「知」の読書術 の商品レビュー
教養の塊のような著者による読書ガイド。 第一次大戦から始まった20世紀の課題は今も解決されていない、という意見は同感。資本主義の歪みを如何に緩和して帝国主義化を防ぐか、だと思う。 また、今の本から100年後も残る本を探し当てるのは難しい、読まれ続ける古典には普遍的な論理が宿ってい...
教養の塊のような著者による読書ガイド。 第一次大戦から始まった20世紀の課題は今も解決されていない、という意見は同感。資本主義の歪みを如何に緩和して帝国主義化を防ぐか、だと思う。 また、今の本から100年後も残る本を探し当てるのは難しい、読まれ続ける古典には普遍的な論理が宿っている、は納得。その理解の為にも、中高の教科書レベルの内容を押さえよう…
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実に耳の痛くなる話。『読書の技法』に続いて読んだ、著書2冊目の読書論。教養といえども、中高レヴェルの基礎を疎かにしてはいけないこと。それを、「受験勉強批判」と称して捨て去るのは、甚だ危険であると感じた。もう一度出直そう。
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2章の読書周りの話は、前に読んだ著者の別の本と内容が被ってるので感想は割愛する。 (教養共同体というキーワードは心に残った) この本の出版からさらに5年経っているが、今も「短い20世紀」の延長にあると感じる内容だった。 世界はどんどん右傾化し、中国はさらに帝国主義を強め、空洞化...
2章の読書周りの話は、前に読んだ著者の別の本と内容が被ってるので感想は割愛する。 (教養共同体というキーワードは心に残った) この本の出版からさらに5年経っているが、今も「短い20世紀」の延長にあると感じる内容だった。 世界はどんどん右傾化し、中国はさらに帝国主義を強め、空洞化した庶民はオンラインサロンという中間共同体に依存している。 一方で会社のような組織レベルでは、資本主義社会の問題に対する解を見出しつつあるように思う。 ティール組織は労働者を交換可能な合理的存在として見ずに、非合理な存在として見ているともいえる。 あらゆる分野が多面的に絡み合っているため、今後も雑食的に読書をしていきたい。
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著者らしい読書の考え方と選書の数々。 最初の歴史問題から入っている時点で若干めげるけど後半は興味深い内容。 ネットでの情報ソースが一般人とは少し違う。
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"今の時代、世界を俯瞰して眺め、各国の動向を理解し、様々な文化を受容しつつ、育った国の歴史、背景を理解し語れる教養人になるための読書活用法。 電子書籍で購入する本は、すでに蔵書となっている本で、頻繁に読み返したいような2冊目の本にしなさいとのアドバイスはなるほどと思った...
"今の時代、世界を俯瞰して眺め、各国の動向を理解し、様々な文化を受容しつつ、育った国の歴史、背景を理解し語れる教養人になるための読書活用法。 電子書籍で購入する本は、すでに蔵書となっている本で、頻繁に読み返したいような2冊目の本にしなさいとのアドバイスはなるほどと思った。 岩波の世界歴史 松岡正剛さんの千夜千冊 は手元にあるが、引っ越しした時の段ボールの中。 早く広げたいが、そのスペースを作れずに今日に至る。"
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現在の世界情勢を広い視点で見直すのに、本書の第一部は的確な視座を与えてくれる。他の部分も深い教養を養うのに不可欠な知識である。
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時代を読み解く力を身に着ける為の読書術を紹介する本。 対象読者は優秀な若者。 前半は中世~近代の歴史認識を正しくする方法について述べている。 参考になる本を取り上げながら、時代の区切り方や新自由主義から独裁傾向が強まる理由を解説している。 麻生太郎や安倍晋三に見られる立場を超え...
