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ひとの居場所をつくる の商品レビュー

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24件のお客様レビュー

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2023/06/25

会社の図書室で偶然手に取った。 田瀬理夫(たせみちお)=ワークショップ・プランタゴ=アクロスのランドスケープデザイナー。 との対話を通じて筆者が感じたことのエッセイ。 以下、気になったフレーズ ・わたしたちが毎日繰り返している、ごく他愛のないことの積み重ねが文化であり、景観を...

会社の図書室で偶然手に取った。 田瀬理夫(たせみちお)=ワークショップ・プランタゴ=アクロスのランドスケープデザイナー。 との対話を通じて筆者が感じたことのエッセイ。 以下、気になったフレーズ ・わたしたちが毎日繰り返している、ごく他愛のないことの積み重ねが文化であり、景観をも形づくる。その累積を可能にするのが自分の仕事だと思ってるし、そのための試みをつづけている ・住宅では床のレベルの取り方がすべてを決める。そこから外がどう見えるかが大事。 ・ランドスケープデザインは、この世界に人間の居場所をつくる仕事でもある ・明治政府は1873年に地租改正を行い、土地を個人の所有物にして、所有者から税金を徴収する仕組みつくった。ここに端を発する固定資産制度が日本を不幸にした。そのまま土地本位制で100年やってきて。土地というのは本来的に、個人の所有対象にすべきものではないし、制度は今の時代に合致していない。ひとの数が減り、誰の所有か分からなくてなったまま入り組んだ状態に陥って、使いたくても使えないような土地が日々増えている。 ・複数の流域と、それを横串に刺してゆく沿岸部の鉄道が、岩手県沿岸部の復興の宝 ・枠組みそのものを再設定しながらビジョンを描くというか、プランニングできる存在が日本にはほとんどいない。 ・そのビジョンに根拠は要らない。理にかなっていることは、たいていの人は直感的にわかる。聞いた人がそうだと思うか思わないかだけの話。根拠を示そうとして数字などに置き換えると、ビジョンは一気に薄っぺらになる。 ・自分なりにやる自由がありつつ、鳥や虫や植物くらいは同じ感じで馴染んでいて、フワッとしているのがいい ・境界を越えて「その場らしさ」を意図的にデザインする可能性が残されているのは、いま植物だけなんじゃないか。ランドスケープデザインは、境界線を消すというか、解き放つというか、そんな仕事だと思う。 ・「これからの社会づくりは参加型で」とか急に言われても、パブリックマインドがまだ訓練されていない。「かかわる」ことについて。そういうことに慣れていないから、大人のくせに絆とか一丸になってとか、ちょっとしたヒューマンストーリーにすごく感動してしまったりする。 ・たとえば下町の家々の前に発泡スチロールのトロ箱で見事なガーデンができる。あれを手がけている人たちを「この東京をどうしてゆこう?」という公けの問いに繋いでゆくものがない。個々の楽しみと公の間を繋ぐ、知的なノウハウが出回っていない。その部分の洗練度がすごく低い。この一点だけのような気がする。 ランドスケープデザインは、人々がパブリックマインドを獲得するきっかけづくりに繋がっていないと、面白くない。

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2020/08/13

知らなかった田瀬理夫というランドスケープデザイナーが手がけた仕事の数々を通じて今の社会の息苦しい原因がどこあるのか腑に落ちたような気がする。

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2020/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「自分には出来ない」ことについて自分が 「出来るようにならなくちゃいけない」とは考えない… 自分よりも上手いやつが必ずいるんだから、そいつに頼めやいいや…と。 個人というフレームを超えて、自分の関係性の中で実現させることができればいいという発想に救われました。個々の世界を一人で深掘りしていくよりも、それに卓越した友と通じて広げていく方が目の前が開けていくような気がします。

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2019/09/30

ランドスケープデザイン。めちゃかっこいい言葉ですが横文字苦手なので調べたらランドスケープって「景観」の事なんですね。どちらかというと都市計画の中に組み込まれた公園のことような気がして興味持てませんでしたが、この本読んでみたら少々違っていたようでした。 かっこよろしい建物に付随した...

