窓から逃げた100歳老人 の商品レビュー
100歳の誕生日に老人ホームを脱走した男の珍道中。 100歳の現在の話の合間に100年分の思い出が年代順にはさまれる。 きれいに現在にたどりついて、気持ちよく読み終えられる。 アホで大げさでありえない、ほら吹き男爵やホームアローンのようなノリの明るいコメディ。 主人公は誕生祝い...
100歳の誕生日に老人ホームを脱走した男の珍道中。 100歳の現在の話の合間に100年分の思い出が年代順にはさまれる。 きれいに現在にたどりついて、気持ちよく読み終えられる。 アホで大げさでありえない、ほら吹き男爵やホームアローンのようなノリの明るいコメディ。 主人公は誕生祝いをされるなんて冗談じゃないとホームを抜け出し、チンピラのスーツケースをなんとなく奪い、行き当たりばったりに仲間を増やしながら逃走する。 逃走というか、旅かな。 これまでの人生も、目的地や野望があるわけではなく、なんとなく淡々と、なるように進んできた。 その「なるように」がすごいことになってる。 難しい本ではないけれど、一般常識レベルの現代史が頭に入っていた方が楽しめる。 20世紀の政治的重要人物がわらわらでてくる。 この場所と年号がなにを意味するのかぱっと出てこない自分の無知がもどかしい。 歴史に架空のキャラクターをからませる話は、主人公に花を持たせすぎて鼻白むことが多い。 この本がそうならずにすんでいるのは、物事に執着しない主人公の性格と、必ずしも成功するわけじゃない筋によるところが大きい。 私は原爆ネタを笑いたくないから、1945前後でやや不安になったが杞憂だった。 他の出来事もみんな、深入りせず軽視せずさらりと描かれる。 ザコキャラの笑える死も死としてカウントされる。 最後の一問一答も含めて、著者のものの見方が素敵だ。 訳文はひどい。雑で醜い。 本文を3ページ読んだ辺りで気になり始め、5ページでうんざりした。 うっかり下訳を印刷しちゃったのかと思うレベル。 『シルヴィーとブルーノ』は良かったのにどうしちゃったんだ。悲しい。 「ふと気づくと~気づいた」など、「~して~した」のつながりに注意が払われておらず、単語や慣用句の使い方もおかしい。 「やぶさかとしない」なんて言葉初めて見たよ。 スイカが次の行でメロンに変わっているところさえある。 終始こんなだから、ジューマン・ドルは米ドルだとしたら高すぎないか、警視の階級は高すぎないか、というような疑問がわいても、レートや文化を調べる前に訳が間違っているんだろうと片づけてしまった。 面白い小説だったけど、文章にイライラして「娯楽」にはなりきれなかった。 原書はスウェーデン語。 日本語版はフランス語版を読んでから英語版を底本としたらしい。 スウェーデン語を読めればいい本なんだと思う。 『ザ・ピルグリム』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4120036332をちょっと思い出す。 『シャングリラをあとにしてhttp://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4198615691』も、施設から脱出する年寄りの話という点で連想した。
Posted by
話題本ということで期待して読んだが挫折。時折みえる老人あるあるにはプッと笑えるが、全体的に読みづらい…。ストーリー自体はおもしろいので映像化したやつを気楽に観たい。文字では荷が重かった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
100歳の誕生日に老人ホームから逃げ出した男性がひょんなことからギャングの持つ大金をせしめ、追われるはめに。 幕間ではスターリンやトルーマン、宋美齢、金正日などと絡んできた主人公の半生が挿入される。 スウェーデンらしい(?)乾いた感じのホラ吹き小説という感じではあるが、過去と現在がほとんど関係ないのが二本の小話がごった煮になったようで読後感は今ひとつ。 翻訳はさすがの出来
Posted by
映画化されても大ヒットのベストセラーとのことで読んでみた。おじいちゃんやし。 はちゃめちゃで面白かった。映画観たいー!
Posted by
スウェーデン生まれの生涯孤独のアランが老人ホームで100歳の誕生日パーティ開催前にホームを逃げ出した。バス乗り場でちょっとしたトラブルを起こすが逃避行が始まり…アラン爺さんの生誕から老人ホームに入るまでの回顧録が面白く、人生なるようになるさ。の方針で世界を飛び回る人生になる。爆弾...
