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二都物語 の商品レビュー

4.1

32件のお客様レビュー

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2024/07/04

フランス革命時のパリとロンドンを舞台に法廷劇、復讐、諜報などミステリーとしての面白さも存分に味わえる659ページ。抑圧する側の残酷さ、革命時の大衆の恐怖、情景の映画的描写が印象的。複雑な人間関係はネットの相関図が便利。必読の名作

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2024/03/12

原文は知らずだが、装飾の多い文章で読みにくい。急な場面展開でわかりにくい。訳者あとがきによると「ひとつのイメージから別のイメージをどんどんつなげて息の長い文章を綴る饒舌体」が特徴のようだ。ドラマチックな話ではあるが、すごく感動するまでには至らず。 初ディケンズ。これはそれまでの...

原文は知らずだが、装飾の多い文章で読みにくい。急な場面展開でわかりにくい。訳者あとがきによると「ひとつのイメージから別のイメージをどんどんつなげて息の長い文章を綴る饒舌体」が特徴のようだ。ドラマチックな話ではあるが、すごく感動するまでには至らず。 初ディケンズ。これはそれまでの大きな特徴であったユーモアが抑え気味になった後期の作品だそうだ。ならば前期の作品も読まないとディケンズは語れない。

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2024/02/03

“あぁ” 読み終わると同時に出てくる言葉。 18世紀の不穏な社会情勢下でのロンドンとパリ、二人の青年と一人の女性、その周辺の人々が二つの都にまたがって繰り広げる、壮大なドラマは、CGのない全盛期のハリウッド映画のよう。 フランス革命へ飲み込まれていくさま、一つの時代の終わりに...

“あぁ” 読み終わると同時に出てくる言葉。 18世紀の不穏な社会情勢下でのロンドンとパリ、二人の青年と一人の女性、その周辺の人々が二つの都にまたがって繰り広げる、壮大なドラマは、CGのない全盛期のハリウッド映画のよう。 フランス革命へ飲み込まれていくさま、一つの時代の終わりに際し、もがくようにして生きる人たちと集まり勢いを増す人たちが渦を巻く。 19世紀イギリスの名作家ディケンズが晩年に描いた、暗く悲しく力強い物語。 映像的で細やかな情景描写 修辞法、比喩を効果的に用いた演出 登場する者たちの、魂からから溢れ出る言葉が、よむほどに襲いかかる。 フランス革命、血の粛清で荒れるパリの夜の街をひとり彷徨うカートンがつぶやく、また、断頭台に向かう名も知らぬお針子にキスをして、カートンがささやく、 “我は復活なり、生命なり”

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2023/12/23

すごい小説です。語彙量、筆力、描写力が圧倒的です。全てのエピソード、シーンが印象的です。 フランス革命の場面などには、残酷な描写がありますが、それが絵画的で美しいです。そしてそれゆえに冷たい恐ろしさを感じます。父娘の再会シーンや、カートンの告白シーンは感動的で、ロマンチックでも...

すごい小説です。語彙量、筆力、描写力が圧倒的です。全てのエピソード、シーンが印象的です。 フランス革命の場面などには、残酷な描写がありますが、それが絵画的で美しいです。そしてそれゆえに冷たい恐ろしさを感じます。父娘の再会シーンや、カートンの告白シーンは感動的で、ロマンチックでもあります。ですがあまりにも描写がすごすぎて可笑しさもこみ上げてきます。そしてそれが過ぎるとまた感動がよみがえってくる感じです。 お気に入りの登場人物は、ジェリーです。愉快なキャラクターです。活躍の場面があるのですが、それゆえに悪事がばれてしまい、ロリーに叱られる場面はとても面白いです。また「へぇつくばる」かかあをバカにしていたのに、最終的には自分が「へぇつくばるよ」と言っているのが面白い。 序盤のエピソードが、終盤に絡んでくる展開も素晴らしいですが、やはり描写がすごいです。物事のそれ自体の周辺をぐるぐると描写しているうちに、その本質が徐々に浮かび上がってきます。直接そのものを描写するより、重層的に感じられて、エピソードやシーンがより印象的でした。すごい小説です。

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2023/11/03

「犬と鬼」で「ドファルジュ夫人」というワードが気になったので検索して読んでみた。 何となく「虐げられていながら何もできない哀しみと悔しさを、憎い貴族の名を編み物に織り込むことで覚えておき、革命の後、貴族がギロチンにかけられたら編み物を解いて留飲を下げる…」ような、昏く静かに冷た...

「犬と鬼」で「ドファルジュ夫人」というワードが気になったので検索して読んでみた。 何となく「虐げられていながら何もできない哀しみと悔しさを、憎い貴族の名を編み物に織り込むことで覚えておき、革命の後、貴族がギロチンにかけられたら編み物を解いて留飲を下げる…」ような、昏く静かに冷たい女性を想像していたら大違いだった。 文字通り「末代まで恨む」復讐の化身として一かけらの同情心も抱くことなく、淡々と冷酷かつ執拗に仇敵を追い詰める怪物。何もかもを奪われ、愛情も未来も幸福も夢見ることなく、報復だけを使命として生きる... 「かつて海辺を裸足で歩いた」可愛らしさと美しさの輝きを留めた暗黒の魂。 アレックス・カーが「疎外された者の成れの果て」としてドファルジュ夫人を例えに出したのだとしたら、日本を覆う絶望の片鱗が少し窺えた気がする。

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2023/08/27

フランス革命下のパリとロンドンを舞台にした小説。 前半は少々かったるいが、後半の息もつかせぬ目まぐるしい展開は素晴らしい。何と言ってもパリの街全体の狂気に満ち溢れた描写の物凄いこと。ブラックなジョークには思わずニヤリとしてしまう。 全編において重く苦しい展開が続くので少々読み通す...

