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ハックルベリー・フィンの冒険(上) の商品レビュー

4.4

8件のお客様レビュー

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2024/04/23

本作を読んだ多くの人が,ハックに同情し,トムを不快に思うだろう。自分もそう思いつつ,物語の枠組みを強める上では必要不可欠なものであると解した。さまざまなテーマに満ちた逃亡小説。

Posted byブクログ

2023/07/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

トム・ソーヤーの冒険よりも文学的に評価されているとと聞いていたが、たしかにこちらの方が面白かった。トム・ソーヤーの方は次から次に「なんでそんなことするの…」というようのいたずらばかりで保護者の方に同情してしまっていたが、こちらではスタートからして閉塞感のある未亡人宅や現代風では「毒親」である父からの脱出だというのもあり、社会についての疑問の独白もあり一部は共感できた。トム・ソーヤー以上にすぐ殺し合いだのリンチが起こるしナチュラル人種差別が根底にあるしと倫理観の差に驚かされる。簡単に他人の家に上がり込んでしばらく滞在したりとおおらかさもある。また、近代と思いきや未だにかなりの迷信が登場するのも少し意外。 懸賞金のかかっているジムを通報せずに旅を続けることの是非を自問自答するシーンは特によかった。

Posted byブクログ

2023/06/13

マークトウェインの小説の中では、トムソーヤの冒険よりもハックルベリーフィンの方が評価が高いと知っていたが、これまで読む機会がなかった。 図書館で何気なく手に取って読んでみた。 ハックの独白(回想)で物語が進んでいくが、その口調がとても読みやすく、すらすら読めた。 ミシシッピ川を筏...

マークトウェインの小説の中では、トムソーヤの冒険よりもハックルベリーフィンの方が評価が高いと知っていたが、これまで読む機会がなかった。 図書館で何気なく手に取って読んでみた。 ハックの独白(回想)で物語が進んでいくが、その口調がとても読みやすく、すらすら読めた。 ミシシッピ川を筏で下りながら様々な出来事が起こる。 すべてがこの小説が書かれたその当時(1880年代)の社会を反映していると思われるのでめちゃくちゃな内容でもとても興味深い。 さらにハックが時々漏らす本音(筏の上が一番自由である、等)や、考えても考えてもわからないこと(黒人のジムと一緒に旅していることの善悪)などにとても共感でき、この本が歴史的に評価されている理由が少しわかる。 トムソーヤも読んで比較してみたい。

Posted byブクログ

2019/12/29

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう作品、「ハックルベリー・フィンの冒険」。これは同じトウェインの「トム・ソーヤーの冒険」の続きにあたる作品である。 自分は「トム」は読まずに本作を読んでしまったのだが、「ハック」だけでも十分読むに値する作品である。 時は19世紀半ば、アメリカ...

誰もが一度は耳にしたことがあるであろう作品、「ハックルベリー・フィンの冒険」。これは同じトウェインの「トム・ソーヤーの冒険」の続きにあたる作品である。 自分は「トム」は読まずに本作を読んでしまったのだが、「ハック」だけでも十分読むに値する作品である。 時は19世紀半ば、アメリカ南部ではまだ奴隷制が普通に存在した時代。 主人公のハックルベリー・フィンは、父親の元からの逃避行の途上で、知り合いの黒人奴隷ジムと行動を共にするようになる。 ハックは、ジムを逃がそうとし、北部の奴隷制の無い自由州へ向かおうとする。 その道中の物語が本作の内容である。 今のアメリカで奴隷制を正しいと思っている人はいないだろうが、当時はごく当たり前のこととされていた。 当然ハックもその「常識」に捉われていたのだが、ジムとの個人的な交流をとおして、彼も自分も同じ人間であることを知らされ、奴隷として扱うことに躊躇いを見せるようになる。 作中、彼自身はそれを「地獄に行ってでも」というほどの覚悟で宗旨替えをすることになるのだ。 この作品を読んで強く感じたことは、「常識」が人を捉える力の強さと、その「常識」の相対性だ。 どんなに開明的で先入観のない人であっても、人間社会で過ごしている以上は、何かしらの常識の元で育ってきているわけで、そしてそれは自身と渾然一体となっていて、不可分のものとなっている。 だから、その常識から解き放たれるということは、文字通り自己の一部を喪失する体験に違いない。 それほど重く困難なことなのだ。 歴史上の人物のその時々の判断に対し、現代の視点から評価をしてしまいがちだが、その時代の常識の枠から超え出ることがどれほど困難なことか、それはよくよく差し引いて考えねばならないことだろう。 そして、どんなに堅固に見える常識であっても、絶対不変なものもない。 つまり、今正しいと思われていることも、数百年後の人々にはおかしな風俗の一つと見られるようになる時が来るということである。 だから、世の常識・良識や倫理観に抗う必要はないのだが、あまりにカチカチの原理主義に陥るのもどうだろう、 まあそういう考えもあるよね、とりあえずは妥当だよね、という程度の距離感で捉えておくのがよいのかもしれない。 そうでないと、それこそ世の「絆」に縛られて、身動きできなくなってしまうだろう。