スウェーデン生まれの生涯孤独のアランが老人ホームで100歳の誕生日パーティ開催前にホームを逃げ出した。バス乗り場でちょっとしたトラブルを起こすが逃避行が始まり…アラン爺さんの生誕から老人ホームに入るまでの回顧録が面白く、人生なるようになるさ。の方針で世界を飛び回る人生になる。爆弾製作を図書館で学びそれを武器に世界の政治家達と繋がりを持つ人生になる。酒と食事とベッドがあれば満足の人生。10代で去勢されたせいか性欲の話題は出ない。全く死にそうにない爺さんだ。
Posted by
これは面白い。 世界の情勢とともに人は生きる。それが自分の人生に影響をどれくらい与えるかは、それとの関わり方によるのだ。人と人とのつながりが世界を形作る。 世界がこんなハチャメチャな男の生き様に左右されるなら、こんなに愉快なことはない。 訳者のあとがきに La plus perd...
これは面白い。 世界の情勢とともに人は生きる。それが自分の人生に影響をどれくらい与えるかは、それとの関わり方によるのだ。人と人とのつながりが世界を形作る。 世界がこんなハチャメチャな男の生き様に左右されるなら、こんなに愉快なことはない。 訳者のあとがきに La plus perdue de toutes les journees est celle ou l'on n'a pas ri.(もっとも無駄になった一日は笑うことのなかった日である) とある。 そう、生きるなら笑いながら生きたい。
Posted by
初読の感想。「こんなお爺ちゃん、…いや」 100歳と聞けば印象として、ちょっとカサカサしている、何事も達観、少しほのぼの、人生の先輩として時に箴言めいたセリフを吐く、といった感じだったのに、この主人公は正反対とは言わないまでも、私の超々高齢者のイメージから遠すぎる。 100...
初読の感想。「こんなお爺ちゃん、…いや」 100歳と聞けば印象として、ちょっとカサカサしている、何事も達観、少しほのぼの、人生の先輩として時に箴言めいたセリフを吐く、といった感じだったのに、この主人公は正反対とは言わないまでも、私の超々高齢者のイメージから遠すぎる。 100歳のくせして老人ホームから逃げ出しちゃったのはまぁよしとしよう、逃走中にギャングから大金奪っちゃうってのもよくあることだよね、見ず知らずの人たちを仲間として巻き込んで逃走するのも…許す(滅茶苦茶なことが起きすぎてほぼ思考停止)。 いやでも実は昔、爆弾のエキスパートで世界大戦、冷戦時代、朝鮮戦争時に活躍してたとなると、おいおいフォレスト・ガンプかよ、と突っ込みたくもなる。フォレスト・ガンプはいい人でピュアすぎて、だから実際すごく退屈で、個人的にはなんだそりゃって感じだったけど、この主人公は世界を股にかけて要所要所で派手に爆弾炸裂させて…。退屈している暇がない。 主人公のお爺ちゃんと2番目に高齢のお爺ちゃん(といっても30歳くらい年下だけど)の会話が年寄りだからなのか、キャラなのか、すっとぼけてていい味出してます。 ブラック~黒々したコメディが好きな人にとてもお勧め! (枯れセン、お爺ちゃん子はトラウマになるかも)
Posted by
見本いただきました。ホントは「ゲラ読んでくれる書店員募集」だったんだけど「ゲラって満員電車の中で読めないからプルーフないですか?」ってワガママぶつけたら「プルーフはないから見本できたら送ります」って神対応。 だから褒めるわけじゃないけど、これいいわ。100歳の老人が逃げ出した、っ...
見本いただきました。ホントは「ゲラ読んでくれる書店員募集」だったんだけど「ゲラって満員電車の中で読めないからプルーフないですか?」ってワガママぶつけたら「プルーフはないから見本できたら送ります」って神対応。 だから褒めるわけじゃないけど、これいいわ。100歳の老人が逃げ出した、って段階でほのぼの最後うるうるストーリーかと思ったら何だこれ?!若い頃の筒井康隆バリのドタバタ、しかも世界史オタクにはたまらない20世紀の歴史名場面集(じいちゃん、何でそこにいたし?!)。しかも外文単行本にしちゃ安いしマジおすすめ。史上最高齢脱力系ヒーローの活躍を見逃すな!
Posted by