フランス革命下のパリとロンドンを舞台にした小説。 前半は少々かったるいが、後半の息もつかせぬ目まぐるしい展開は素晴らしい。何と言ってもパリの街全体の狂気に満ち溢れた描写の物凄いこと。ブラックなジョークには思わずニヤリとしてしまう。 全編において重く苦しい展開が続くので少々読み通すのがきついが、一冊読み通した上でのあの素晴らしいラストは胸を打つ。

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2023/02/19

亡命貴族のチャールズ・ダーネイと、放蕩無頼の弁護士シドニー・カートンは、長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せます。 パリで革命の炎が燃え上がろうとしているとき、イギリスとパリ、二都で繰り広げられる物語。 翻弄される三人の運命は? 壮大な歴史ロマン。...

亡命貴族のチャールズ・ダーネイと、放蕩無頼の弁護士シドニー・カートンは、長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せます。 パリで革命の炎が燃え上がろうとしているとき、イギリスとパリ、二都で繰り広げられる物語。 翻弄される三人の運命は? 壮大な歴史ロマン。 最後の部分で伏線が回収されていき、見事なストーリーです。 流石イギリスの大文豪の作品。 全世界で2億部突破の大ロングセラーが、わかります。

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2022/12/24

初ディケンズ。もっと古くて歴史の匂いを感じる本かと思ったら、二つの都市を舞台に、銀行のカビ臭いいかめしさ、街の喧騒、登場人物の描写と会話が生き生きとしてて温かさと愛にあふれており、あっという間に読めてしまった。フランス革命は実際に圧倒的な民衆の怒りとうねりであの空気感だったのだろ...

初ディケンズ。もっと古くて歴史の匂いを感じる本かと思ったら、二つの都市を舞台に、銀行のカビ臭いいかめしさ、街の喧騒、登場人物の描写と会話が生き生きとしてて温かさと愛にあふれており、あっという間に読めてしまった。フランス革命は実際に圧倒的な民衆の怒りとうねりであの空気感だったのだろうけど、理不尽な裁判、ギロチンの非情さが際立っていて、特に革命の時の勇ましいドファルジュ夫人がダーネイに対しては冷たく残酷で、そういう場面と雰囲気に読んでて一喜一憂する。 ダーネイとルーシーの愛よりは、お針子とシドニーの無垢で気高い魂が印象的だった。

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2022/08/04

18世紀、フランス革命を背景にフランスとイギリス二つの街で時代に翻弄された人々の話。読んだきっかけはダークナイトトリロジー3作目の「ダークナイトライジング」が二都物語をモチーフにしている、とノーラン監督が言ってたので気になったから。市民たちが暴走し、貴族や市民を裁判にかけるシーン...

18世紀、フランス革命を背景にフランスとイギリス二つの街で時代に翻弄された人々の話。読んだきっかけはダークナイトトリロジー3作目の「ダークナイトライジング」が二都物語をモチーフにしている、とノーラン監督が言ってたので気になったから。市民たちが暴走し、貴族や市民を裁判にかけるシーンがあるんだけどライジングで「そういえばスケアクロウが裁判してたなあ!あれここから来てたんか!」とか思い出して、ライジングも一緒に甦ってきて楽しかった。フランス革命といえばベルばら、レ・ミゼラブル(トム・フーパー版)のイメージだったので漫画と歌で少々ぼかされていた市民たちのとんでもなく貧しい暮らしや、それにぶちギレた市民たちによる血で血を洗う大殺戮なんかがしっかりと、でも詩的な言い回しで進んでいくので気分はめちゃめちゃ最悪なんだけどそこまで凹まずに知ることができた。時代が時代なので、女性への当たりがキツかったりするのであんまり声を張っておすすめはできないけど、カートンの告白シーンを初めとするルーシー、ダーニー、カートンの三角関係や、ルーシー父の錯乱シーン、ダーニーの裁判、ミス・プロスとドファルジュ夫人の一騎討ち(これ、死の秘宝のベラトリックスとモリーの対決くらい好きになった。つかオマージュしてる???)など、基本みんなの立ち位置が辛いしキツいししんどいけどそれぞれ見せ場がとてもおもしろいし手に汗握る。 カートンの、究極に身も心も美しい者(ルーシー)の前で勝手に己を悔い改めてしまう描写がすごくツボというか性癖だった。美しい存在に、純粋な光に、自分の醜い部分も含めた何もかもを露にされてしまうとき、それを受け入れたり、また逃げてしまったりする所に、私は人間って生物の良さを感じる。

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2022/05/04

タイトルの地味さとは裏腹に、物凄くスケールの大きな大河ドラマ。一大エンターテイメント。 勧善懲悪なんだけど、根底に民衆の本物の苦しみがあるからこそ、その中での愛や助け合いや勇気が輝くのだと感じる。 割とかっちりした辻褄合わせとか、現代的な感じ。漫画化したりして今の若者にも読んでほ...

タイトルの地味さとは裏腹に、物凄くスケールの大きな大河ドラマ。一大エンターテイメント。 勧善懲悪なんだけど、根底に民衆の本物の苦しみがあるからこそ、その中での愛や助け合いや勇気が輝くのだと感じる。 割とかっちりした辻褄合わせとか、現代的な感じ。漫画化したりして今の若者にも読んでほしい。

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