ランドスケープデザイン。めちゃかっこいい言葉ですが横文字苦手なので調べたらランドスケープって「景観」の事なんですね。どちらかというと都市計画の中に組み込まれた公園のことような気がして興味持てませんでしたが、この本読んでみたら少々違っていたようでした。 かっこよろしい建物に付随したちょっとした緑という事も含まれるのでしょうが、田瀬さんのインタビューを読んで行くと、「共通の考え方で作り上げる愛すべき風景」という風に解釈できました。 遠い山、川が流れ、景観に沿う建物が立ち、適切な数の家畜を飼い、コントロール出来る植物を育成する。自然に溶け込む農業を行い、自然に適度に手を加える。ある意味里山という考え方と似ていると思います。 効率よりも、手を掛ける事で積みあがるもの。時間の経過によって育っていくものを作るべきだし、残すべきだと思います。どんどん劣化して古くなるだけのものが溢れていくと、最終的には価値が無いものばかり溢れる国になってしまいそうです。 尊敬する植物学者の宮脇先生の「鎮守の森」の考え方ともリンクしますね。

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2019/03/05

(01) ある人物へのインタビューにより主な部分は構成されている。副次的な部分は、脚注や後注に回っており、人物の背景や関係するあたりがみえてくる。 ある人物は、田瀬理夫氏である。ランドスケープ・デザイナー(*02)として取り扱われており、遠野での実践、生まれ育ちがあった東京という...

(01) ある人物へのインタビューにより主な部分は構成されている。副次的な部分は、脚注や後注に回っており、人物の背景や関係するあたりがみえてくる。 ある人物は、田瀬理夫氏である。ランドスケープ・デザイナー(*02)として取り扱われており、遠野での実践、生まれ育ちがあった東京という場所、そして職業的自負や、とりわけそのエートスについて語っている。 人物にはこだわりがあり、その点は変わりものと見られるかもしれないし、働きかたについての信念ともとれるかもしれない。もちろん、時代がかった言い回しや問題意識もみてとれ、そのなかには次代へのヒントが示されてもいるのだろう。 (02) 読書や作図、条件整理、チームワークといったデスクワークにも特徴がみえているが、実験的な実践も含め、現場での調整や施工後のメンテナンスへの労力をこのデザインの本質としているようにも感じる。 机上(*03)での先行よりも現場での実存が問題となる。それは合理性は必ずしも先に立たず、いわゆる「現場合わせ」ともとれる経験に信頼をおく態度でもある。 日常性や私性は、対象となる環境とどのような関係がとり結ばれるか。より平易な地平に、本書はある人物を通して、そのような関心を描いている。 (03) 本書の趣旨にやや関わる点であるが、「固定資産税そのものは国税だから」(p.159)という記事には、誤解がある。一般的な理解でいえば、固定資産税は地方税である。 ただし、財産やその所有といった問題、自治体が潜在的な資源としての地表をどう担保するかといった問題については、本書の趣旨あるように、ランドスケープ・デザインにとって重要な課題といえる。

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2019/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たとえば街並み 隣の家 遠くの山 向こう側の川 彼方の海 誰かの畑や 懐かしの田園 こういうものはすべて地続きで つまりはコーディネートできるもので ということは 人の手によるということで 要するに 景観とは人の手によって作られるということ そこは命が育つ場所 どんな場所で生きていていたい? 前作で問いかけたものに その土地で生きて行くという回答があったと思うけれど その場所をどんな場所にしていくかは 一人の眼が 一人の手が 何を美しいとして、何に価値を置くかによって 決まってくる 効率と安価だとそれなりのものになるし 経過と手間だとそいうっものができるし どちらがいいかは、一人一人が決めればいいと思う 生き方と作り方は 似ている

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2018/12/01

ランド勉強中 田瀬氏の仕事を通して著者 西村氏が書いているんだけど、すごくいい!これらかのランドスケープのあり方を考えさせられる。そして文章の端々に「学び」となる言葉あって、穏やかでありながらも的を得た指摘に なんというか  読むべき本だと思う。

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2016/11/13

田瀬理夫さんのランドスケープ・デザインという仕事や環境との関わり方、考え方を通じて。またこの本を書いた西村さんの解釈も含めて、今のまま与えられた問いに素直に答えて進むのは危険なんじゃない?と言われている気がした。 自分の生活周辺をぐるっと思い返すことを意識しながら、 この本をゆ...

