いとしいたべもの の商品レビュー
とにかくあっという間に読める。 家族とはと考えさせられることもあるし、食べ物の情景が浮かび、そうそうとうなづいてしまうことも多々あり空腹を感じた。 くすっと笑ってしまうことも多くストレス解消になった。
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食べ物がテーマの本を色々と読んでみたくなり、手始めにと手に取った一冊。エッセイなので通勤時や就寝前の隙間時間にちょこちょこ読めてよかった。食べ物の造形や香り、味の感想が筆者の巧みな語彙により実によく伝わってきて、読んでいてお腹が空いてくる。続巻も読む予定なので、非常に楽しみ。
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マイペースに読んだ、お腹が空いて真夜中には読めなかったけど、読むと心があったかくなる 落ち着く、不安なことも大丈夫かもなと思える本だった。(食べ物について書いてあるのに、、)
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○水羊羹のエロス 私は水羊羹を見ると、惚れ惚れしてしまう。つるんと濡れて美しい。スプーンでしゃくると、角がシャープに切り立つところもいい。ひんやりとした寒天質を口に入れると、甘さと小豆の香りに、細胞が涼やかな風を感じるのだ……。(p60) ○黄色い初恋 今でも私は、あのもこもこしたレモン色を見ると、胸のあたりに、お日様が差し込むような幸せを感じる。食べたこともないのに、ありったけの想像力で味の幻覚を見た子供の頃の憧れを思い出すことができる……。(p119) ○かなしきおこわ 私にも好きな男の子がいた。名波君と言った。どことなくアライグマを思わせる顔をした子で、黒飴のように濡れ光る大きな瞳に、濃く短いまつげが映っていた。彼のシャツの襟には、いつもきちんとアイロンが当たっていて、やや鉢の広がった大きな後頭部の癖っ毛が、大きく渦を巻いていた。(p157) ○幸せの配分 おかずの部屋は、限られたスペースの中に実に盛りだくさんである。なんたって主役のシウマイ五個。崎陽軒のシウマイは、「ホタテの貝柱を使っている」とかで、本当に冷めてもおいしい。そして主役に劣らぬ存在感の、マグロの照り焼き一切れ。カリッと上がった香ばしい鶏の唐揚げ一個。かまぼこ一枚。味のよく染みた賽の目切りの筍煮。玉子焼き。甘酸っぱいあんず一個。小さなしょう油入れと、からしもちゃんと付いている。(p165) ○この世で一番うまいもの ほんの1滴、水が染み渡れば、そこに何十種類もの甘みを感じるほど、舌が澄んでいた。その舌で味わうとヒヤッとしたおかゆの甘みに、みずみずしい唾液が泉のように湧き上がってくる。その唾液が、無上に甘かった。これが命の甘みだと思った。(p180) ○あとがき 私は、何かを食べようとした瞬間、不思議な感覚にとらわれることがしばしばあります。その食べ物の味や匂いに触れたとき、昔どこかで感じた楽しさや切なさが、全身からふーっと立ち上ってくるのです。 そういう肉体の記憶に触れたとき、私は生き物としての自分をいとしく感じます。食べ物を口に入れるとき、きっと人は、その日その時の気分や印象も一緒に食べているのです。 それらは食べ物と一緒に口から入って、体の奥深くに推積し、ある日、同じ味や似た味に出会うと、しおりの紐を引いて本のページをぱらっと開いたように、鮮やかによみがえってくるのです。(p183)
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ほのぼの食エッセイ集。 記念日の豪華な食事ではなく、毎日慣れ親しんだ食べ物に纏わる素朴な思い出を綴る。温かな筆致に魅了されて私は早速、桃屋の“ごはんですよ”と塩鮭の夕食をいただきました。
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イラストも含め、あたたかい気持ちになる。 皆が身近な食べ物を通してそれぞれの人生を覗け、みな生きているんだなと何故か少し元気になる。
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食べ物にまつわるエッセイは、その人の持つ思い出だったり、思い入れだったりを感じられて、読んでいてとても楽しくて和みます♪ 作家さんのことを知って少し身近に感じられるのも嬉しいし、「そんなこと思ってたんだー」と自分にはない感性を知るのもおもしろい。 そして共感する思い出の味を見つけ...
食べ物にまつわるエッセイは、その人の持つ思い出だったり、思い入れだったりを感じられて、読んでいてとても楽しくて和みます♪ 作家さんのことを知って少し身近に感じられるのも嬉しいし、「そんなこと思ってたんだー」と自分にはない感性を知るのもおもしろい。 そして共感する思い出の味を見つけては、ちょっと嬉しくなった。 「鯛焼きのおこげ」 「この世で一番うまいもの」 は、しんみりと特に良かったなぁ。 作家さんの紡ぐ言葉には、食欲をそそる魔法がかかってるのではないか?と思ってしまう。文字を追っているだけなのに無性に食べたくなる!! 森下さんのイラストも素朴な味わいがあってすごく好き。 お気に入りの一冊になりました。
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日常の食べ物の話、年代は少し違うけど概ね似たような経験みたいなのであるある感。 普通の家庭ってこうだよなと思う、母親次第か。 山口恵以子さんっぽいなあと、作者をググると容貌がまあ近い。 続編もあるようなので見てみる。
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読んでいて、何度「そうそう、そうなんよ。」と言ったか。 喩えや気持ちを含めた描写が素晴らしい。 そんな食べ物が誰でも幾つか有ると思います。 自分は学生時代の寮生活でさんざんお世話になった素の日清焼きそばが無性に食べたくなりました。
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食べ物とそれにまつわる思い出が美味しそうな絵と共に綴られていて、読むのも見るのも楽しめた。 出てきた食べ物に対して自分にはなんの思い出があるだろう、と記憶と照らし合わせていくうちに、忘れかけていた出来事が次々と思い起こされて、懐かしい気持ちになったと同時に食べ物ってすごい、と改...
食べ物とそれにまつわる思い出が美味しそうな絵と共に綴られていて、読むのも見るのも楽しめた。 出てきた食べ物に対して自分にはなんの思い出があるだろう、と記憶と照らし合わせていくうちに、忘れかけていた出来事が次々と思い起こされて、懐かしい気持ちになったと同時に食べ物ってすごい、と改めて感じた。 たねやの本生水羊羹は見かけたら絶対買うと決めた。
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