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ラン の商品レビュー

3.8

20件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2026/03/26

本作は、いわばランニング小説である。そんな呼び名があるかはともかく、走ることを通して、仲間とのつながりや生の手応えを描く一篇だ。青春小説の貌も帯びている。 ランニングは、どこか孤独な営みである。球技のような駆け引きも、勝敗の妙もない。ただ前へ進む。その単調さの中で、相手となるの...

本作は、いわばランニング小説である。そんな呼び名があるかはともかく、走ることを通して、仲間とのつながりや生の手応えを描く一篇だ。青春小説の貌も帯びている。 ランニングは、どこか孤独な営みである。球技のような駆け引きも、勝敗の妙もない。ただ前へ進む。その単調さの中で、相手となるのは常に自分だ。苦しさだけが積み重なるようにも見える。それでも人は走る。 理由のひとつは、身体の内側にある。走ることで脳内に分泌される物質が、わずかな高揚をもたらす。いわゆる報酬である。だがそれだけでは足りない。もっと根の深いところで、人は走るように出来ている。危険から逃れるためか、あるいはどこかへ辿り着くためか。その名残が、いまも身体に残っている。 動機は人それぞれだ。健康のため、体重を落とすため――多くは現実的な理由に支えられている。 だが、本編の主人公・環は違う。あの世とこの世を往き来するために走るという。 あの世の有無は、誰にも確かめようがない。ならば想像に委ねるほかない。どのように描かれても、不思議ではない。だが、その境界に至る条件が「四十キロを一定の速度で走り続けること」と定められたとき、物語は一気に現実の重みを帯びる。 走らなければ、辿り着けない。 こうして環は、走る者となる。

Posted byブクログ

2026/01/25

家族と死によって別れた孤独な主人公の環が、あるきっかけで死後の世界を行き来できるようになり、自分が生きる世界では走ることを通じて、様々な人と関わることで、家族の死を受け入れ、自分が生きていくことに向き合っていく物語。 はじめて読んだ森絵都さんの作品は「カラフル」でした。この作品か...

家族と死によって別れた孤独な主人公の環が、あるきっかけで死後の世界を行き来できるようになり、自分が生きる世界では走ることを通じて、様々な人と関わることで、家族の死を受け入れ、自分が生きていくことに向き合っていく物語。 はじめて読んだ森絵都さんの作品は「カラフル」でした。この作品からも、死後の世界の構造の繋がりを感じて、懐かしい気持ちになりました。 こちらに語りかけてくる文体が多くて、柔らかくあたたかな印象で、主人公をより身近に感じられました。 この作品を読んで、普段は全く運動しませんが、ふと走りたくなったので、近所の公園を軽くジョギングしてみたら、意外とすっきりして良かったです。めちゃくちゃ疲れましたが、走ることを思い出させてくれた作品に感謝です。

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2025/11/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は全体的に嫌な感じで残念かなって思いましたが、ドコロさんと出会いから面白くなってきました(笑)寄生ババアとか面白かったです(笑)「不幸」は人それぞれ持っていますね。仲間と走ることで色々ありながら生きていくのが幸せそうで良かった(笑)終わり方も良かった。ああ言う終わり方もいいですよね。

Posted byブクログ

2025/07/01

家族、おばさん、親しい人全員が死んでしまった環は、ひょんなことから、自転車であの世に行き、家族と再会し家族団欒をして、また自転車で帰ってくる事に成功する。 なんかとんでもない設定だが、不思議と惹きつけられるのが、素晴らしい。 環は、自転車を返さないといけない事になり、あの世に行く...

家族、おばさん、親しい人全員が死んでしまった環は、ひょんなことから、自転車であの世に行き、家族と再会し家族団欒をして、また自転車で帰ってくる事に成功する。 なんかとんでもない設定だが、不思議と惹きつけられるのが、素晴らしい。 環は、自転車を返さないといけない事になり、あの世に行くためには、夜明けまで40キロを走り抜く事が必要であり、環は誘われたへっぽこなランニングチームでマラソン完走を目指す事になる。

Posted byブクログ

2024/05/25

家族や叔母さんを亡くし20歳で天涯孤独になってしまった環。この主人公、ネガティブで「たら・れば」大好き後悔し放題な性格なんです。 人生にも消極的で立ち止まってばかりでしたが、唯一心を開いたのは自転車屋のおじさん、うち溶けあうのに2年ぐらいかかってました。そのおじさんも田舎に帰るこ...

