月の裏側 日本文化への視覚 の商品レビュー
文化人類学の大家、レヴィ=ストロース氏の日本文化に関する論評を編纂した本です。 学校で教えられるようなエジプト、ローマ、ギリシャ以来の世界史と対比して、文献などがない古代日本やアメリカ先住民の歴史を「月の裏側」と比喩し、本書のタイトルとなっています。少し日本文化を褒め過ぎな気も...
文化人類学の大家、レヴィ=ストロース氏の日本文化に関する論評を編纂した本です。 学校で教えられるようなエジプト、ローマ、ギリシャ以来の世界史と対比して、文献などがない古代日本やアメリカ先住民の歴史を「月の裏側」と比喩し、本書のタイトルとなっています。少し日本文化を褒め過ぎな気もしましたが、禅や武士道なんかのよく取り扱われる題材ではなく、古事記や日本書紀などの神話について、アメリカ先住民の神話などと比較して深く考察している点が非常に興味深かったです。 著者の意見がどれだけ的を得ているかは判断つかないですが、神話の考察を読んだことで縄文文化への興味は間違いなく深まりました。ゲノム解析で明らかになった人類の足跡を紹介する「種の起源」という本によれば、平均的な日本人のゲノムを周辺諸国と比較すると、縄文人の遺伝子が日本人と周辺諸国の集団との遺伝的距離を大きくしているそうです。この点から、日本文化の独自性を考える際には、縄文文化を知ることが非常に重要なのではと思います。 (浅学なため、偉そうに論じれませんが、)古事記や日本書紀には、渡来系の征服者たちが取り込んだ、縄文時代から伝わる神話や伝承が一部織り込まれていると考えており、これらの神話がアメリカ先住民や東南アジアの島嶼部の神話と共通点を持つことを知り、大変興味深く感じました。
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「月の裏側」なんとも魅力的なタイトルである。 レヴィ=ストロースといえば構造主義を生み出した文化人類学者で、構造主義といえば学生の頃、浅田彰のポスト構造主義とか中沢新一だとかがベストセラーになって、ペダンティックだった学生たちはこぞって読む。よくわかんないけど読む。そう、で構造...
「月の裏側」なんとも魅力的なタイトルである。 レヴィ=ストロースといえば構造主義を生み出した文化人類学者で、構造主義といえば学生の頃、浅田彰のポスト構造主義とか中沢新一だとかがベストセラーになって、ペダンティックだった学生たちはこぞって読む。よくわかんないけど読む。そう、で構造主義とは現象を分析するとき、目に見えるものを比べるのではなくその背景にあるものの構造を見極める姿勢を指す。サルトルの実存主義と対立する考え方だ。ヨーロッパがなんでも進んでて正しくて偉いという考え方に真っ向から反対した。 「月の裏側」は日本文化への視覚とサブタイトルにあるように、日本文化を語る。日本の神話がどこから来てどこへ流れていったのか、日本とヨーロッパの文化が時にあべこべであること、日本の芸術、浮世絵。世界に比較するものがない縄文文明のオリジナリティ。 そして、日本は世界で唯一独自の文化を忘れずに「科学技術がもたらした変革との狭間である種の均衡を見出すのに成功してきた」 20世紀、世界の中心と勘違いしてアイデンティティが崩壊したヨーロッパと文化的に反対側、月の裏側にある日本こそが重要な鍵を握るという示唆。 ハイブリッドして過去を捨てず新しいモノを創り出していく独自性を日本人は大切にしていきたいもんですね
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レヴィ=ストロースから見た日本文化論。ユーラシア大陸の西端のフランスと東端の日本を比較して、神話の共通項などを語りつつ、鋸やろくろの使い方など日本の独自性を強調する。 民俗学、社会人類学の大家に日本を褒められて悪い気はしないが、やや思い込みがあるかもと感じた。
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西洋人は遠心的自我を持つ 東洋人は自我を消滅させようとする 日本人は求心的自我を持つ。 日本人は置かれた状況のために行動する。 自分で選んだわけでも望んだわけでもないことに責任を取ろうとする。 ということか? この思想をレヴィストロースは肯定的にとらえているようだ。 「人々...
西洋人は遠心的自我を持つ 東洋人は自我を消滅させようとする 日本人は求心的自我を持つ。 日本人は置かれた状況のために行動する。 自分で選んだわけでも望んだわけでもないことに責任を取ろうとする。 ということか? この思想をレヴィストロースは肯定的にとらえているようだ。 「人々が常に役に立とうとしている。どんなにつつましい地位の人でも。 それでいて寛いだ感じでそれを行おうとする人間性」
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レヴィ・ストロース 月の裏側 読了 基本的に日本人が日本を讃える類の本は、バカになるので読まないけども、外国人のものなら、ときどき読もうかな、と思うときもある この本も、レヴィ・ストロースとはいえ、帯が日本人ってやっぱり素敵なんだよね!的雰囲気を出してたので、編集に怪しさを感...
