月の裏側 日本文化への視覚 の商品レビュー
クロード・レヴィ=ストロースの日本への造詣の深さと愛着がわかる小論集。 父親が画家だったとのことで、子どもの頃に試験の出来が良いと日本の浮世絵を1枚づつもらったと嬉しそうに述懐していたのと、米寿の折に次男から贈られた日本製の炊飯器で炊いたご飯と焼き海苔が朝食に欠かせなかったとのこ...
クロード・レヴィ=ストロースの日本への造詣の深さと愛着がわかる小論集。 父親が画家だったとのことで、子どもの頃に試験の出来が良いと日本の浮世絵を1枚づつもらったと嬉しそうに述懐していたのと、米寿の折に次男から贈られた日本製の炊飯器で炊いたご飯と焼き海苔が朝食に欠かせなかったとのことで、お気に入りの「日本」の想いがよくわかる編集となっている。 文化人類学者の観点からの日仏比較論としては、かつてフロイスやチェンバレンの指摘したのと同じ、道具や所作の真逆性の論点がなかなか興味深い。(鋸の使い方や針と糸の使い方など実際は誤解が多いようではあるが・・・)文化の多様性と、それまで自らが属した文明の相対化と再認識を力説することで、文化の原点と拠り所を浮き彫りにさせる効果を果たしていると思われる。 また、「因幡の白ウサギ」や「天岩戸」神話を題材に、遠くアメリカ大陸や古代エジプトに伝えられた「物語」との同質性を論じる論考では、神話の原点と拡散、そして違いを検討した上で、世界規模での「日本神話」の位置付けを提起するとともに、日本文化は中国や朝鮮半島、そして近代西洋文化の影響を強く受けながらも取捨選択と洗練という独創性を経た上で、欧米等に「日本文化」として再流入していると指摘し、世界観点での「日本」の相対化を論ずる眼差しも面白かった。 クロード・レヴィ=ストロースは招聘により何度も来日されていて、何週間にもわたるフィールド調査にも参加されており、自分の地域の近くだと能登半島にも行っておられるとのことで、そこまでの「愛着」があったとは意外でした。20世紀後半をリードした思想界の巨人ではありましたが、やはり根は人類学者ということでこういうのが好きだったんですね。(笑) ところで余談ながら最初に収録されている講演録(1988年)に出てくる「宮城県での最近の発掘によって、四万年前から五万年前のものとされる石器の一群が見つかり」と言っているのはもしかすると例のあれですかね?知の巨人まで惑わすとはホント罪深い奴っちゃなー!
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2014/12/16図書館から借りてきた。 「世界における日本文化の位置」 日本文化は、東洋に対しても、西洋に対しても、一線を画しています。日本文化は東洋に社会的健康の模範を、西洋には精神的健康の模範を提供している。今度は借り手の側になったこれらの国々に、日本は教訓を与えなければ...
2014/12/16図書館から借りてきた。 「世界における日本文化の位置」 日本文化は、東洋に対しても、西洋に対しても、一線を画しています。日本文化は東洋に社会的健康の模範を、西洋には精神的健康の模範を提供している。今度は借り手の側になったこれらの国々に、日本は教訓を与えなければならない。 「月の隠れた面」
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