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裏山の奇人 野にたゆたう博物学 の商品レビュー

4.6

14件のお客様レビュー

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2020/12/28

傑作。後半になるにつれて文章がノッてくる。昆虫についての記述も面白いが、真顔で入れてくるギャグ、著者の私生活や信念がたまらなく楽しい。このあとどうなったのか続きが読みたくて仕方ない。

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2019/09/24

著者の子ども時代、すげえなあ。小さい時から虫に取りつかれている。こうでなくっちゃ、虫博士にはなれんよなあ。虫についての著者の奮闘、すさまじく面白い。はああ、って感心、茫然って感じ。内容、豊富で濃密、すごいよすごいよ。日本学術振興会のお仕事の後の勤め先が見つかることを祈っています。

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2019/06/04

アウトドアマンや猟師、隠遁者を描いた話が好きなので、タイトルに惹かれて手に取る。 本を開いたら、口絵にいきなり「シジュウカラの雛に寄生するハエ」とかの写真が出て来て、あ、やっちまった(いけない本を開いてしまった)・・・と思ったのが第一印象。 著者は昆虫学者(博物学者)で、「ア...

アウトドアマンや猟師、隠遁者を描いた話が好きなので、タイトルに惹かれて手に取る。 本を開いたら、口絵にいきなり「シジュウカラの雛に寄生するハエ」とかの写真が出て来て、あ、やっちまった(いけない本を開いてしまった)・・・と思ったのが第一印象。 著者は昆虫学者(博物学者)で、「アリヅカコオロギ」を中心に、日本の裏山にいるような(と言うとありふれたつまらないものと最初は思うわけで)虫たちの生態や苦心の発見譚をめんめんと綴る。学術書ともエッセイ集ともつかない。まさに裏山の奇人(著者自身のこと)の書である。 学名や詳細な参考文献リストが載った本でありながら、「どういうことですかバアサン」とか「マルヤマ? 誰だそいつ(と共同研究者をつかまえて言う)」とか「虫採りの楽しさを知らない人間には、逆立ちしたって一生わかるまい」とかざっくばらんな表現が躍っていて、サイコーに楽しかった。 研究者になる(である)ためには、そのテーマが三度の飯より好き、ってのがないとダメなんだろうなあというのがサイコーに伝わってくる。ところどころに登場する「美少女ゲーム」より好きかどうかはともかく。 「アリヅカコオロギ」に関心がなくても、最後まで一気に読ませられた本であった。

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2016/09/19

http://blog.livedoor.jp/masahino123/archives/65892841.html

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2016/06/30

☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB16359550

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2016/02/05

アリヅカコウロギ、ミヤマアメイロケアリ等々、聞き慣れないけれど気になる名前が続々登場。 虫を愛する著者の研究者魂に惹きつけられました。 三十路を過ぎた著者が親や親戚から「お前は将来何になるんだ」と言われ続け、「そんな遊び(研究のこと)はさっさとやめて、サラリーマンにでもなれや」...

アリヅカコウロギ、ミヤマアメイロケアリ等々、聞き慣れないけれど気になる名前が続々登場。 虫を愛する著者の研究者魂に惹きつけられました。 三十路を過ぎた著者が親や親戚から「お前は将来何になるんだ」と言われ続け、「そんな遊び(研究のこと)はさっさとやめて、サラリーマンにでもなれや」と入れることについて、「それでは幼少のころからあなたがた大人たちから偉くなって好きなことをして生きたいなら勉強しろと言われてきた人生が報われない」述べている。本当にその通り。 実用が重視される昨今の研究現場ですが、実用よりも興味で進めるフィールド研究の魅力が伝わってくる本でした。

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2015/12/25

【新着図書紹介】学生さんからリクエストのあった本です。 http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=TB10075840&key=B1...

