偶然の装丁家 の商品レビュー
2019.6月。 多聞さんって懐深いな。まっすぐないい本だった。本はなくならない。うん、そうだ。寄り道や無駄があって匂ってくる色気。
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著者は画家で装丁家。 若いころからインドで暮らし、いつの間にか?絵を描き、装丁で身を立てるようになった。 彼のような生き方を、だれもが選べるわけではない。 彼の場合、学校に行かない、絵を描いて暮らす、就職をしないで暮らすということを、認めてくれる環境があった。 (大半の場合、そ...
著者は画家で装丁家。 若いころからインドで暮らし、いつの間にか?絵を描き、装丁で身を立てるようになった。 彼のような生き方を、だれもが選べるわけではない。 彼の場合、学校に行かない、絵を描いて暮らす、就職をしないで暮らすということを、認めてくれる環境があった。 (大半の場合、それが許されない場合が多い。) 自由でうらやましいと思う人もいるのかもしれない。 だが、彼は「働かない」わけではなく、「組織に属していない」というだけだ。 どこにも属さず、生きていくことはむしろ苦しいこともある。(多少不本意なことがあっても、組織に属していることの方が、楽な場合もある。)
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彼独自の才能も面白いが、個性が豊か過ぎて学校に馴染めない彼を見守り、社会人として才能を開花へ導いた母親や版画家の父の『愛』が素晴らしい。 そうじゃ無かったら、絵が好きな只の変わった子として社会の片隅に追いやられていたかも知れない。 年齢的に親目線からの感想。 でも、チャンスを逃さ...
彼独自の才能も面白いが、個性が豊か過ぎて学校に馴染めない彼を見守り、社会人として才能を開花へ導いた母親や版画家の父の『愛』が素晴らしい。 そうじゃ無かったら、絵が好きな只の変わった子として社会の片隅に追いやられていたかも知れない。 年齢的に親目線からの感想。 でも、チャンスを逃さず、個性を芸術の域まで高めた彼の才能も賞賛に価する。
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本作り辺りまではわりと面白かったのに、津波以降からつまんなくなった。なんで逃げた人って言い訳するんだろ。ヤバいから逃げたってそのまま言えばいいのに。あと「東京は」って東京批判も嫌だなー´д` ; 京都は地方じゃなくて都心だと思うぞ?
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『たもんのインドだもん』が面白かったので読んでみた。 よかった。 「装丁家になるにはどうすればいいのか」知りたい人が読んだら肩透かしかもしれないが。 そもそも、著者は(書いてある内容だけで判断すれば)小学校からすでに学校になじめず、中学もろくに行っておらず、装丁もデザイン学校や美...
『たもんのインドだもん』が面白かったので読んでみた。 よかった。 「装丁家になるにはどうすればいいのか」知りたい人が読んだら肩透かしかもしれないが。 そもそも、著者は(書いてある内容だけで判断すれば)小学校からすでに学校になじめず、中学もろくに行っておらず、装丁もデザイン学校や美大などで勉強したわけではない。それで、装丁家としてやっていけているだけでなく、文章も読んでいて不自然さやわかりにくさもなく、それどころか、かなりいい文章なので、じゃあ日本の教育というのは、別になくてもいいんだな、とすら思う。 もちろん、自慢めくので書いていないだけで、すごい努力をしたのだろうし、したいことに関しては徹底的にこだわり、きちんと成果をあげたから今の著者があるのだとは思うが、必死で大金払って装丁の勉強をして、まったく食えない人は腹が立つかも。これが才能ってことよ、と言われるとおしまいだが。 個人的には「インドで暮らしたい」という中学生の息子の言い分をかなえてやる両親がすごいと思う。普通の親ならとりあえず高校くらいは出て、大人になってから行けばいいじゃない、と言うだろう。すごいな、多聞さんの両親は。 読むと、今の著者の仕事はインドに暮らしたからこそできたと言える。インドに関する知識というような小さいものではなく、「アジャスト」する(P82)能力が並みの日本人とは桁違いなのだろう。仕事を終えたあと、値切られたときの対応も素晴らしい。 そして、あとがき。同じように学校になじめなかった友人が、辿った人生を思うと胸が引き裂かれる。学校に行けないことを、マイナスに考える世の中に殺されたようなものだと思う。 著者の人生と仕事を辿る本の最後に、この友人の話があるからこそ、著者の本当に言いたいことが、ぬくもりと実感をもって伝わってくる。
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図書館で見つけて流し読み。 そういえばずいぶん前にも流し読みした気がする。おんなしことに悩んでるのかもなぁ。 デジタルのことを過信しすぎていたかもしれない。影響されやすいからだからかもしれないけど、そう思った。
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小学生の時から学校に馴染めず、不登校だった著者は、昔旅行したインドで暮らすことを思いつきます。インドで暮らすうちに絵を描く楽しさを覚え、自身で描いた絵を売ったり、個展を開くようになります。そんな時、出会った人から今までの人生を本にしてみないかと持ちかけられ、さらに本の装丁もするこ...
