銀の匙 の商品レビュー
なるほど、長らく読み継がれてきた本だとの思いを新たにした。 初版が大正元年(1912年)だ。 前編と後編に分かれていて前編が幼時から小学低学年、後編が高学年から17歳までの思い出といってしまうと平凡。 病弱な神経の過敏なひとりの男の子が成長していく姿。 銀の匙で薬をひと匙、ひ...
なるほど、長らく読み継がれてきた本だとの思いを新たにした。 初版が大正元年(1912年)だ。 前編と後編に分かれていて前編が幼時から小学低学年、後編が高学年から17歳までの思い出といってしまうと平凡。 病弱な神経の過敏なひとりの男の子が成長していく姿。 銀の匙で薬をひと匙、ひと匙ふくませるような文を通して語りかける子供の世界。 幼子の物語、世界であっても、ある普遍性を秘めている。 中勘助の独特の目でみたところのあまりにも、あまりのも鋭くとぎすまされた人生観がある。 昔(40年前)読んだ時は、遊びつかれた宵の月の美しさ、虫の声、など地の文にすける自然に心奪われた。しかし、今読み返してみるとここにも凝縮された社会性があるということがひたひたと心に響いてくる。 子供の目で見た子供の世界と夏目漱石が絶賛したというが、子供が虐待されているこの現代こそ、その謎解きをしてくれる本ではないかと思えたがうがち過ぎか。 ああ、でもなによりかによりきれいな気持ちになる本だ。
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読み慣れない言葉が沢山あって難儀したけれど間違いなく読んでよかった。 涼やかで美しい、冬の明け方みたいな本だと思った。 日常をこんな風に書き表すことができるんだなぁ
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自分のうちにあるものや、自分が感じたものの表現方法でこんなやり方があるのかと、ハッとするシーンが多い。
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2回目の読了。 文学の楽しさはその表現にあると気づかせてもらった本。 子ども達には中勘助さんのような色鮮やかな子ども時代を過ごさせてあげたい。 夢中になった経験は成長の礎になるはず。 ※ご本人は行きづらかったかもしれないが そして私は彼の叔母さんのように、心の安定となるくらい...
2回目の読了。 文学の楽しさはその表現にあると気づかせてもらった本。 子ども達には中勘助さんのような色鮮やかな子ども時代を過ごさせてあげたい。 夢中になった経験は成長の礎になるはず。 ※ご本人は行きづらかったかもしれないが そして私は彼の叔母さんのように、心の安定となるくらいに愛情を捧げて、子どもの気付きに子どもの目線できちんと耳を傾けられるような大人でいたいと思っている。。 しかし、私もあったな。夕方門限の間際に顔を真っ赤にして寸暇を惜しんで遊び倒していたことが…
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久しぶりに「味わう」小説に出会った。 言葉を味わい、文章を味わう。 樋口一葉のたけくらべを思い出した。 昔の遊びや迷信、唄などは、自分の世代がギリギリだろうな、とは思う。
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表紙が美しい。和紙のような手触りがいい。 漱石が「きれいだ」と称賛した文章は読みやすい。今と異なる生活の様子も目にうかぶよう。
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こんなに素直に自分の感覚を受け止められるのが羨ましい。目や耳など、どこから入ってきた情報でも全てを左脳に流し込んでしまう自分にとって、これほど羨ましいことはない。それと表現の優しさ。この本の要点をまとめることは、きっと出来ないような気がする。仮に出来ても、大事なことは何も伝わらな...
こんなに素直に自分の感覚を受け止められるのが羨ましい。目や耳など、どこから入ってきた情報でも全てを左脳に流し込んでしまう自分にとって、これほど羨ましいことはない。それと表現の優しさ。この本の要点をまとめることは、きっと出来ないような気がする。仮に出来ても、大事なことは何も伝わらないだろう。
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明治時代の子供達の生活がよくわかる小説。 何度も買っては読まずに放してしまった小説だったが、 美しい文章に今回大事に読むことができた。 老いさばらえた伯母との再会には、大変ジンとさせられた。
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この世界観が大好きで何度も読み返す。 昭和をまったく知らない世代にはなかなか想像し難いかもしれないけれど、こんなふうに育てられた子供が豊かな情緒をもち、味のある大人になるのだなと思う。 このような幼少期を過ごしたからこそ、『蜜蜂』他数々の名随筆が生まれたのだと思うと、中勘助を...
この世界観が大好きで何度も読み返す。 昭和をまったく知らない世代にはなかなか想像し難いかもしれないけれど、こんなふうに育てられた子供が豊かな情緒をもち、味のある大人になるのだなと思う。 このような幼少期を過ごしたからこそ、『蜜蜂』他数々の名随筆が生まれたのだと思うと、中勘助を育ててくれた伯母さんに感謝、感謝。。 日常の描写 微笑ましい光景 幼き日の中勘助が可愛くて可愛くて。。
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読んで数ページで、なんて美しい世界なんだろうと思った。ひ弱な少年から見た世界が、鮮やかで繊細に切り取られている。世界は、ありのままで充分美しいのかもしれない。
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