1,800円以上の注文で送料無料

無花果の森 の商品レビュー

3.5

29件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

(図書館) ジャンル:ラブストーリー 新谷泉:専業主婦。夫は映画監督 鉄治:週刊誌の記者 八重子:画家 サクラ:オカマバー経営。八重子の友人 これは面白くなかった。 まず、岐阜大崖、からえ?なに誤植?って思って頭に入らない笑 なんでわざわざこんな地名にしたんだろうか(名神通って滋賀には普通に行くのに…)。 夫の暴力から逃げて、地方の町に迷い込み、住み込みで働き始める。有名画家八重子と出会い。これはまあいい。八重子、サクラのキャラ、関係などの設定は悪くない。 この後がひどい。鉄治との出会い。しかしこの鉄治との恋愛がこの小説の主題なのである。 なぜか全く別の理由で逃亡してきた鉄治と「偶然」「岐阜大崖で」「逃亡先の家主同士が知り合いで」再会する、という……。 冒頭に示したとおりこの小説は恋愛小説です。サスペンス要素は一ミリもない。(ああせめて鉄治の逃亡先がなんで「大崖」なのか理由があったらよかったのに…) で、まあ。逃亡先で、以前会ったことがある男に再開し、会いたくなかった人だったんだけど、彼には彼で別の事情があるみたいだし、よく見たらイケメンで(※それらしい記述あり)、偽名で逃亡してて誰にも言えない秘密をこの人なら打ち明けられるー! って恋して、この2人のイチャコラシーンがしばらく続く、と(←読んでて飽きたらしい)。 最後は、鉄治が自首して、八重子が亡くなって、泉は離婚する、ってまとめて終わりなんですが(雑)、あんなにこだわって(知らんけど)設定した岐阜「大崖」を出ていったくだりが1行しかなくて、気づいたら川崎にいて、え、ひどい、「大崖」の町を振り返って旅立つシーンくらいあってもいいじゃないか!!と思った(岐阜県民ではないが、大垣って別に無名じゃないもーん)。 という訳で評価は★2個です。

Posted byブクログ

2024/07/14

映画監督の夫が振るう暴力に耐えかね行方をくらませた泉と、仕事の過程で罠に嵌められて麻薬所持の容疑者となり、警察の追跡から逃れてきたライターの鉄治。取材絡みで過去に一度だけ接点のあったふたりが、流れ着いた場末の街で偶然にも顔を合わせ、いつしか刹那的恋愛関係へと至る様子を描いた本作の...

映画監督の夫が振るう暴力に耐えかね行方をくらませた泉と、仕事の過程で罠に嵌められて麻薬所持の容疑者となり、警察の追跡から逃れてきたライターの鉄治。取材絡みで過去に一度だけ接点のあったふたりが、流れ着いた場末の街で偶然にも顔を合わせ、いつしか刹那的恋愛関係へと至る様子を描いた本作の展開は、小池真理子流ハードボイルドの様相を呈し、その完成度の高さは私がこれまで目を通してきた彼女の著作のなかでも三本の指に入るマスターピースと言っていい。後半は頁を繰る手が止まらず、一気読みに近かった 訳アリの泉と鉄治。余計な詮索抜きに前者を住み込みの家政婦として雇う老画家の八重子、後者を従業員として雇うゲイバーの主・サクラ。共に口は悪いが人情味溢れる彼女たちの個性がストーリーにアクセントをもたらす。そして何よりも忘れてならないのが八重子の住まいの中庭に立つ無花果の木だ。実のなかでひっそりと隠れるように花を咲かす無花果は世間から隔絶して生きる四人の登場人物の象徴ともなっており、随所で存在感を放つ 小池真理子は物語のエンディングを描くのが取り分け上手い作家だと認識するが、この小説も例外ではなく、結び方が大変いい。先頃読んだ「モンローが死んだ日」にも通じるラストに、思わず私の視界は涙で霞んだ

Posted byブクログ

2023/09/03

追い詰められた時 あでもなく辿り着いた土地で 彼女にとっていい出会いがあり 悲しい別れもあったけれど ハッピーエンドもありで 最後、サクラの存在が良かった。 サクラバーに行ってみたい