Posted byブクログ

2017/05/20

読み始めたきっかけは特別覚えていないけど、読みながらディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」を思い出した。デイヴィッドの方は一人称の語りだったような気がするんだけど、もしかしたら違うかもしれない。こっちはハックの一人語りだけども。今と比べるといつの時代の昔も純粋だったし素直だ...

読み始めたきっかけは特別覚えていないけど、読みながらディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」を思い出した。デイヴィッドの方は一人称の語りだったような気がするんだけど、もしかしたら違うかもしれない。こっちはハックの一人語りだけども。今と比べるといつの時代の昔も純粋だったし素直だったように見えるんだけど、やっぱりそれはそれでねじれてるしこんがらがっている。そんな時代に必死に明るく生きようとした少年の物語っていう、そういうのが僕は好きなのかもしれない。 時代は1830年ほどらしい。南北戦争前のアメリカ。直接的に間接的に、黒人奴隷の存在が物語の通奏低音になっている。しかしそれを良し悪しいう直接的な言説はない。ハックは白人でその時の見方で黒人を見下げてるし、黒人は黒人である意味での奴隷根性が染みついている。でもそれに染まりきっていない黒人もいて、それがハックの家のジムで、そのジムの逃亡を不可避的に助けながら冒険をするように話が進む。 大体こういう時代の話お決まりの、思い込みが激しいキャラの連発で、そんなキャラクターたちががやがやとやりながら話が進んでいく。結構悲惨な出来事も少なくないんだけど(親しくしていた人が死ぬなど)、そこに重力を与えない。 宗教的な道徳的な正しさを明るく信じているハックだが、不可避的に投げかけられる人間の生に対する問いかけに何度も立ち止まり、考え、時に答えを与えられ、時に悩むままでおわる。黒人奴隷のジムが自由州に到着しそうだと喜ぶ姿に良心がジクジクする。奴隷の逃亡は違法であるし、それを偶然にでも手伝ったのは紛れもなく自分であるし。それはただのコンプライアンスの問題ではなく、命に根差したハックの良心の問題として描かれている。 トウェインは物語以上の政治的、人格的なメッセージは一切ないし、それを読み取ろうとすることも望まない、と巻頭にわざわざ述べているが、それを読み取らずにおれようか、という感じである。下巻に続く 17.5.19

Posted byブクログ

2016/03/30

ハックルベリーフィンの冒険は昔から、 読みたいと思っていて機会がなかったのですが 新訳ということで読みやそうだったので購入。 感想は下巻の後

Posted byブクログ

2015/06/19

相棒の黒人奴隷とひたすら川を下る中で、ハックの逞しさ、賢さ、鋭さが光る。うん、やっぱこいつかっこいい。 にしても、まさか最後に「彼」が登場するとは……まさに、「ヒーローは遅れてやって来る」??

Posted byブクログ

2015/02/11

面白い!トムソーヤーと比べてハックは理屈っぽくて現実的で、ハックの方が親しみやすいと思った。育ちが悪くて教育を受けていなくても、生きていく知恵は身についていて、これぞまさに冒険だと思った。ハックの見事な発想と計画に感嘆した。

Posted byブクログ