【新着図書紹介】学生さんからリクエストのあった本です。 http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=TB10075840&key=B145102111405576&start=1&srmode=0 図書館においてほしい本は、MyLibraryからリクエストできますよ。MyLibrary → https://lib.s.kaiyodai.ac.jp/myopac/

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2015/08/31

いやー,面白い本だった。 著者は,「好蟻性昆虫」を主な研究対象としているようだけど,本書の題材は,その研究に付随しながら,著者の好奇心のおもむくまま,もっと多岐にわたる。 で,そんなマイナーな研究をちびちびとやっている話かというと,そうじゃない。 文章が上手だからなのか,「研究が...

いやー,面白い本だった。 著者は,「好蟻性昆虫」を主な研究対象としているようだけど,本書の題材は,その研究に付随しながら,著者の好奇心のおもむくまま,もっと多岐にわたる。 で,そんなマイナーな研究をちびちびとやっている話かというと,そうじゃない。 文章が上手だからなのか,「研究が大好きだ」と言うことが伝わるのからなのかは知らないが,この極めてピンポイントでしかない話題を,たのしくドキドキしながら読ませる力がある。 文章力があるんだろうなあと思う。研究者然としない文体は,とても好感が持てて,「おれも研究者になりたかったなあ」って思ったりもした。 著者の小さい頃を知っている知り合いの話では,その頃から「研究者にでもなるんかな」と思っていたというから,こりゃ,本物だ。 「私が,私の知識欲を満たしたくてやるのだから,そして何より,そうした研究のなかにこそ科学という言葉の本来持つ重みが隠されていると,私は思うのである。(p.262)」 いい言葉だ。

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2015/01/30

 アリに寄生する「好蟻性生物」を専門とする昆虫研究者であり、自らを「奇人」と称する著者による、ファーブルならぬ奇人昆虫記。著者がこの仕事につくキッカケとなったアリヅカコオロギとの出会い(2歳のとき!)から、現在に至る研究の成果を紀行文風にまとめた。  本書で語られる事例の多くは、...

 アリに寄生する「好蟻性生物」を専門とする昆虫研究者であり、自らを「奇人」と称する著者による、ファーブルならぬ奇人昆虫記。著者がこの仕事につくキッカケとなったアリヅカコオロギとの出会い(2歳のとき!)から、現在に至る研究の成果を紀行文風にまとめた。  本書で語られる事例の多くは、この奇人(著者)の才能と努力によって初めて世界に紹介されるものばかりだ。「わからないことを、わかりたい」という強い好奇心を持ち、凡人には真似のできない辛抱強さと観察眼で、著者はこれまでにいくつもの新種を発見している。そして興味深いことに、その多くはアマゾンやアジアなどの熱帯雨林ではなく、身近な裏山で発見されているのだ。  授業の合間に、著者は常に大学の裏山にいたという。彼にとっての学校は「信州大学なのか裏山なのかわからなくなるくらいだった」。そして今も、「裏山は、まだ我々の知り得ないものを隠し続けている」。

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2022/06/01

生き物本の面白さは人だ、と常々言い続けているが、タイトルまで「奇人」である本書はその点を極めている。 けれど、多くの生き物本著者は、その暴走っぷりを、いわば「SNSに載せるため」的なリア充変人だった。本書は違う。著者には、生き物しか、いなかったのだ。だから、その両方が濃密である...

生き物本の面白さは人だ、と常々言い続けているが、タイトルまで「奇人」である本書はその点を極めている。 けれど、多くの生き物本著者は、その暴走っぷりを、いわば「SNSに載せるため」的なリア充変人だった。本書は違う。著者には、生き物しか、いなかったのだ。だから、その両方が濃密である。 かのブッチギッた名著「アリの巣の生き物図鑑」の共著者である、と言えば、わかるひとにはわかるだろう。 人と、人の周辺を描くのが文学だとすれば、この本は文学作品でもあろう。生き物と人のどちらも好きな僕にとって、この上ない娯楽に満ちた本である。生き物と人、本が娯楽、それぞれ異論もあるだろう。だがいいのだ。 どうしよう、どこを何度読んでも愉しい。

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