Posted byブクログ

2023/08/18

いただき本 DVから逃れひっそりと暮らす女性と、無実の罪をきせられた男性。 ここに老人の画家やサクラちゃんなどが絡む。 男女がそれぞれの暮らしを仕切り直すまでの話。 案外サラッとした感じ。

Posted byブクログ

2023/07/24

よかった。 泉の追い詰められている感じがリアルで自分も逃げ回っているような気持ちになった。 キャラの強い人たちが周りに多いけれど、それもなんだかよかった。 サクラのバーに行ってみたい。

Posted byブクログ

2023/04/07

絶望しながらも、生き抜くのだという意思は揺らがない新谷泉の新しい場所「岐阜大崖」。実在しない場所という事だが、なんだかリアルなさびれ方で、数駅離れたところにありそうな感じが凄い。 起こることは、八重子が「安手のドラマ」と言い切るようにまさにそんな感じなのだけれど、登場人物一人ひ...

絶望しながらも、生き抜くのだという意思は揺らがない新谷泉の新しい場所「岐阜大崖」。実在しない場所という事だが、なんだかリアルなさびれ方で、数駅離れたところにありそうな感じが凄い。 起こることは、八重子が「安手のドラマ」と言い切るようにまさにそんな感じなのだけれど、登場人物一人ひとりの描写がしっかりあって物語を追うのが楽しかったです。 八重子の物言いも性格も好きです。ここまでスッパリ割り切っている(ように振舞って生きている)のはカッコよく思えました。

Posted byブクログ

2023/02/17

あぁ〜、やっぱり小池真理子さんは、良いわ!すごい事件が起きるとか、犯人探しとかなくても、もう、グイグイと読まされてしまう。小池真理子さんは、美しい文を書くけれど、それは決して女らしいとか綺麗とかいうことだけではなく、丁寧さと、深みのある力強さと、リアリティがあるので、恋愛ものでも...

あぁ〜、やっぱり小池真理子さんは、良いわ!すごい事件が起きるとか、犯人探しとかなくても、もう、グイグイと読まされてしまう。小池真理子さんは、美しい文を書くけれど、それは決して女らしいとか綺麗とかいうことだけではなく、丁寧さと、深みのある力強さと、リアリティがあるので、恋愛ものでも、ミステリーでも、ホラーでも、良い意味で、品の良い味わいがあるのです! 私自身は「何もかも捨てて見知らぬ地へ行く」ということをする勇気もないし、幸い、逃げなきゃならない事情に陥ったこともないけれど…。それしか選択はないと思えるほど…だけど、死ぬことは絶対考えない、という主人公の泉の心情に、終始いろいろと感じながら読んでいました。 女性画家の八重子も、“世界お人好し選手権があったらグランプリ”になるくらい”の(笑)おかまのサクラも、言葉は乱暴だけど、心根の優しさがあり、とっても良い味出してたなぁ。 黙々と、ただただ生きていった泉に寄り添い、ラストは…良かった。泣けました。 印象的だったところ少し。(人生ってワード多くなっちゃった) ーーーーー 失うものなど、もう何もなかった。だからこそ生きのびることができる、というのは、人生の途方もない皮肉だった。 自分が負わされた傷。図らずも自分が悪魔になって相手に刻みこんでしまった傷。それらを隠蔽し、風化させ、忘れてしまったような顔をしながら、飄々と生きていく以外、方法がないのが人生なのだ。 あたしはね、理由が何であろうが、女に暴力をふるう男は全員、死ねばいいと思ってんだよ。同じクズでもいろんなのがいるけど、そういう男は最低のクズだ。 子を作れば、何かと悩みのたねになるし、作らなかったら作らなかったで、後悔のたねになる。人生は難しいさね。 まじめに答えられると腹が立つから、笑ってりゃいいのよ。あんたも馬鹿ね。 変わり身を早くしなくちゃ、生きていけないじゃないの。人生これすべてサバイバルよ。 ーーーーー

Posted byブクログ

2023/01/09

「ドラマ的展開」が面白く、どんどん読み進めてしまう系統の物語だった。人間ドラマ+微サスペンスという風情。 有名な映画監督を夫に持つ新谷泉は、度重なる夫からの暴力に耐えかねて、ある日夫が不在のうちに家を出た。 そして流れ着いた寂れた地方都市で、老齢の女性画家の家での住み込み家政婦...