小学生の時から学校に馴染めず、不登校だった著者は、昔旅行したインドで暮らすことを思いつきます。インドで暮らすうちに絵を描く楽しさを覚え、自身で描いた絵を売ったり、個展を開くようになります。そんな時、出会った人から今までの人生を本にしてみないかと持ちかけられ、さらに本の装丁もすることになり・・・。装丁の世界へのめりこんでいきます。
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これはいい本。読むタイミング的にもばっちりはまって、「ああ、あの人に読んでほしいなぁ」という顔がいくつも浮かんだ。 結局のところ「自分で物をつくる覚悟を持った人」の言葉が一番響く。観念をいくらこねくり回したところで、論理やアイデアだけではどこまでいっても空疎だ。 多聞さん、京都在...
これはいい本。読むタイミング的にもばっちりはまって、「ああ、あの人に読んでほしいなぁ」という顔がいくつも浮かんだ。 結局のところ「自分で物をつくる覚悟を持った人」の言葉が一番響く。観念をいくらこねくり回したところで、論理やアイデアだけではどこまでいっても空疎だ。 多聞さん、京都在住らしい。一度会ってみたい。ひとつひとつの言葉が滋味ぶかい。 「ぼくは見た目のデザインよりも、紙選びこそが想定の醍醐味だと思っている。眼が文章や造形にふれるまえに、からだは紙に触っているのだから」p.172 「印刷所に行くときは緊張する。日頃お世話になっている職人さんに会えるのは嬉しいが、「あんただね、いつも面倒くさい指示を出してくる人は」と怒られることが多い。ぼくが希望したおかしな紙の組み合わせで、印刷機を目づまりさせたり、ありえないインクの組み合わせで、職人さんを悩ませたりしているそうだ。 印刷機の横にうず高く積みあげられたインクの缶に、ぼくがつくった校正紙の切れはしが張りついているのを見つけ泣きそうにあったことがある。つぎ刷るときにインクの配合が分かるように、インクと刷り見本をセットにして保存しているのだ。 デザイナーがどんなに偉そうなことを言っていても、最終的に本のかたちに仕立てあげるのは、現場の職人だ。裏方に徹して、本の奥付にも名前は出てこないが、彼らなしには一冊の本も作れない。紙メーカーの工場職員から、配送業者にいたるまで、本づくりは彼らのおかげで成り立っている」p.172 「どんな町であろうと、そこに人が暮らしているかぎり、地域誌はつくれるんです。たとえ無人島だとしても、ぼくはつくる」p.248 「場所が変わると本づくりも変わる。関西に暮らす著者やデザイナー、印刷所といっしょにつくりたい。そうしたときに東京一辺倒ではつくれない新しい本が生まれると思うんです」p.252 「たとえ日本で一〇〇人しか必要としない本だったとしても、ちゃんとその一〇〇人に届けば、出版社としてやっていける道があるはずだ。著者、編集者、装丁家、出版社、印刷所、書店……一冊の本にかかわる人たちが、歩いて会えるような距離で仕事をして、大儲けはできなくとも、なんとか暮らしていける。そんなサイクルの中で本をつくっていきたい」p.261
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昔好きだった作家の作風の変化について行けず、年末に発売するBRUTUSの本特集から、面白そうな本をピックアップして読むのが、ここ数年の常になり、2014年末にピックアップ。 ずっと探して(ネットで本は買いたくないから)、11月に移動古書店で発見。積み読だったけれどやっと読了。 ...
昔好きだった作家の作風の変化について行けず、年末に発売するBRUTUSの本特集から、面白そうな本をピックアップして読むのが、ここ数年の常になり、2014年末にピックアップ。 ずっと探して(ネットで本は買いたくないから)、11月に移動古書店で発見。積み読だったけれどやっと読了。 前置き長くなったけど、個人的には「就職しないで生きるには」シリーズが伝えたいこと?とは全然別の感想。「こういう生き方もある」などということに関して、特に何も感じないし 。 ただ、本好きとしては一冊の本の向こうに、作家だけではなく、矢萩さんのような装丁家をはじめ、編集者や印刷会社などの作り手が見えて嬉しくなった。その方々も、本が大好き。 「作り手が透けて見えるような日用品に囲まれたい」と最近は思うようになったり、物の値段について考えることが多い今だからこそ、このタイミングでこの本に出会えて良かったです。 相談職という仕事にも通じている部分もあって、なかなか良かった。
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11月は本を読める時間が少なかったけれど、この本は今日中に読みたい! と思って、読みきった。 紙の本が病気と同じレベルですごく好きな私にぴったりな本でした。貸してくれてありがとう。増々、本が好きで、愛おしくなった。 世の中にはいろいろな人がいて、学校が合う人もいれば合わない人も...
11月は本を読める時間が少なかったけれど、この本は今日中に読みたい! と思って、読みきった。 紙の本が病気と同じレベルですごく好きな私にぴったりな本でした。貸してくれてありがとう。増々、本が好きで、愛おしくなった。 世の中にはいろいろな人がいて、学校が合う人もいれば合わない人もいるし、人によっても今は学校が合う時期、今は合わない時期、というのもあると思う。それと同じことが他のことにもいえて……。 読む前よりも自由になった気がする、肩の力を抜くことができる一冊でした。
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