レヴィ・ストロース 月の裏側 読了 基本的に日本人が日本を讃える類の本は、バカになるので読まないけども、外国人のものなら、ときどき読もうかな、と思うときもある この本も、レヴィ・ストロースとはいえ、帯が日本人ってやっぱり素敵なんだよね!的雰囲気を出してたので、編集に怪しさを感じて遠ざけてましたが、なんかのところで、レヴィ・ストロースが日本好きだったののを思い出させる記事に出会って、ちょっと日本を自問してる昨今、そういえば何て言ってたんだっけ、すげー気になる、と思って手に取ってみた 日本を自問するうえで、少しだけテーマになってるジャポニスムにまで繋がってたのは意外だったけども、構造主義的観察の対象として日本をみる視点は参考になりつつ、基本的に薄い本なので内容もそんなに深まらない。日本語も話せない自分に日本を語る資格はない、という自覚のもと、かなり控えてもいる。 そして、このなかで、僕なりの日本的方法というのを、発見してしまった。 レヴィ・ストロースは一瞬言ってるだけだけども、これが今の日本的独創性と言われてるもののもつ論理的正しさの割にかなり胡散臭さがある部分を、ネガ像にしてしまって、胡散臭くない実際に近いポジ像的方法なんじゃないか!!と思ってる。 ちょっと深めていきたい。
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私はまだ人類学とかそういうのに疎くて、でもなんだかこの人の言っていることが面白くて、読んでいるのだけれど、 たまに「この人の言っていることは、持論を展開させるためのこじつけだろうか。」と思ってしまうことがある。 それはもちろん、私がまだよく理解していないまま読み進めているか...
私はまだ人類学とかそういうのに疎くて、でもなんだかこの人の言っていることが面白くて、読んでいるのだけれど、 たまに「この人の言っていることは、持論を展開させるためのこじつけだろうか。」と思ってしまうことがある。 それはもちろん、私がまだよく理解していないまま読み進めているからであって、それが自分なりに理解できるようなところまで行けたらいいな、と思う。 だから疑問点とか、書いておこう。 思うんだけど、とある神話の内容について言及している時、(そこがこじつけのようにも思える、となった部分でもあるのだけど)各地に点在している神話やら民話を例に挙げていて、その共通点やら類似点を挙げている部分。 そういうことができるのはつまり、世界各国少数民族、部族を含めすべての神話なり民話を網羅した上で、その類似個所についてあげるのであれば、それは全体の中の類似点としてそれをどういう立ち位置で見ればよいかを理解することができるのだけれど、多分この人がやってるのはそういうんじゃないんだよねぇ? 「自分の調べた中で」(もちろんそれはきっと途方なまでに膨大で深遠なものなのだということは承知の上で)この類似点についてはこういうことが言える、というような関係性とか機能を説明する小さな説明書を作っている、という感じなのかなぁ?でもそれは最終的にどこへ向かっていくんだろう? という私の考え方そのものが、彼の築いている思考回路をまだ理解していない既存の古いものの使いまわしなんだろうか。 「構造主義」というものがまだ私には見えてない状態なのかもしれない。 ということを考えながら次に進んでいきたいと思う。
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異文化間の神話に共通項を見いだそうとする牽強付会な姿勢こそが、アンチ野生の思考じゃないのかと思うのだが、どうだろう。 記紀を神話のほぼ完全な状態というが、その編纂は古代において体制翼賛の工夫から生まれた国家プロジェクトであることを知るがゆえに、そんなにピュアなものに思えなかったり...
異文化間の神話に共通項を見いだそうとする牽強付会な姿勢こそが、アンチ野生の思考じゃないのかと思うのだが、どうだろう。 記紀を神話のほぼ完全な状態というが、その編纂は古代において体制翼賛の工夫から生まれた国家プロジェクトであることを知るがゆえに、そんなにピュアなものに思えなかったり。 日本の近代の出発点が革命や批判精神でなく復古だったことが述べられている。たぶんその辺りの理由で平安時代の書物に傾倒しているのかなと思う。でも、むしろ「もののあわれ」は宣長以降の近代的評価というか。日本人の日常的直感としては、網野善彦的な室町の子が馴染みやすい気がする。 西洋が断片的にしか野生的なものを引き継いでいない、たち返れない溝があるという喪失感が、異様なまでに日本という異世界を意識させている。現代の日本びいきな外国人の中にもきっとこの様に精神分析できる人が多いのでは。 日本から見れば西洋近代思想こそ、ギリシャ・ローマ、キリスト教、ゲルマン的思想などを統合した、西洋版野生的思考の総集編のように感じるが、当の中の人は意外とそれに疎外感があるのでしょう。
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ストロース氏の日本招待講演などの短文集で、古事記・日本書紀・源氏物語・日本の工芸や美術等をフランス・アメリカ・エジプトなどと比較解説している。日本の文化・芸術について、世界的視野からの重要性が理解できる。しかし、知識を有している人に語り掛ける形であり、私には表面的な理解に終わった...
ストロース氏の日本招待講演などの短文集で、古事記・日本書紀・源氏物語・日本の工芸や美術等をフランス・アメリカ・エジプトなどと比較解説している。日本の文化・芸術について、世界的視野からの重要性が理解できる。しかし、知識を有している人に語り掛ける形であり、私には表面的な理解に終わった。
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読了。図書館で借りた本。武田鉄也のラジオで紹介されていた。飛ばし読みして返却しようかと思ったが、熟読した。結構根気にいった。今すぐ役には立たないかもしれないが、なんかあるのではと思った。
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帯文:”20世紀後半の思想界をリードした知の巨人は、かくも深く日本を理解し、そして愛した” ”人類学者の眼差しが捉えた日本、日本人、日本文化” 目次:序文 川田順造、世界における日本文化の位置、月の隠れた面、因幡の白兎、シナ海のヘロドトス、仙厓 世界を甘受する芸術、異様を手なず...
帯文:”20世紀後半の思想界をリードした知の巨人は、かくも深く日本を理解し、そして愛した” ”人類学者の眼差しが捉えた日本、日本人、日本文化” 目次:序文 川田順造、世界における日本文化の位置、月の隠れた面、因幡の白兎、シナ海のヘロドトス、仙厓 世界を甘受する芸術、異様を手なずける、アメノウズメの淫らな踊り、知られざる東京、川田順造との対話、出典、著者紹介
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