「ドラマ的展開」が面白く、どんどん読み進めてしまう系統の物語だった。人間ドラマ+微サスペンスという風情。 有名な映画監督を夫に持つ新谷泉は、度重なる夫からの暴力に耐えかねて、ある日夫が不在のうちに家を出た。 そして流れ着いた寂れた地方都市で、老齢の女性画家の家での住み込み家政婦の仕事に偶然ありつき、身を潜めて暮らし始める。 夫に探し当てられるのではないかと怯えながら暮らす中、主である画家の付き添いで行った街のゲイバーで、かつて関わりのあったある男と再会してしまう。 後ろ暗い雰囲気が全開で、泉の怯えが文体からも伝わってくる。 そんな中「ある男」の塚本と再会したことが、泉の人生をがらりと変える。 彼とは良くない因縁があり会いたくない相手だったが、とある犯罪の濡れ衣を着せられて逃亡した末にこの街に流れ着いたという泉と遠からずな事情を抱えていたことが、2人を引き寄せ合うエネルギーとなる。 泉はある意味とてもラッキーで、逃亡先で出逢った画家の八重子やゲイバー店主のサクラなど、まっすぐに「良い人」ではないものの情が深い人たちに恵まれて、人生が好転していった。 人生の流れを左右するのはやはり出逢いなのだと思わされる。 個人的には、もっとゴタゴタ一悶着も二悶着もありそうな気がしたけれど、わりとストレートにあっさりした流れだったように思った。 やじうま的感覚で、ゴタゴタを少し期待してしまったのかも。笑 厚みのある本だけどあっという間に読み切った。 住み込み先の庭に成る無花果がところどころ効果的に現れて、物語にそこはかとないエロティックさを添えていた。

Posted byブクログ

2021/01/27

登場人物が少ない事もあり、主人公の泉には全篇通してかなり感情移入しながら読み進める事が出来ました。 夫から理不尽な暴力を受けていた泉 無実の罪を着せられて逃亡する塚本。 理不尽な事が許せない体質なので2人の逃げ隠れしなければいけない状況がもどかしく辛く可哀想で堪りませんでし...

登場人物が少ない事もあり、主人公の泉には全篇通してかなり感情移入しながら読み進める事が出来ました。 夫から理不尽な暴力を受けていた泉 無実の罪を着せられて逃亡する塚本。 理不尽な事が許せない体質なので2人の逃げ隠れしなければいけない状況がもどかしく辛く可哀想で堪りませんでした。 泉が身を寄せた家の画家、天坊八重子と塚本が世話になったおかまのサクラの2人の人物描写も見事で絶えず脳内映像で動いていました。 泉と塚本の行く末が気になり一気に読み進めましたが、しっくりと来るラストで読後感も満足です。

Posted byブクログ

2019/02/26

無花果って、実の中に花が咲くって。知らなかった。そんな無花果に象徴されるウェットな物語。前半部分、夫のDVからの逃避行、住み込みの家政婦になる所までは結構面白かったけど、後半の恋愛パートになってからは一気にメロドラマ風。作中にも「安手のドラマみたい」というセリフがあったがまさにそ...

無花果って、実の中に花が咲くって。知らなかった。そんな無花果に象徴されるウェットな物語。前半部分、夫のDVからの逃避行、住み込みの家政婦になる所までは結構面白かったけど、後半の恋愛パートになってからは一気にメロドラマ風。作中にも「安手のドラマみたい」というセリフがあったがまさにその通り。しかし毒舌バアサンの八重子と、その友人オカマじいさんのサクラがかなりアクセントとなって話を彩って?くれたおかげか、読後感は悪くない。

Posted byブクログ