田瀬理夫さんのランドスケープ・デザインという仕事や環境との関わり方、考え方を通じて。またこの本を書いた西村さんの解釈も含めて、今のまま与えられた問いに素直に答えて進むのは危険なんじゃない?と言われている気がした。 自分の生活周辺をぐるっと思い返すことを意識しながら、 この本をゆっくりと読み進めて 時々自分のことを言われているんじゃないか、と後ろめたい気持ちになる言葉もあり。 逆に あぁそうゆうことか、と腑に落ちる言葉もあり。 印象的だったのは、 Living in National Treasures(この国の宝のなかで生きていく) -- 「無駄なことをしないように考えていると、お金を生むかもしれないけれど価値は生みださない」 -- 「同じものが少なすぎる」は面白い考えだった。 新しくなればなるほど安っぽい。みんなが人と違うオリジナルやカスタマイズを求めて家をたてることで、寄せ集めな街並みができてしまう。凸凹。新しいものができれば、その後のものが全部価値が下がる。 でも、京都やベネチア・ロンドンなどの美しい街並みは個性を打ち出しているのではなくて、環境を生かす・その土地らしさを生んでいる。 それは木々が家々の境界を中和していたり、地域の主役に合わせていくことでその場らしさがでる。 つまり自分がその場のなかに入っていく、馴染んでいくことって実はとても美しいんだ、と。 巷では「自分らしい暮らし」が素晴らしくて、パーソナリティーを打ち出したもの、みたいなイメージが頭にあって。それが良いこと、だと思っていた けれど、馴染むこと・主役に合わせていくことで、住人がその土地に差し出し循環できる価値があるんじゃないか?とはたと腑に落ちた。 それが、周辺の環境に手間をかける「豊かさ」につながっていく。関わりが出来上がっていくんだよな。 周辺との関わり、とは、社会とのつながりに限った話ではない。自然や場所でもある。 -- 「手間をかける」ことに関しても。仕事を生むということに関しても。そこに「価値」がうまれるのか?「豊かさ」があるのか?といった視点で、ものを見られていて。 もう物が溢れて欲しい物もそこまで思い出せないような時代に、改めて「豊かさ」ってなんだっけな。 自分が提供できる「価値」とは。を問いかけられた気がした。

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2015/02/10

郊外や農村で豊かな生活が送れるはずだ。を、実践。 今の世の中はおかしい!人間とはこうあるべきだ!・・・などとはのたまわずに、まずは自ら楽しく実践してしまう人がいる。 やってしまった方が、前例ができる。 前例があれば役所も説得しやすくなる。 土地の境界を越えて、そこを通ること、使...

郊外や農村で豊かな生活が送れるはずだ。を、実践。 今の世の中はおかしい!人間とはこうあるべきだ!・・・などとはのたまわずに、まずは自ら楽しく実践してしまう人がいる。 やってしまった方が、前例ができる。 前例があれば役所も説得しやすくなる。 土地の境界を越えて、そこを通ること、使うこと、購入すること。 そもそも郊外では相続が上手く行かずに誰の土地か把握できないことも出てくるかもしれない。 人口減で一極集中を避ける可能性がある豊かな郊外暮らしのロールモデルの実践に、このような課題が見え隠れする。 ランドスケープデザインでその土地や気候に合った植物を境界に取り入れることで、「このマチをどうしていこうか?」というパブリックマインドを獲得するきっかけになれればと、田瀬さん。 確かに、目に見えない境界で「そっち」と「こっち」と言うのは悲しいかもしれない。 宇宙船地球号、とはいかないまでも、大航海日本丸?・・・いや・・・せめて「私たちの船○○まち一丁目号」くらいの想像力は持てるようになりたいところです。

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2015/01/04

当たり前に浸っていると見えているものまで見えなくなるのだけど、果たしてこれは悪なんだろうか。また違った形のランドスケープデザインもあり得る気がした。

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