うつの医療人類学 の商品レビュー
タイトルにある「医療人類学」とは聞き慣れない学問だが、近代医学を文化体系として捉え、医師の持つ前提や常識を明らかにするもののようだ。それによって、近代医療のもつ人間観や世界観を描き出すのが研究領域の一つらしい。 なるほど、たしかに本著は「うつ」に関する語りの変遷をひもどいたり、...
タイトルにある「医療人類学」とは聞き慣れない学問だが、近代医学を文化体系として捉え、医師の持つ前提や常識を明らかにするもののようだ。それによって、近代医療のもつ人間観や世界観を描き出すのが研究領域の一つらしい。 なるほど、たしかに本著は「うつ」に関する語りの変遷をひもどいたり、認知療法と薬物療法の狭間で悩む治療者の姿を描き出したりすることで、いまのうつ病治療という文化体系を相対化することに成功している。その意味でとてもスリリングだ。 ただ、ぼく自体が軽いうつで通院中だ。治療行為をメタな視点で見るような本著を読むことが、寛解に良くないのではないかと感じて、半分くらいで読むのをストップした。とても残念だ。うつにかかってない人は、ぜひ読んでほしいな。
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反精神医学運動に関わったレインの自伝を読んだ後に読んだので、深く読み込めた。とても刺激的な論考。 バイオロジカルな疾患か、心因的な疾患か。遺伝か環境か。結論は出そうにないけど、最近の働き方改革を思うに、労働科学の章は特に興味深かった。うつのスティグマ化について、より詳しい内容を知...
反精神医学運動に関わったレインの自伝を読んだ後に読んだので、深く読み込めた。とても刺激的な論考。 バイオロジカルな疾患か、心因的な疾患か。遺伝か環境か。結論は出そうにないけど、最近の働き方改革を思うに、労働科学の章は特に興味深かった。うつのスティグマ化について、より詳しい内容を知りたい。
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烏兎の庭 第六部 7.7.19 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto06/doc/JNK.html
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精神科医療内部ではなく、「医療人類学者」による外部から見た精神医療、特にうつ病の日本での状況についての一種のルポのような著書。少し臨床現場とのズレがある感覚もあるように前半部分では読めたが、わが国での「うつ病」概念が歴史的にどの様に変遷してきたか、そして欧米との差異、特にジェンダ...
精神科医療内部ではなく、「医療人類学者」による外部から見た精神医療、特にうつ病の日本での状況についての一種のルポのような著書。少し臨床現場とのズレがある感覚もあるように前半部分では読めたが、わが国での「うつ病」概念が歴史的にどの様に変遷してきたか、そして欧米との差異、特にジェンダーについての差異について述べられた上で、社会因としての「労働科学」の論考に至る。過労自殺の裁判を通じて、普段から私自身も感じていることを「これまで法的なうつ病モデルと臨床的うつ病モデルの齟齬についての議論は尽くされず、そのため、社会因に対する理解が進む一方で、病に陥る個人に関しての臨床知が抜け落ちてしまっている」と明確に述べている。そして最後に「精神科臨床の面白さは、定式化、標準化された普遍的モデルをいくら志向しようとも、混沌とした現実がつねにそれに抗い、その矛盾から、新たな臨床知が生まれるというそのダイナミズムにある」というDSMやストレスチェックに対する楽観的希望論が語られる。人類学というのは社会学なのか、文章も読ませる本で、一気読みしてしまった。
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いつもながら刺激的な論考。この人の日本語で公刊されたものは概ね読んでると思うが、なんとなく盤石と思っている足場を相対化するのに有効。むしろ同業者にお勧めしたい。
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