩みや葛藤を自分で重くしているような主人公たちと、 それが解消するに至るきっかけ・経過のあっさり具合が バランスを悪くさせているのかも。
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写真部に所属する4人の女子高生と彼女たちにまつわる小さな謎を描いた連作短編ミステリ。 作中に登場する女子高生の描き方がとても絶妙だと思います。それぞれが絶対に純粋な少女というわけでもなく、友人の容姿をうらやましく思っていたり、クラスのいじめやそれを止められない自分に悩んだり...
写真部に所属する4人の女子高生と彼女たちにまつわる小さな謎を描いた連作短編ミステリ。 作中に登場する女子高生の描き方がとても絶妙だと思います。それぞれが絶対に純粋な少女というわけでもなく、友人の容姿をうらやましく思っていたり、クラスのいじめやそれを止められない自分に悩んだり、友人関係、進学、自分の存在意義…、純粋すぎず、ドロドロすぎず、あくまで等身大の女子高生たちの姿を描こうとしているのが、とてもよかったです。 そして、そうした少女たちの本当の姿を描くために日常のミステリという手段を使っているのも好印象でした。それぞれの謎は、 なぜ突然写真部に友人は来なくなったのか(コンプレックス・フィルタ)、学校の壁ばかり撮られた写真のデータの謎(ピンホール・キャッチ)、告白してきた男子をビンタした女の子、その理由は(ツインレンズ・パララックス)、展示写真をコピー写真とすり替えられた理由(ペンタプリズム・コントラスト)。 こうしたそれぞれの小さな謎が彼女たち自身が見失った等身大の自分を見つけるための謎としてしっかりと話と結びついています。 そしてこの小説を成立させるうえでもう一つ重要な要素となっているのがカメラ。作中の彼女たちはカメラによって救われたり、あるいは傷つけられてしまうこともあります。しかしたとえ傷ついても、そこからの成長をしっかりと描いている、だからこの作品に出てくる少女たちがとても愛おしくも思えました。
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