時代を読み解く力を身に着ける為の読書術を紹介する本。 対象読者は優秀な若者。 前半は中世~近代の歴史認識を正しくする方法について述べている。 参考になる本を取り上げながら、時代の区切り方や新自由主義から独裁傾向が強まる理由を解説している。 麻生太郎や安倍晋三に見られる立場を超えた思い通りに事を運ぼうとする反知性主義も紹介されている。 興味深いのは「独裁政権の作り方」の様な本が紹介されていて、日本を含め世界各国で独裁や王政に近づいているという事実。 後半は読書に関するツールの使い方について。 電子書籍、インターネット、英語教材、リアル書店を取り上げている。 情報が氾濫しているので、良い知識を身に着けるには古典や、高校の日本史・世界史・公民を読むこと。 その上でリアル書店に足を運び、書店員の知識の恩恵を受け、良い知識を身に着ける。 ウィキペディアなどインターネットの情報は質が悪いので頼らないこと。 平易な文章で分かりやすく語られているが、常に政治や世界に関心を寄せる高い視点に立脚しており、ついて行けない部分も感じた。 世界の政情をハッキリと理解したい人におススメです。
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トレルチから学ぶべきは「単純な理論で時代を見ると、時代認識を誤ってしまう」ということです。近代を理解したいなら、近代を構成要素に分解し、その要素の一つひとつについて、それが近代のなかでどのような形をとっているか、また生の全体および全体の精神にどのような作用を及ぼしているかを示さなければならないのです。(p.52)
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2014年刊行。 個人的にいえば、本書の肝となったのは、4章「反知性主義を超克せよ」と8章「現代に求められる知性とは何か」の2つである。 その他では、現代社会・国際情勢を読み解くための基礎タームたる「近代」、近代が生み出した帝国主義、危機の中での20世紀につき、著者推奨の古典的文献に基づき解読し、5章以下でこれらを修得する学習法を読書(電子書籍含む)、情報収集、語学に分けて解説する。 一読した印象としては、著者はやはり侮れないというものだ。①立憲主義(憲法は移り変わる権力を拘束し、個人の尊厳や人間の自由・権利を守るもの)に無知な昨今の政権。 ②反知性主義の横行。すなわち、無知とは異なるものの、客観性や実証性を軽視し自分が理解したいように世界を解釈する態度が横行している点に危惧を抱く著者。 加えて、③教科書の記述内容を軽視する風潮への危惧も同様だろうか。 この点、著者は古典文献と山川出版の「政治・経済」を対照していた。 他方、個人的に、山川の「新世界史」で、本書で問題とした帝国主義・ウェストファリア体制を調べたところ、古典文献を濃密に反映した内容だと了解できた。 以上のように、個人的に同感だなあと思う箇所が多々あり、値段の割に有意義な買い物だったとみなせる一書である。 ちなみに、麻生太郎氏のナチス関連発言に対しては、米国やヨーロッパにおけるユダヤ人ロビーの影響力、ヨーロッパ、ことに英仏のナチスへの感情的反感を無視していると感じられ、彼の外交的センスの欠如に関し、「みぞゆう」発言などとは比べ物にならない程、暗然とした記憶があるが、著者も同感だったようである。
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寝る前のフォトリーディング&起床後の高速リーディング。とても面白い。 近代が教会と国家を分離して始まり、民族自決から民主主義という宗教を経て、再びいま帝国主義が蘇っていると著者は指摘。なかなか深い考察で、単なる読書術の本ではなさそう。 また電子書籍の使い方についてはとても参考になる。でもその未来については私の考えとちょっと違い、電子書籍はそれほど普及しなさそうだと考えているようだ。 下記に付箋を貼った箇所の要約をのせる: 12-15:多くの本が(古典新刊どちらも)まだ電子書籍化していない。故に日本の電子書籍時代はまだ先。しかし電子書籍の利点を挙げると・・・: 1.電子書籍専用リーダーで本を大量に運べ、しかもネット断ちして読書ができる。 2.再読・流し読みに向いている。ちょっとの空き時間で気になる本を出して読める。 3.語学学習に向いている。 15:重要になってくるのは広い知識ではなく、深い知識。 44:ドイツの神学者トレルチが近代の初めと定義するのは1648年のウエストファリア条約。この条約は30年戦争(1618~、中世最大の犠牲者を出した戦争。宗教戦争。神聖ローマvsブルボン王朝・新教vs旧教。)の講和条約。 この時代より国家と教会が分離した。民族自決の初め。 104-105:電子書籍専用端末は自発光しないので目に比較的やさしい。感覚も神の本に近いので頭に入りやすい。 111:電子書籍は神の本より流し読みをしやすい。二冊目の購入に向いている。 118:質の高い本を深く、また繰り返し読めるのは、これからの教養人にとって電子書籍はアドバンテージになる。 132:高校の日本史や世界史の教科書を通読の後、「岩波講座 日本通史」や「岩波講座 世界史」を読む。こうした読書が基礎を強化する。 147:英文法はセンター試験の過去問で鍛える。その基礎が整ってから語彙を増やし、原本を読む。 154:これだけ玉石混交の出版物の中で、目を養うためには先ず古典を読むこと。 159-160:本は身銭を切って手元に置くべし。
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