家族や叔母さんを亡くし20歳で天涯孤独になってしまった環。この主人公、ネガティブで「たら・れば」大好き後悔し放題な性格なんです。 人生にも消極的で立ち止まってばかりでしたが、唯一心を開いたのは自転車屋のおじさん、うち溶けあうのに2年ぐらいかかってました。そのおじさんも田舎に帰ることになり、環に、他界した息子に渡すはずだったモナミ1号を託す。 その自転車に乗って、走り出したのはいいのですが、生に向かうよりも死に向かって走り出しました。必死にペダル回して辿り着いた先は、死んだ家族が暮らす生と死の狭間だった。環も家族に逢えて落ちつくのですが週3で冥界に通うとか自転車でも大変そう。 死に焦がれて生きてる姿を叔母さんに意見され、モナミ1号でも1時間かかるところを自分の足で通うことを決意しランニングを始める。てか、そこがゴールなんかってまだ先のある20代の娘が考えてるとかベクトル違うんじゃないって思いました。 冥界まで40kmとかフルマラソンよりちと足らない距離なんですがこの設定が微妙にいいですね。 確かに40km走ろうと思えば死ぬ気でトレーニングしないと無理に思えますけど、日々の積み重ねで10km走れるようになると距離伸ばすのが楽しくてハイになるのです。20km位は割と順調に伸ばせますがそこから先は気力体力充実してないと辛い領域で、私の場合30km先からがきつかった。そこまでは体内にあるカロリーを消費して走れるのですが残りの10kmは枯渇してしまいエネルギー補給しないとハンガーノック起きるんです。ここを超えるにはエネルギージェルとか効率よく補給して走る必要ありますけど、疲れが酷くなると胃が受け付けなくなるのでフルが限界でした。そこから先、100kmとかのウルトラ目指す人は胃腸も丈夫じゃないとダメなんですよね。 さておき環は、そのエネルギーを生きることにむけて走りだしたって感じのエンドでした。 作中出てくる久米島マラソンですが制限時間7時間の大会なので6分/kmで走れる人なら半分は歩いても完走できちゃうんですよ。 あと、森絵都さんの死後の世界観って、浄化されて純度を増した魂になって次のステージにいくとか、リサイクル工場のようだし、ここにもヒエラルキーが存在しててどこまでもしんどそうで面倒に思えるんですよね。 善も悪も人が生きてゆくのに必要で都合よく決めた概念だと思うし死んだらそんな概念に囚われなくても死んでいられるんじゃないかな。

Posted byブクログ

2024/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中学?高校?時代に一度読んだ作品。 『獣の夜』を読んだらこの作品の番外編があったので、どんな話だったっけな〜と手に取りました。 死者の世界へ、走って家族に会いに行くというざっくりとした概要しか覚えておらず、面白いこと面白いこと・・・。 章が細切れになっているのと、環ちゃんの話し言葉で書かれているので読みやすく、走るようにスイスイ読み終えました。 イージーランナーズの濃い面々は面白いし、でも走る努力をするのはカッコいいし、真知栄子とのバトルもいい。というか真知栄子が特に濃い、リアルなおばさん。 大島くんと一緒に環ちゃんがあの世から連れて帰ってくることと、実際に真知さんが目覚めた時に見た夢の内容が食い違ってるのは、真知さんの照れ隠しか、もしくはあの世では時空の流れが違っているから本当にお姑さんからああいう声かけがあったのか・・・なんて想像しました。 あと二人が仕事のお昼休みに走るとき、二人ともしっかり!と声をかけたのは誰だったんだろうか。 現実的には真知さんのパート仲間かとは思いますが、なんとなく、二人を応援する死者たちかとも思えました。 などなど、色々と深読みしてしまうくらい面白いファンタジー作品です。 なんだか無性に体を動かしたくなるし、いろいろ辛い思いをすることは生きている者の特権だと思えるし、とっても前向きになれました!

Posted byブクログ

2022/08/12

学生時代に読んだことがあってまた手に取り再読。内容ほとんど忘れてた、、 あの世とこの世を繋ぐレーンを行き来する環ちゃん(^^) 頑張る姿に応援したくなるお話でもあり、少し悲しい要素も入っているお話。 環ちゃんと大島くんはその後ひっついたのかな?

Posted byブクログ

2022/02/17

タイトルの割に走ることに関係なさそうなお話なのかな?と思いきや、ひょんなことから走り始める主人公、夏目環。 今まで走ることに無縁だった環が、こんなに順調に走れるようになるなんてすごいなぁなんて羨ましく思いながら、私もまた走り出したい気持ちになった。 ストーリーはちょっと不思議さ...

タイトルの割に走ることに関係なさそうなお話なのかな?と思いきや、ひょんなことから走り始める主人公、夏目環。 今まで走ることに無縁だった環が、こんなに順調に走れるようになるなんてすごいなぁなんて羨ましく思いながら、私もまた走り出したい気持ちになった。 ストーリーはちょっと不思議さもあったけど、あの世に行った人がこんな風にセカンドステージに旅立っていくならいい。後悔するのは残った人だけで、逝った人は悲しみも苦しみも忘れるって、いいかもしれない。別れのシーンは泣いてしまったけど、、、。 春になったら、私も走ろう!

Posted byブクログ

2021/08/08

ひょんなことから、死後の世界に行けるようになった主人公。 ランニングチームを通じて変わっていく姿がとてもよかった。 ちょうど東京オリンピックを見てスポーツしたくなってたところ、これを読んでマラソンしてみようと思いました。 R3.8.8

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2020/01/30

あの世と現世をつなぐ道を通って、死んでしまった家族に会いにいく少女(でもないか)の話。天涯孤独であるが故の孤独と、ランニングで仲間が出来て次第に自分の世界が構築されていく喜びと、死んでしまった家族を見捨てて成長してしまうように感じるうしろめたさ。 ランニング仲間と一つ一つ課題を乗...

あの世と現世をつなぐ道を通って、死んでしまった家族に会いにいく少女(でもないか)の話。天涯孤独であるが故の孤独と、ランニングで仲間が出来て次第に自分の世界が構築されていく喜びと、死んでしまった家族を見捨てて成長してしまうように感じるうしろめたさ。 ランニング仲間と一つ一つ課題を乗り越えていく度に、人間的に成長していく姿は王道で爽やかです。 ライトな読み口と、死んだ家族に結局会えてしまっているので結構浅はかな感じがするのが少々難点。行こうと思えば毎日家族に会いに行けるというお手軽さがどうも話となじまないような・・・。 ランニングで自分探しをするというのはとてもよかったし、そちら重視で進めてもらったほうがしっくり来たと思います。 ボリュームはありますがスムーズに読めます。このリーダビリティーはさすがです

Posted byブクログ